学会参加報告

参加学会名 精密工学会 2002年度春季大会
日程 2002/3/29
場所 東京都目黒区大岡山2-12-1 東京工業大学 大岡山キャンパス
登壇者 吉田武史實田健

発表タイトル 温度並列シミュレーテッドアニーリングにおける温度範囲の自律的最適化
著者名 三木光範,廣安知之,吉田武史
参加セッション 創発とシンセシス D37

■ 発表概要
今回は「温度並列シミュレーテッドアニーリングにおける温度範囲の自律的最適化」について発表を行いました.温度並列シミュレーテッドアニーリング(TPSA)はシミュレーテッドアニーリングを並列化したアルゴリズムであり,並列処理との親和性が高い点や温度スケジュールを自動化できる点などから,数多くの問題で有効性が報告されています.しかし,TPSA実行時に温度範囲を決定する必要があり,また高温プロセスによる解探索があまり効果的でないなどの問題点があります.そこで本研究では,解探索実行時に自律的に最適な温度範囲で解探索を行う適応的TPSAを報告しました.適応的TPSAをTSPに適用した結果,良好な精度を示しました.

■ 質疑応答
Q.温度パラメータの初期設定はどのようにしてるか?
A.解エネルギーの変動(改悪エネルギー)から決定している.今回の実験では,各対象問題で予備実験を行い,その実験で得られた最大のエネルギー変位を50%の確率で受理する温度を最高温度,最小のエネルギー変位を一定周期で最低一回受理する温度を最低温度に設定した.
Q.TPSAと比較して計算時間はどうか?
A.評価値の計算や温度の再割り当てなど,TPSAと比べて計算量が多いためTPSAより計算時間はかかる.しかし,それらの処理は1試行での割合は微少であるため,大きなデメリットとは言えない.特に通常の解探索に時間が必要な大規模な対象問題では,TPSAとほぼ変わらない計算時間で実行できる
Q.TSP以外の対象問題に適用予定は?
A.今後適用する予定である.特に組み合わせ最適化問題の多くは,重要温度領域の存在が確認されており,それらでATPSAは高い性能を示すと予測している.

■ 感想
私は東京工業大学大岡山キャンパスで開かれた精密工学会2002年度春季大会に参加しました.私達の研究室からの本学会参加は今回が初めてで,事前の学会情報がありませんでした.そのため,発表する内容のレベルなど準備に苦労しましたが,その結果として発表や質疑応答も無難にこなせたことが良かったと思います.発表終了後,他の研究者から発表内容の詳細を伺いたいと質問をいただき,私達の研究価値を再確認したことも印象的です.また三木先生,實田健くんと一泊二日の行程をともにしたのですが,偶然東京に来ていた5期生の村上さんと途中で合流し,発表前日に様々な話をしたことは非常におもしろかったです.

発表タイトル 最高温度の自動決定メカニズムを持つシミュレーテッドアニーリング
著者名 三木光範,廣安知之,實田健,吉田武史
参加セッション 創発とシンセシス D38

■ 発表概要
今回は「最高温度の自動決定メカニズムをもつシミュレーテッドアニーリング」について発表を行いました. シミュレーテッドアニーリング(SA)は広範囲の組合せ最適化問題に有効な汎用近似解法で,温度というパラメータを用いて改悪方向への遷移を認めるという特徴を持っています.温度パラメータには,最高温度,最低温度,クーリング率などが上げられますが,解探索においては温度パラメータの推移,すなわち温度スケジュールが重要な役割を持っています.通常のSAは最高温度を決定する際,経験的に十分高温になるように設定するため,高温時においては無駄な探索が多く含まれていました.そこで本研究では通常のSAを行う前に,適切な最高温度を設定するプロセスを加え,高温時における探索の無駄を省き,効率的にSAを行うアルゴリズムを報告しました.そして,提案手法をTSPに適用した結果,良好な結果を示しました.

■ 質疑応答
Q.他の効率化手法と比較してどうか?
A.他の効率化手法との比較はまだ行っていない.しかし,温度スケジュールを工夫し,高速化させるという手法を提案している論文などは存在しており,それらの手法と比較実験することは今後の課題である.
Q.どの段階まで加熱を行えば最高温度として決定できるのか?
A.現在のアルゴリズムでは,通常の手法で用いられた最高温度まで加熱を行い,解が最終的に局所解から上回った時点を最高温度としている.そのため,完全に自動化というわけではない.しかし,数多くのTSPで実験したところ一度解が局所解を大きく上回ってた後,再び局所解を下回ることはなく,人間が解の推移を観察すれば,どの時点で加熱を終了させればよいかを判断することが出来る.

■ 感想
私は東京工業大学大岡山キャンパスで開かれた精密工学会2002年度春季大会に参加しました. 本学会は設計生産システムや精密加工といった機械系の特色が強い学会でしたが,我々の発表した内容にも多くの方に興味を示して頂き,また質疑応答の場面でも的確なご指摘を受け,今後の研究活動につながる非常に良い経験となりました. また三木先生,吉田武史さんと一泊二日の行程をともにしたのですが,発表前日には偶然東京に来ていた5期生の村上美緒さんと,発表当日には東京に就職した3期生の小川泰正さんと会うことができ,様々な話ができたことは非常におもしろかったです.