■参加学会の概要
今回,私は計測自動制御学会主催のSICE Annual Conference 2003 in Fukuiに参加しました.本学会は2003年8月4日から6日までの3日間,
福井県福井市の福井大学工学部にて開催されました.
本学会は,計測・制御からシステム解析・設計まで幅広い分野を扱う学会です.今回のSICE2003において,私は最終日の6日に, 新たな分野・技術に関する最新動向について集中的な議論を行うために提案された,オーガナイズドセッションにて発表を行いました.
本学会は,計測・制御からシステム解析・設計まで幅広い分野を扱う学会です.今回のSICE2003において,私は最終日の6日に, 新たな分野・技術に関する最新動向について集中的な議論を行うために提案された,オーガナイズドセッションにて発表を行いました.
■発表の概要
私は「Recent Progress in Evolutionary Computation」というセッションにおいて,発表を行いました.
本セッションは,5件の講演(各20分)が行われました.以下に,5件の講演を示します.
私が発表を行った「2個体分散遺伝的アルゴリズムによるタンパク質立体構造のエネルギー最小化」について,概要を以下に示します.
一般に遺伝的アルゴリズム(GA)では,タンパク質立体構造のエネルギー最小化は困難であると報告されています.
その原因として,本研究ではGAの欠点というべき特徴である早期収束に注目しました.
早期収束を回避することによって,タンパク質立体構造のエネルギー最小化が可能であると考え,
そのために多様性の維持した探索を行うGAモデルの検討を行いました.
そこで,多様性を維持した探索を行うことができる 2個体分散遺伝的アルゴリズム(DualDGA)をタンパク質立体構造のエネルギー最小化に適用しました. そして,アミノ酸残基が5の小規模なタンパク質であるMet-enkephalinを用いて数値実験を行いました. 実験結果より,Met-enkephalinの立体構造のエネルギー最小化において,DualDGAは有効な結果が確認されました. 結論として,タンパク質立体構造のエネルギー最小化はGAでは困難でしたが,多様性を維持した探索を行うDualDGAは小規模なタンパク質において有効な探索手法であることを示すことができました.
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Hierarchical Bayesian Optimization Algorithm: Toward a New Generation of Evolutionary Algorithms *Martin Pelikan Swiss Federal Institute of Technology, David E Goldberg Univ. of Illinois at Urbana-Champaign, Shigeyoshi Tsutsui Hannan Univ. |
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Genetic Algorithms for Optimization of Uncertain Functions and Their Applicatons *Hajime Kita National Inst. for Academic Degrees and Unv. Evaluation, Yasuhito Sano Nissan Motor Co. Ltd. |
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A Grid-Oriented Genetic Algorithm for Estimating Genetic Networks by S-Systems Hiroaki Imade, Ryohei Morishita, *Isao Ono, Norihiko Ono The Univ. of Tokushima, Masahiro Okamoto Kyushu Univ. |
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Dual Individual Distributed Genetic Algorithm for Minimizing the Energy of Protein Tertiary Structure Tomoyuki Hiroyasu, Mitsunori Miki, *Takashi Iwahashi Doshisha Univ., Yuko Okamoto Inst. for Molecular Sci. |
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Rule Acquisition for Production Scheduling - A Genetics-Based Machine Learning Approach to Flexible Shop Scheduling *Hisashi Tamaki, Kazutoshi Sakakibara, Hajime Murao, Shinzo Kitamura Kobe Univ. |
そこで,多様性を維持した探索を行うことができる 2個体分散遺伝的アルゴリズム(DualDGA)をタンパク質立体構造のエネルギー最小化に適用しました. そして,アミノ酸残基が5の小規模なタンパク質であるMet-enkephalinを用いて数値実験を行いました. 実験結果より,Met-enkephalinの立体構造のエネルギー最小化において,DualDGAは有効な結果が確認されました. 結論として,タンパク質立体構造のエネルギー最小化はGAでは困難でしたが,多様性を維持した探索を行うDualDGAは小規模なタンパク質において有効な探索手法であることを示すことができました.
