これを聞け!これを見ろの時代

家に遊びに行くとDJよろしく次から次へと曲を強制的に聞かせる友人がいる.その行為が始まると,「でたー,次はこれを聞け だ!」と叫んでいる.そして僕はこの「次はこれを聞け!」が結構好きだったたりする.
だってそのチョイスは極めて良いのだから.

先週末Appleが新しいサービスを始めた.音楽配信サービスだ.
とりあえずはMacユーザーのみが享受できるサービスだが,年末にはWindowsユーザーも提供されるそうだ.
そして,このサービス,非常に革新的で,何かが始まる予感をひしひしと感じさせる.
だからこそこの文章を書いているのだ.
サービスの概要はなんてことはない.
1曲99セントでダウンロードでき,曲には簡単なプロテクト機能がついている.
ダウンロードサービスなんてこれまでにも死ぬほど提供されてきた.
じゃあ何がこんなにも期待させるのか.
このサービスの特徴は,用意している曲数の多さと,制限のゆるさだ.
これらの特徴が,僕に使ってみたいと思わせるし,これに関連した便利なビジネスが生まれそうな予感をさせるのだ.
すでに述べたように,これまで同様の音楽ダウンロードサービスはいくつもあった.
でも,それらはどれも爆発的にはヒットしなかったし,僕もそれほどダウンロードしたくなかった.
それは次の2つの理由によるところが大きい.
まず,ダウンロードしたいものがない.
気持ち的にダウンロードできるような環境だと便利だろうなあと思うけれども,いかんせん聞きたい曲がない.
マニアックか売れない人たちの曲の中にもいいものはあるのかもしれないけれども,僕の聞きたいのはメジャーな曲だ.
それが初めて可能になった.
実際,このサービスにはすべての曲に30秒の視聴サービスがあるのだが,Macユーザーの間では,これだけで楽しい,これだけで革新的という声があがっている.
著作権 著作権ってうるさいんだよってな感じがどうしてもすると,それだけでダウンロードする気がうせる.
最初に同意しますか?とか聞かれると即キャンセルだ.
ダウンロードサービスではないけれど,最近のプロテクトCDってのはどうなのか.
それだけで何だか買う気をうせさせているのがわからないのか.
だから,豊富な品揃え,それほど厳しくないコピープロテクトは非常に魅力的だ.
とりあえずはMacの購入を思いとどまったが.
想像は易しいが,品揃えが豊富で,昔の曲も今の曲もいっぱいあったとしたら,ウェブとこのサービスを中心として,超個人的なコンピレーションがはやるだろう.
現在,ウェブ上に日記やblogが山のようにあって,ある特定のグループの中である人のページがはやっているように個人のコンピレーションのページが注目をあびるだろう.
コンピレーションのリストがあって,それをiTunに読み込ませると,たちどころに現在所有している曲が表示されるし,ない曲はワンクリックで購入だ.
個人的でないリストもちろんあるだろう.
タワーレコードが選ぶ今月の10曲(邦楽)
タワーレコードが選ぶ今月の10曲(洋楽)
ってのがあって,それらを毎月買っていくだろう.
それとは別に僕は
ピーターバラカンが選ぶ今月の10曲
ってのも毎月買うぞ.もしかしたらこのリストそのものがフリーでなくて有料かもしれない.それでも僕は買うかもしれない.
アルバムという概念はなくなるかもしれない.
コンピレーションリストのリンクサイトも当然できるだろうし,そのアクセス数に応じたランキングリストもできる.
Webでリストを公表しはじめれば,それが曲だと理解できれば,セマンティックという技術を利用して,サイト間の志向の距離が計算できる.
その距離が近いところへ広告をプッシュすることも可能となるであろう.
そして次にくる時代は映像だ.
iPODがQuick Time Movieに対応してカラーになるというのはここ最近 つねにアップルから新製品が発表される際に出てくる噂だ.
子供を撮影したビデオをiPODで持ち運ぶのは楽しいだろう.
テレビの録画をiPODで見るのかもしれない.
そしてもちろんappleは映画のダウンロード配信をはじめるのだ.
だからこそ,興行権を取得したら,速攻でAppleと交渉しろ.
Appleも元手は必要ないのだから,取り分だけの話でそんなに難しくはないのではないかと想像される.
そして,これを見ろと吹聴しろ.
その吹聴はホームページでも構わないし,
口コミで噂は広まり,隙間ユーザーにまたたく間に浸透する.
そんな手軽さが今回のAppleのサービスにはある.

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