同志社大学工学部知識工学科/ Innovative Computing Laboratory, University of Tennessee

廣安 知之

 


■突然ですが,ノックスビルというアメリカの街をご存知ですか?テネシー州にある20万人弱の小都市です.テネシー州はご存知ですか?テネシーウイスキー,テネシーワルツ,エルビスプレスリー,カントリー,ソウルミュージック…しかしながらイーストコーストやウエストコーストに比べると一般の日本人にはなじみが薄いですね.テネシー州の場所を正確に言える人がどれだけいるでしょうか?ノックスビルという街の名前を聞いたことありますか?■私,廣安 知之(ひろやす ともゆき)は同志社大学在外研究制度により米国・University of Tennessee (UT)で在外研究を行うことになりました.テネシー大学は米国テネシー州ノックスビルにあり,2002年の4月に家族とともにこちらにやってきました.2003年の5月まで滞在する予定です.私は同志社大学工学部知識工学科に所属し,最適化手法の開発とその並列化,最適化に特化した並列計算機およびグリッド計算向けミドルウエアの構築,並列計算機およびグリッド計算における各種の最適化問題の解決などに取り組んでいます.学位は機械工学で取得し,その後,コンピュータサイエンスの領域に入ってきたので,High Performance Computing (HPC)の分野では新参者で現在四苦八苦しています.■こちらでの私の受け入れ先は,Professor Jack DongarraDirectory とする”Innovative Computing Laboratory (ICL)”です.ICLUTのコンピュータサイエンス学科に属し,同時にCenter for Information Technology Research (CITR)の基礎研究センターの一つとなっています.ドンガラ先生およびICLの業績の数々はみなさんすでにご存知のことでしょう.BLAS, LAPACK, ScaLAPACK, PVM, MPI, Netlib, NHSE, LINPACK Benchmark, PAPI, Top 500などなどHPCの分野で重要なソフトウエア,システムを数え切れないほど開発しています.在外研究先としては,私の裁量にまかされていたのですが,何人かの先生にご相談したところ「著名な先生がいるところだけでなく若く優秀な研究者がたくさんいるところが良い」,「ドンガラ先生のところはそういうところだ」というサジェッスチョンを頂き,ここに決めました.幸いドンガラ先生も私の滞在に対して快諾して頂き,スムーズに在外研究先を決定することができました.これから,ここで,私はわれわれの開発しているアプリケーションをこちらで開発しているグリッドミドルウエアであるNetSolveを利用してグリッド計算環境下で稼動させようと考えています.われわれの開発している最適化手法を利用したグリッド計算向きのスケジューラの構築も研究課題の一つです.■ノックスビルの5月の風は日本に比べて乾いていてさわやかです.今年だけかもしれませんが,少々寒い日もありました.すがすがしいなあと思える日でも,午後から急に嵐になるような一筋縄ではいかないこともあります. このたび,このウエブページ上で私の在外研究の様子をご紹介する機会をいただきました.不定期になるかとは思いますが,大学の様子,ICLでのプロジェクト,研究者,アメリカでの並列計算の現状,参加会議の様子などをご報告できればと思います.どうぞよろしくお願いします.

■謝辞:私の在外研究期間中ご迷惑をおかけしております同志社大学,工学部および知識工学科の皆様に感謝いたします.在外研究先についてご相談にのっていただいた東工大・松岡聡先生,産総研・長嶋雲兵先生,ベストシステムズ・西克也さま,ありがとうございました.本連載の機会をいただいた住商エレクトロニクス・上野恭三さま,ありがとうございます.その他,私の在外研究を支えて下さっている皆様,日本不在中に大変ご迷惑をおかけしている皆様方,どうぞよろしくお願いします.

■参考文献

1)       廣安知之 http://www.is.doshisha.ac.jp/~tomo/

2)       ICL http://icl.cs.utk.edu