2002年 並列/分散/協調処理に関する「湯布院」サマーワークショップ (SWoPP)

報告者氏名 上川純一
学会名 2002年 並列/分散/協調処理に関する「湯布院」サマーワークショップ (SWoPP)
場所 大分県湯布院町 湯布院ハイツ
日程 2002/08/21 〜 2002/08/23
発表日 2002/08/23
発表論文 動的な階層型システムにおける最適化計算法の検討
著者 上川 純一, 廣安 知之, 三木 光範, 谷村 勇輔
原稿 発表論文 プレゼンテーション

■ 研究集会の詳細

今回参加した研究会は コンピュータシステム研究会, ディペンダブルコンピューティング研究会, 計算機アーキテクチャ研究会, プログラミング研究会, ハイパフォーマンスコンピューティング研究会, システムソフトウェアとオペレーティングシステム研究会, システム評価研究会の合同研究会で, 人里離れた土地で集中的に研究についての議論を行おう,という会合である.

■ 発表の概要

今回の発表は「動的な階層型システムにおける最適化計算法の検討」についての 発表を行いました.概要は次の通りです:

分散して存在するコンピュータ資源を利用するためのシステムとし てDNASを提案する. DNASはノード間での相互の通信トポロジとしてツリー構造を採用している. DNASはツリー構造を動的に変化させ,障害に対応できる機構を持つ. このシステム上で最適化手法であるランダムサーチと遺伝的アルゴリズムを実装 した. ランダムサーチはノード数が多くなると探索時間が短縮可能であった. 遺伝的アルゴリズムでもノード数を増加させるとより探索時間に改善は見られたが, ノード数に対してのスケールは良好な結果が得られなかった.

■ 質疑応答

質問: DNASを使ってどのようにプログラムを書いてどのように動かすのか
回答: アプリケーションはDNASのライブラリにリンクして,APIを利用するという形になる. 実際にはrshを利用して各ノードにアプリケーションを起動させる必要がある.
質問: DNASの分散遺伝的アルゴリズムアプリケーションを実行する時に, 台数を増やすことで性能があまりあがらなくなるのは,DNASの問題なのか アルゴリズムの問題なのか
回答: 両方の問題であると考えられる.DNASの問題でもあるし,アルゴリズム自体も DNASシステムの通信モデルに適合するために大幅に変更をしている.
質問: 階層的になっているが全てのサーバントでソフトを起動しないといけないのか
回答: そうです
質問: 実行する際にはサーバントはまわりにいくつのコンピュータが動作しているか ということは確認できるのか
回答: 各ノードは他ノードがどうなっているのか,ということを全く無視して動作する.
質問: Ninf等のようなマスターワーカとの違い, システムの特徴は?
回答: トポロジが違う
質問: このシステムを使った時のオーバヘッド.MPIで実装した場合との比較
回答: オーバヘッドはシステムにかかる負荷は少ないが,アプリケーションの実行性能に対してのものは大きい. これに適合できるアプリケーションを探しているところ. MPIで実装した場合と比較すると圧倒的に性能でまける.
質問: 三秒単位でシステムが動いているが意味はあるのか
回答: 特に三秒である必要はないのだが,いろいろと実験していたときに,三秒くらいが 実験に良いと思われた.十分な検証は行っていない.

■ 感想

湯布院は温泉旅館が並ぶ温泉町で, 本当に温泉以外の楽しみの無い町である. 町全体はコンパクトにまとまっている.

田舎の町で,人里はなれた感じであった. 店もあまり無かったが,コンビニが数店あり, コンビニの勢力が増えている現状を確認した.

懇親会に参加して,いろいろな方と話しができた. なかなか懇親会においていろいろな方と話しをするのは難しく, 知らない人と知り合うのは難しいと感じていたが,今回は 気さくな方々が多く,研究に関することから関係ないことまで いろいろと議論ができた.

発表自体は緊張したが,発表に対しての議論等で有益な指針が得られたものだと思う.


宿泊した旅館

発表風景

懇親会