医療、生命科学と情報の関係

医療、医用、生命科学の分野では、今後ますます取り扱う情報の種類、質、量が膨大となってきます。これらをうまく、賢く利用する必要があります。我々のグループでは、情報処理と人工知能の技術を用いて新しい分野を開拓していきます。

平成26年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 進化適応型自動車運転システム「ドライバ・イン・ザ・ループ」

高齢者を想定したドライバとなるヒト、走行中のクルマ、および、その周辺環境をリアルタイムにセンシングし、 人工知能となるコンピュータソフトウエアのエージェント技術においてヒトの動作を予測し周辺環境に適応した車両の運転支援技術を確立することで,これまでの自動運転に関する研究とは異なり、 ヒトとクルマの共存および周辺車両や環境との協調を行う進化適応型自動車運転システム「ドライバ・イン・ザ・ループ」の研究を開始しました。

我々のグループでは「高齢者の運転行動モデル構築のためのヒト生体情報多次元解析技術」を担当しています。 ヒト生体情報は「化学」「脳科学」「認知科学」といった様々な情報から成っており、本研究ではこれをヒト生体情報の多次元情報と呼びます。これまでヒトの行動を理解する上でこれらの情報は個別に検討されてきましたが、さらに行動にヒトの行動を理解するためには、ヒト生体情報を「化学」「脳科学」「認知科学などの側面から多角的に測定し、得られたデータを統合し解析するという新しい生体情報解析技術が必要です。本プロジェクトでは、高齢者をサポートする車用のエージェント構築を行いますが、このエージェントに入力する情報として、運転者の環境情報や車の状態情報だけでなく、運転者のヒト生体情報は必須です。本研究では、ヒト生体情報を多次元解析する技術を構築し、その技術を利用して得られる統合的な生体情報を利用して、高齢者の運転行動モデルを構築します。
これらの目的を達成するために、特に、以下の3点に主眼を置き、検討します。
(1)個別情報と自動車運転時のヒトの状態との関連の調査 脳機能イメージングから得られる情報と、高齢者の運転時の心理的状態との関連の調査。質量分析による汗、呼気、唾液等の非侵襲性の高いサンプルからの生体化学情報の取得と解析およびそれらの情報と高齢者の運転時の状態との関連の調査。ヒトに類似した動物を利用することによる脳内処理機構をモデルとした研究による脳の情報処理様式の多次元解析。
(2)多次元的な生体計測と統合的なデータ解析手法の確立 生体情報多次元解析のためのデータベースとマイニングシステムの構築
(3)得られる多次元的な生体計測からの高齢者の運転行動モデルの構築

平成26年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 難治性角膜疾患に対するトランスレーショナル研究の推進と国際的研究拠点の形成

透明組織である角膜が混濁すると、重症の視覚障害を生じます。本研究では、難治性角膜疾患に対する新規治療法の開発 を目的として、組織幹細胞を用いた角膜再生医療、および病態解明による治療薬の開発を行います
我々のグループでは、画像処理、情報処理、人工知能の技術を駆使して、培養する角膜細胞の品質を保証するシステムの構築を行います。

私立大学研究ブランディング事業: 良心の実証的・実践的研究プロジェクト-良心を覚醒させる知の連携と知の実践

グローバル社会では、良心を覚醒させた人物の活躍が求められている。そこで、個々のもつ良心とそれらを共に知ることの意義を認識し、良心概念を思想的に深める。また、良心の覚醒プロセスを、心理学、脳科学及び情報処理学(非侵襲脳イメージング・AI技術等)のアプローチによって解明し、幸福のあり方を探求する。良心を概念定義に留めず、自然科学的アプローチから考察することで、教育・経済・環境等の実践の場で展開する。

進化計算による特徴的脳機能部位と代謝物質の特定

本研究では、ある刺激を与えた際の脳機能状態を非侵襲に採取可能な唾液から予測する手法の確立を行う。そのために、刺激を与えた際の脳機能を計測し、その結果得られる脳機能イメージング情報から、被験者の特性のクラスタを決定する要因となる脳機能部位を特定する。同時に、唾液のメタボローム解析による代謝変動を測定し、クラスタの識別と関連の高い代謝物質を特定する。脳機能部位と代謝物質の特定には進化的計算を利用する。