■質疑応答
本発表において,会場の講聴者からいくつかの質問をいただきました.それらを以下に示します.
| Q : DualDGAでは他にどのくらいの規模のタンパク質を解けるのか? |
| A : Met-enkephalinよりも規模が大きい(Ala)10とC-peptideに適用したところ,(Ala)10では有効な結果が確認された. |
| Q : 分子シミュレーション(特に最適化手法)によるタンパク質立体構造予測は広まっているのか?というのは,扱っているエネルギー関数は実際のタンパク質ではなく,経験則から求められたものであり,誘電率や溶媒効果などの設定は容易ではないため, 分子シミュレーションで求められたタンパク質と実際のタンパク質の立体構造には大きな違いがあると考えられるのではないと思う. |
| A : たしかに今現在は現実のタンパク質の立体構造を求める事は困難であるため,すぐに新薬の開発などに適用されない.実際,扱っているエネルギー関数は,溶媒効果が含まれていないため,実際のタンパク質の立体構造と最適化手法により求められた立体構造とは大きな違いがある. しかし,今後最適化手法の性能向上と並列して,エネルギー関数の改良が進み, 溶媒効果などが含まれ現実のタンパク質の立体構造を求められるようになると考えられる. そのため,十分将来性のある研究分野である. |
| Q : 最適化手法ではどのくらいの規模のタンパク質を計算機上で解けるのか?限界はないのか? |
| A : どれくらいまでの規模なら解けると正確な値を示す事はできない.しかし,規模に関しては,解くための計算機の性能が大きく関わってくる.そこで今後Grid環境を有効活用することによって,大規模なタンパク質を解くことができると考えられる.ただし,それには最適化手法自体が,解探索能力が高く,かつ並列化効率の高いことが求められる. |
| Q : DualDGAは小林研のMGGとコンセプトは同じではないか?( |
| A : たしかに多様性を維持した探索を行うといった点ではいっしょである.しかし,MGGは単一母集団から2個体を選び,それを交叉,突然変異を繰り返し適用して,再び母集団に戻すといった形をとる.しかし,DualDGAではサブ母集団内で探索を進ませ,それにより局所解に陥らせてから,移住により部分解を組み合わせるといった形であるため,多様性の維持のアプローチは異なる. |
■感想
今回のSICE2003は私にとって,初めての学会発表でした.一人で参加することが分かっていましたので,少々心細いところがありました.
しかし,その分得るものは大きいはずだと考え,楽しみでした.
会場に到着し,同じセッションで発表される方たちを確認すると,ペリカン氏や喜多先生とたいへん有名な方たちの中で自分は発表するのだなと興奮しました.いざ自分の発表順がまわってくると, 意外と落ち着いてプレゼンすることができました.これは入念なリハーサルを行ったからだと思います. また,聴講者にたくさんの質問をしていただき,私にとって有意義な学会になりました.
今回の学会にて,質問に対してもっと的確かつ相手にわかりやすい答えを用意すべきであると強く感じました. この課題は以前から抱えていた課題であり,今後克服したいものであります.そのためには,自分の研究を柔軟な視点でとらえ,把握する必要があると感じました. 今後も多くの学会に参加して,そしてまた成長したいと思います.
会場に到着し,同じセッションで発表される方たちを確認すると,ペリカン氏や喜多先生とたいへん有名な方たちの中で自分は発表するのだなと興奮しました.いざ自分の発表順がまわってくると, 意外と落ち着いてプレゼンすることができました.これは入念なリハーサルを行ったからだと思います. また,聴講者にたくさんの質問をしていただき,私にとって有意義な学会になりました.
今回の学会にて,質問に対してもっと的確かつ相手にわかりやすい答えを用意すべきであると強く感じました. この課題は以前から抱えていた課題であり,今後克服したいものであります.そのためには,自分の研究を柔軟な視点でとらえ,把握する必要があると感じました. 今後も多くの学会に参加して,そしてまた成長したいと思います.
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| 1:SICE2003の案内看板.JR福井駅に設置されていた福井大学までのアクセス案内 2:発表後の岩橋.会場の入り口で福井大学の学生にお願いして,撮影. 3:発表中のペリカン氏.とてもリラックスして,プレゼンを行っていた. |
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■謝辞
今回の学会参加において,お忙しい中アメリカから指導してくださった廣安先生に深く感謝します.
また,学会参加の補助,および学会発表のリハーサルにて貴重なアドバイスをくださった三木先生に深く感謝します.
そして,私の学会参加までの間,親身に相談にのっていただいたタンパク質グループ,GAグループ,
Gridグループの皆さんありがとうございました.多くの研究グループに属していて,本当に幸せだと思います.


