学会参加報告書


報告者氏名
斉藤 宏樹
学会名
情報処理学会
研究会名
第10回 MPSシンポジウム
会場
同志社大学
日程
2003/10/23 〜 2003/10/24
発表日
2003/10/23
題目
グリッド環境におけるScaLAPACKのためのGAによるスケジューリング
著者
廣安知之,三木光範,○斉藤宏樹,谷村勇輔,Jack Dongarra
原稿
[PDF] [PPT]

研究会の詳細

今回参加したのは第10回MPSシンポジウムで,情報処理学会「数理モデル化と問題解決研究会」と同志社大学学術フロンティア研究プロジェクト「知能情報科学とその応用」が主催しています.平成15年10月23日〜24日の2日間,同志社大学において開催されました.情報処理学会は,問題の数理的把握とモデル化及びその有効な解決手法の開発に関する研究交流の場として, 1995年に設立されました.なかでも,MPSシンポジウムは同志社大学学術フロンティア研究プロジェクトの一環として重要な学会となっています.

発表の概要

今回は「グリッド環境におけるScaLAPACKのためのGAによるスケジューリング」と題して発表を行いました.グリッド上の計算資源を利用して,効率的に分散・並列アプリケーションを実行するためには,アプリケーションの特性に合わせて,適切な計算資源を選び出す必要があります.本発表では,並列線形ライブラリScaLAPACKの一関数を対象に,グリッド計算資源の最適配置について検討しました.このようなスケジューリング問題は,局所解を多く持つNP困難な大域的最適化問題となることが分かっていて,本研究ではスケジューリング手法にGenetic Algorithm(GA)を利用して,異なる種類のグリッド資源パターンを想定して最適スケジューリングを決定しました.先行研究と比較したところ,ノード数が多く,また計算資源の性能差が大きく,制約が多く存在するようなグリッド上で,GAが有効な結果を示しました.

質疑応答

本発表に対して,会場から以下の質問,意見がありました.

1
Q
動的な情報を用いてスケジューリングをしているのか.
A
していません.静的な値を用いて,あらかじめ設定した値でスケジューリングをしています.今後,動的な情報を用いると思いますが,基本的に,動的情報を用いたとしても,スケジューリング前に一度測定した値を用いるだけで,スケジューリング中に値を変動させることはありません.
2
Q
プロセスグリッドPとQの値,両方は変えられないのか
A
現在用いているシミュレータ,ScaLAPACKのコスト見積もり関数ではPの値を変更できません.今後変更できるようにシミュレータを改良する予定です.
3
Q
適当に選んだ結果は,スケジューリングした結果と比較してどれくらい違うのか
A
実験結果を用意していないので,正確には答えられませんが,スケジューラで生成された値と比較して極めて悪い値となっていました.
4
Q
シミュレータはどれくらい正確なのか
A
先行研究の結果では,小規模な環境ですが,スケジューリングで生成された見積もり時間の1.0〜2.0倍程度が実時間となっていまして,問題サイズが大きい程実時間に近づくことがわかっています.

感想

日頃から通っている同志社大学での発表ということで,緊張することなく発表をすることができました.発表はオープニングトークのすぐ後で,発表の雰囲気がつかめない状態でしたが,予定していた20分の時間内で終わることができたので良かったです.また発表に対する質問も何件か頂くことができ,今後の研究に役立てたいと思います.そして,研究分野が同じである方々の発表を聞いたことで,現在研究がどのような方向で進められているか把握することができました.発表に対して質問できたことも,発表に加われたという点で,非常に良かったと思います.

そして本研究会には,本論文の共著者でありPVMやNetSolveを開発されたJack Dongarra教授が公演に来られ,「High Performance Computing Trends」と題した特別講演を聴講することができました.HPCの分野では,クラスタや専用の並列計算機,グリッド資源など様々なものがあり,検索エンジンやSETI@HOMEから数値シミュレーションまで,あらゆる用途に使われてきていることがわかりました.この点においても,良い経験ができたと思います.

発表中の様子(斉藤宏樹)
質疑応答(斉藤宏樹)
講演中の様子
質問の様子
特別講演の様子(Jack Dongarra教授) 特別講演の様子(Jack Dongarra教授)

 

謝辞

今回の学会参加に向け,ご指導いただいた廣安助教授,三木教授,谷村さん,Jack Dongarra教授に深く感謝いたします.また,日頃から研究の御指導して頂いている片浦哲平さん,リハーサルを聞いていただきチェックをして頂いた知的システムデザイン研究室の皆さんに深く感謝いたします.