TIME×YEN 時間術 (タイムエン時間術) すべての時間を成果に変える31の鉄則 | |
長野慶太
草思社 2009-04-22 おすすめ平均 |
献本御礼
しかし新刊でるのが早すぎです.もう勝間和代状態ですね.
どれだけ仕事しているんでしょうか.
さて,本作品は著者の渾身の作品ではないでしょうか.
大学の学生との関係で記してみると....
僕が学生にときどきやるのは,A4の用紙を1500枚ほど用意して学生に見せる.1,2枚 取り去ってもあまり差が見えないけれども,さすがに半分とっちゃうと違いがわかる.この1500枚は約356×4,すなわちこの紙が学生の4年間の時間を表している.一枚,一枚に何を書き込むのかが,結果としてあらわせる.白紙のときもあるだろう.いっぱい書き込みすぎの時もあるんだろう.それが著者の言っている「死」を意識した時間術とつながるのではないかとまず感じた.そして,この全体でどのくらいあるのかを「見える化」することが一番重要ではないかと思う.見える化の手段がこの本での主題「時間を金銭感覚におきかる」ということではないだろうか.
学生時代に,ある先輩が,下宿選びの一つのヒントをくれた.それは自分の時給を考えてどこまでの家賃を出せるかを考えるというものだ.例えば,家庭教師で時給1500円稼げるのであれば,1時間通学で,1日に2時間,20日大学に通ったとして40時間,60000万円は出せるというものだ.1時間,通学に費やすのなら,大学に近いところに下宿せよ.このアドバイスは極端だが,なるほど,そういう考え方もある.今の僕に残るアドバイスの一つだ.ある同僚の先生が,東京のホテルは自分の時給にみあったところを選ばなければならないと言われていた.高すぎてもだめだし,やすすぎてもだめだ.自分の時給と効率,仕事とをリンクして考える.必要なことだ.自分でやるべきことなのか,必要なことなのかを判断する一つの基準になる.
日本では4年生になると卒業論文を製作しなければならない.日本では卒論作成を通じて,学生の知識と現実の問題の解決するための技術の埋め合わせを行っていく.卒論製作の際に是非とも学んでもらいたいと思っている技術の一つが,タイムスケジューリングである.スケジューリングを行うためには,目標がどこにあるのか,目標に到達するまでのマイルストーンは何が適切でどこに設置すべきか,そこで生じるタスクの時間の見積もりが適切に行えるのかという技術が必要となるそんな中でもタスクの時間見積もりがきちんとできるかが,基本となりキーとなる.この本の中でも繰り返し,一つ一つの仕事の時間見積もりについての記述がでてきて興味深い.
そして最後に,何のために時間をコントロールするのかが本書では記される.これが惜しい.「ほんとに大事なのは幸せだ」と本書で書かれている.時間の効率を求めるがあまりに幸せを逃してはならないと.これがおしい.最後にではなくて,最初に書いておくべきではなかったのかと思う.そして,幸せへの貢献するものこそを見えるかする手段を提示する必要があったのではなかろうか.現在の幸せのために,将来につながる幸せのために必要な時間とその重みを測定する方法が実は難しくて,それをみんなが試行錯誤しているのではなかろうか.