【速報】医用画像情報学会 平成25年度春季(第168回)大会・創立50周年記念大会

B41の林沼くんが発表します。
A3. 内視鏡画像における早期胃癌の境界線検出のためのテクスチャ解析手法の検討
林沼勝利*,山本詩子*,市川寛**,八木信明***,廣安知之*
*同志社大学生命医科学部医情報学科,**同志社大学生命医科学部医生命システム学科,***京都府立医科大学大学院医学研究科
http://www.fjt.info.gifu-u.ac.jp/mii-sci/archives/2014/01/2516850.html

学会参加報告書

 
報告者氏名
 
林沼勝利
発表論文タイトル 内視鏡画像における早期胃癌の境界線検出のためのテクスチャ解析手法の検討
発表論文英タイトル Texture Analysis for Detecting Demarcation Line of Early Gastric Cancer in Endoscopic Image
著者 林沼勝利,山本詩子,市川寛,八木信明,廣安知之
主催 医用画像情報学会
講演会名 平成25年度春季(第168回)大会・創立50周年記念大会
会場 大阪大学医学部保健学科 第1講義室
開催日程 2014/02/08
 

 
1. 講演会の詳細
2014/02/08に大阪大学医学部保健学科 第1講義室にて開催されました医用画像情報学会平成25年度春季(第168回)大会・創立50周年記念大会(http://www.fjt.info.gifu-u.ac.jp/mii-sci/archives/2014/01/2516850.html)に参加いたしました.この医用画像情報学は,放射線像等の医用画像に関する基礎及び応用の研究を通じて,これら学問の進歩普及を図り,もって学術の発展に寄与することを目的とした学会で,X線撮像における画質評価やCAD(computer-aided diagnosis)に関する発表が多くありました.また,前身の放射線イメージ・インフォメーション研究会の発足から50周年を祝して記念式典がプログラム終了後に行われました.本研究室からは他に廣安先生,佐々木が参加しました.
 
2. 研究発表
2.1. 発表概要
私は午前の「セッションⅠ」に参加いたしました.発表の形式は口頭発表で,7分の講演時間と3分の質疑応答時間となっておりました.
今回の発表は,早期胃癌の内視鏡画像における正常部位と病変部位の境界線検出を目標として,それぞれの部位の画像の特徴量の差に関する発表を行いました.以下に抄録を記載致します.

本研究では,早期胃癌の内視鏡治療時における適切な切除範囲決定の支援を目的としている.そこで,内視鏡画像に対してテクスチャ解析を行い,得られた特徴量に基づき等高線を描画する手法を提案する.今回の発表では,テクスチャ解析の手法としてランレングス行列または同時生起行列を用いて,正常部位と病変部位で特徴量の差の検討を行った.その結果,ランレングス行列のGLNや同時生起行列のCORでもっとも有意差が出やすいという傾向があった.また,もっとも有意差があった特徴量を用いて内視鏡画像上に特徴量の等高線を描画した結果,目視で目標の境界線に近い線が得られた.GLNやCORは濃度の偏りやパターンの規則性を示す指標であり,現在,医師が内視鏡治療時に判断している情報と同等の情報が得られていると考えられる.

 
2.2. 質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
質問者の氏名を控え損ねてしまいましたが,「切除範囲を広げれば断端陰性となり,狭めれば断端陽性となる.最終的には病理診断によって正確に切除できたか診断しているが,提案手法はどのように使うのか.」という質問をいただきました.この質問に対しては「実際の病理画像と比較して等高線の閾値を検討し,参照画像として使用したい.」と回答いたしました.
 
・質問内容2
座長の滋賀県立大学畑中先生からの質問です.こちらの質問は「画像をグレースケールに変換しているが,撮影するたびに明るさが変化する.それはどのように対処するのか.」というものでした.この質問に対しては,「現在は一律でグレースケールに変換しているため,今後の検討課題にさせていただきたい.」と回答いたしました.
 
2.3. 感想
今回,初めて発表する学会であり,またこの研究室から初めて参加する学会ということもあり,とても緊張しましたが,発表自体は学会に向けて練習した通りの発表ができたと思います.また,自分や他の方の発表の質疑を通して,自分が研究している分野の医学的知識を持つことは重要であるということを痛感いたしました.
 
3. 聴講
今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : 血管造影検査のためのLEAPモーションセンサーを用いて画像を操作する装置の試作
著者                  : 安本佳章,小倉敏裕,佐藤充,石田悠葵,林則夫,堤翔子,土井邦雄
セッション名       : セッションⅡ

この発表は,現在は医師が看護師に口頭で伝えて画像を操作してもらっているのを,LEAPモーションセンサーを用いることにより医師自身が操作できるようにする,という内容のものでした.本研究室でもプロジェクト科目でLEAPモーションセンサーを使った発表があり,画像処理の分野においてアプリだけでなくデバイスの開発にも興味を持つきっかけとなりました.
 

発表タイトル       :マンモグラフィにおける類似画像検索と歯科CAD
著者                  : 村松千左子
セッション名       : 特別演題 セッションⅡ

この発表は,マンモグラフィにおける主観的類似度と画像特徴量の関係や心理物理的特徴量に関してと,歯科パノラマ写真から歯科領域以外の疾患を発見するCADに関する内容でした.歯科で撮影した写真から骨粗鬆症を発見するとなど,目的の情報に加えて今までに関心を持たなかった情報を得るということは今後重要になってくるのではないのかなと感じました.
 
参考文献
1)    医用画像情報学会, http://www.mii-sci.jp/