学会参加報告書



報告者氏名 小椋 信弥
学会名 情報処理学会
研究会名 先進的計算基盤システムシンポジウム SACSIS 2003
会場 学術総合センター
場所 東京都千代田区一ツ橋2-1-2
日程 2003/5/28〜2003/5/30
発表日 2003/5/30
題目 遺伝的交叉を用いた並列SAによるタンパク質立体構造のエネルギー最小化
著者 三木光範,廣安知之,○小椋信弥,青井桂子,吉田武史,岡本祐幸
原稿 [ PDF ] [ PPT ]
収録 情報処理学会 SACSIS`03講演論文集, pp.341-348


■ 研究集会の詳細

今回参加したのは情報処理学会主催のシンポジウムである先進的計算基盤システムシンポジウムSACSIS(Symposium on Advanced Computing Systems and Infrastructures)2003です.平成15年5月28日〜30日の3日間,東京都千代田区の学術総合センターにて開催されました.

本シンポジウムは,以前までJSPPと呼ばれていたシンポジウムに代わるものとして開催され,今回が第一回目の開催でした.JSPPは並列処理・分散処理に関するシンポジウムでありましたが,SACSISはそれよりも広い分野として,先進的計算システムとそれを支える基盤技術,実用的基盤システムなど,より実用性を重視した研究が対象となっています.


■ 発表の概要

・セッションについて

私が講演発表を行ったセッションは,「アプリケーション」と呼ばれるセッションです.本セッションでは,

の3件の講演(各30分)が行われました.


・発表について

概要は以下の通りです.

私は,30日の「アプリケーション」のセッションで「遺伝的交叉を用いた並列SAによるタンパク質立体構造のエネルギー最小化」について発表を行いました.

これまでの研究で,遺伝的交叉を用いた並列SA(PSA/GAc)が小規模なタンパク質のエネルギー最小化においては有効であることが確認されているため,本研究ではより大規模なタンパク質であるC-peptideとPTH(1-34)のエネルギー最小化にPSA/GAcを適用し,逐次SAの性能と比較を行いました.また,PSA/GAcの性能を左右すると考えられるパラメータである交叉間隔と1個体当たりのMCsweep数について,いくつかの値を適用した数値実験を行い,その結果を検討して考察を行いました.


■ 質疑応答

本発表に対して,会場から以下の質問がありました.

1 Q PSA/GAcは逐次SAに比べてどのぐらい計算時間が短くなるのか.交叉に要する時間も含めて.
A PSA/GAcは並列実行のため,探索に用いた個体数分だけ時間は短くなる.大規模なタンパク質においては,SAに要する時間に比べて交叉に要する時間が十分に短いため,ほとんど無視できる.
2 Q 今回はSAを用いていたが,タブー探索法を用いるとどうなるか.
A タブー探索法を知らなかったため自力では回答できず.
タブー探索法は組合わせ最適化問題には有効だが,本研究で扱ったタンパク質のエネルギー最小化のような連続最適化問題には不向きであるとのコメントを三木先生より頂いた.
3 Q 一回の探索にどの程度の時間がかかるのか.
A Xeniaクラスタを用いた場合,
・Met-enkephalinは2分程度.
・C-peptideは20分程度.
・PTH(1-34)は3時間程度.
要する.現在対象としているProtein-Gになると3〜4日要する.傾向として,計算に要する時間はタンパク質の規模の二乗に比例する.
4
Q 得られた解が最適解であるという保証がないのではないのか.
A 確かにその通りである.Met-enkephalinに関しては最適解が既知であるので保証があるが,それ以外のC-peptideとPTH(1-34)については最適解が定まっていない.そのために分子研の岡本先生の結果と比較することでPSA/GAcの性能の検証を行っている.

■ 感 想

本シンポジウムの会場である学術総合センターは,東京駅から地下鉄で10分弱で到着することができ,24階建ての非常に近代的なビルでした.
学会というと私は厳粛な雰囲気の中で行われるものかと想像していましたが,ほとんどの方がカジュアルな服装で,雰囲気による威圧感は全く感じられませんでした.しかし,話には聞いていたものの,私が講演を行う会場は500人は入るかと思われる非常に広い会場でした.聞いたところによると,本シンポジウムの1,2ヶ月にノーベル賞受賞者の田中さんと小柴さんがこの会場で講演をされたそうです.

会場の広さに多少圧倒されましたが,実際に発表を聞いて下さったのは30〜40人程度であったこともあり,実際の講演では自分でも驚くほど冷静に発表を行うことができました.私が発表を行ったセッションは私を含めて3件の発表があったのですが,私の発表が最も盛んに質問が出ていたように思います.またXeniaクラスタのような高性能な並列計算機を用いている研究はほとんどなく,知的システムデザイン研究室の持つパワーを遺憾なく外部に向けて発表できたのではないかと思います.発表に対しては,本シンポジウムはバイオや最適化のシンポジウムではないのでそれほど厳しい質問は無かったのですが,他分野の研究者の方に講演を聴いて頂き,関心を持って頂いたことは自分にとって非常に有意義であり,また自分の研究に自信を持つことができました.

 

学術総合センター前にて
学術総合センター
学術総合センターにてOBの方々に出会う
先生とOBの方々との夕食



■ 謝 辞

今回の学会参加に向けて多くの御指導そして御協力をいただいきました,廣安先生,三木先生に深く感謝いたします.
また,ご協力をいただいた,タンパク質グループのメンバーを始めとする研究室の皆様に感謝いたします.
最後に,学会参加に際して三木先生より補助を受けましたことに感謝します.