学会参加報告書(第13回設計工学システム部門講演会)


報告者氏名 下坂 久司
学会名 機械学会
研究会名 第13回設計工学システム部門講演会
会場 金沢読売会館
場所 石川県金沢市
日程 2003年10月30日(木)〜11月1日(土)
発表日 2003年10月30日(木)
題目1 確率モデル遺伝的アルゴリズムを用いた構造物最適化
著者1 下坂久司,廣安知之,三木光範
講演論文1 [ PDF ]
題目2 GridRPCを用いた汎用最適化計算システム
著者2 下坂久司,廣安知之,三木光範
講演論文2 [ PDF ]
収録 日本機械学会 第13回第13回設計工学システム部門講演会 講演論文集 No.03-27

研究集会の詳細

第13回設計工学・システム部門講演会は,自然・人間と調和した近未来の「新日本型の物づくり」を目指して開催され,機械学会が主催する講演会である.開催場所は,石川県金沢市の金沢読売会館,開催日は2003年10月30日(木)〜11月1日(土)の3日間であった.プログラムは基本的に,4つの部屋を用い,複数のセッションが同時に開催された.各部屋には平均して20名程度の聴衆がいたことから,参加者は100名から150名程度であったと思われる.


発表の概要

今回私は,「確率モデル遺伝的アルゴリズムを用いた構造物最適化」および「GridRPCを用いた汎用最適化計算システム」というタイトルで,2つの講演発表を行った.以下にそれぞれの発表内容について述べる.

「確率モデル遺伝的アルゴリズムを用いた構造物最適化」

まず,前者の発表ではDPMBGAに制約条件を扱う手法としてペナルティ法と引き戻し法を適用し,性能を比較し考察を行った.この発表は遺伝的アルゴリズムのセッションで行われたこともあり,聴衆も他の部屋より多く,活発な議論を行えた.

本発表に対する,質問を3件ほど紹介する.

1 Q 問題の簡単,複雑の基準は何か?
A 初期母集団の個体群のうち,9割程度の個体が制約条件を外れる場合,本発表では複雑とした.
2 Q 個体数が多い場合,引き戻しが悪いのは何故か?
A 引き戻し操作には制約条件の微分値が必要なため,個体数の増加に伴い,大きく評価計算回数が増加する.
3 Q 逆に個体数が少なくても引き戻し法が良いのは何故か?
A 引き戻し操作が局所解の脱出に有効に働いているためだと考えられます.

GridRPCを用いた汎用最適化計算システム

後者の発表では,Gridにおいて汎用的な最適化計算システムを構築するためのフレームワークについて述べた.このシステムでは,情報の交換とアプリケーションの起動にGridRPCを用いる.そして,Grid上の各サーバに対して,ファイルの送受信などの4つの基本機能をGridRPCを用いて実装し,それらの機能を連携させることで最適化計算を行う.この発表は,前者の発表に比べ,聴衆は少な目であったが,質問は多くあり,有意義な経験を得ることができた.

本発表に対する,質問を3件ほど紹介する.

1 Q なぜ,GridRPCを利用したのか?
A 非常に利用しやすいプログラミングモデルとAgentによる優れたユーザビリティを有しているためです.
2 Q データ交換の決まったフォーマットがあるのか?
A ない.現在はファイルをそのまま送信している.今後,ユーザがファイルを編集できる機能を追加する予定である.
3 Q クライアントの要求を受け付けるものなどがあるとよいのではないか?
A ポータルシステムとして検討しています.

感 想

1つの講演会に,2件の講演発表を行ったため,体力的に,また精神的にも非常に辛かったのが正直な感想です.しかし,終わった今となってはいい経験になったと思います.次は是非,3件に挑戦したいです.というのは嘘です.金沢の町はとても京都に似ており,同じセッションで発表した修士1年の冨岡君と仲良くなれて,よい旅行でした.


謝 辞

今回の学会参加に向けて指導していただいた,三木・廣安両先生深く感謝します.今後ともよろしくお願いします.