日本人が総おたく化している件

気が重い原稿がいくつかあってなかなか筆がすすまない今日この頃。
なぜ、Facebookだけが、キャズムを楽々と超えるのだろうか?
という記事を読む。
まずマーケティング用語で上記のブログにもでてきているテクノロジー・ライフサイクルにおけるキャズム理論(Geoffrey Moore,1991)はかならず押さえておかなければならない。

・イノベータ- (2.5%):技術に惚れて採用するハイテクオタク?
・アーリー・アダプター (13.5%):技術ではなく実利面に惚れて初期採用するビジョナリー
・アーリー・マジョリティ (34%):先行者の成功事例を確認してから採用する実務者?
・レイト・マジョリティ (34%):みんなが使ってから使う慎重な人々?
・ラガード (16%):ハイテク嫌い

広く使われるようになるためには、キャズムを超えてメインストリームへでていかなければならないのだけれど、アーリーアダプターに合わせた製品を作っているとメインストリームに対応できる製品ができないというお話だ。
中島さんは2007年には日本の携帯をガラパゴスで進化したみたいだと説明していた。
日本は世界経済にとってのガラパゴス諸島
一方でfacebookが日本でははやらないらしい。世界では何故はやっているのかということで、実名性であるとかいろんな議論がある。
一方で、いざ使ってみると本当につかいずらい。
設定をどうやるのかとかわからないし、アプリはどんなのを使えばよいのかわからないし、わからないだらけである。
しかしこれは、mixiやらなんやらですでに、日本人がそういうサービスになれているからだと思われる。やったことないけどモバゲーやらgreeやらのゲームもさぞかしすごいんだろう。
となるとハードウエアが極端に進化して、世界標準とは違ったものができているということが盛んに言われていてガラパゴス化であるとか、ガラケーとか称されてきた。これは、ハードウエアが世界とは違った流れの中で進化しているという説明であった。
「なぜ、Facebookだけが、キャズムを楽々と超えるのだろうか?」というブログを読むと、キャズムを超えている国が102カ国もあるということに驚く。こんな不便なサービス&ツールなのに。
となると、全世界的にみると日本で過ごしているとユーザ自体がほとんどがアーリーアダプタになっちゃうのではないかという仮説が思いつく。
日本全国民がアーリーアダプタになっちゃうので、マジョリティを対象としたサービスや製品では満足できなくなるのだ。ようするに、日本人が全員、世界的にみるとおたくになっちゃうのではないかというお話で、おたくからみるとマジョリティ製品では満足できない。
器用な人がおもしろいサービスを作製し、そこそこマーケットがあるので発展して、日本人が使うようになり、知らず知らずのうちに使っていると世界的にはおたくになってそれ以外のださいサービスを受け入れられなくなる。日本ではおたくを対象とした製品しかますます出せなくなるし、コストの製品しか日本人は受け入れられなくなる。
これこそがガラパゴス化ということか。
今まではガラケーのハードウエアが、イグアナなイメージだったんだけど、使っている僕がイグアナだったんだなあという感想です。

バブル崩壊

池田信夫のブログに「財政危機のいつか来た道」というのがあがっていて、1992年頃を振り返っている。
このブログの中身に対する議論はさておき

いま財政に起こっている。政府に1000兆円の債務の支払い能力がないことは明らかだが、借り換えを続けられる限り流動性は回る。

というのは正しいであろう。そして最後に

私の印象でいうと、事態は拓銀・山一の前夜に似てきたような気がする。

と締めくくっている。
wikipediaによると

景気については、景気動向指数(CI)をみると、1990年10月をピークに低下傾向となり、1993年12月まで低下した。地価は、1991年秋頃(東京、大阪の大都市圏では90年秋頃から既に始まっている。)に、路線価も1992年初頭をピークに下落していった。
(途中略)
「バブルの崩壊」は、あるとき一瞬にして起きた現象ではない。
(途中略)
バブル崩壊は、開始から数年間をかけて徐々に生じた過渡的現象である。
(途中略)
一般的にバブル絶頂期とは、景気が良いと一般大衆に認識され始めた1988年頃から、景気が悪くなってきたと認識され始める前の1992年頃までを指すこともできる。

とある。
すでに1990年から数字的にはバブルがはじけていたというのが驚きである。1992年ごろにははじけていたという実感が世の中にはなかったからである。ただ、はじけるかもしれないという強い予感が世の中に満ちあふれていたのはよく憶えている。
1992年に留学にいったからである。
少なくとも就職活動を行っている学生もとる方も1993年の4月の時点では、バブルがはじけた実感はなかったはずだ。
そのときに、アメリカからいくつかの企業に就活について国際電話をしたのでよく憶えているのだ。
しかし、その半年後は状況が劇的に変わっていた。売り手市場が完全に終わっていたのだ。
国の借金をどのようにしていくのか糞詰まりの状況だ。
痛みは求めないが、ばらまきは求めるから。
1000兆円はかえせねーな、やばいかもしれないという空気は、1992年に本当に似ているように思う。
上記の話しで言えば、1992年はすでにバブルがはじけていたわけで、このときに売り抜けていれば痛い目にはあわず、まだまだ期待すると命がなくなるというのがバブルの時の教訓である。

談春は芝浜を封印するつもりなのかも

談志 最後の落語論
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談志 最後の落語論 読了。
大学で何を教えるかとか、京都での大学の意義とかいろいろと考えるところがあり、もやもやしてしまうのだが、談志の弟子の談春は芝浜を封印するつもりなのかもしれない。
邪推しすぎかもしれないけど。
ことの発端は、落語好きの私の親友につれられて、談春の「芝浜」を初めてみたのだが、終わってから彼が

話としては面白いけれど、でもあまり才能がないのに博打をやってしまったり、酒を飲んでしまったりする者は浮かばれないではないか、そういう人たちを描くのが落語ではないか? 腕がよくない者はどうしたらいい? 

という質問をしてきて(ことの詳細はこちら)、僕としては人は誰しも何かの取り柄を持っている、もっているはずだという答えをしたと思う。
しかし、この本では、

いいほうの業の肯定を人情噺と称い。。。 曰ク「文七元結」「子別れ」「芝浜」などなど
それは違うなあと若き俺様はどこかでそう感じ、そのまま今日まで生きてきた。

とある。
えー 全否定ですか。

それから最後の方に、芝浜をちょっと変えたアレンジでやっている話しがあって
「もう嫌だ、よそう。お前さん、酒飲んじゃおう。ね、飲もう」この女房のセリフは、己に女房が乗り移って言っていたようでもあった。「こんな落語、嫌いだよ」とネ。

とある。
こないだの談春は、財布を拾う情景をはしょって、最後の女房とのやりとりまでいっきに聞かせた。
こんな落語、嫌いだよといったのかもしれない。
そして3月に 談春は子別れをやる。
いいほうの業の肯定する「文七元結」「子別れ」「芝浜」3連ちゃんだ。
落語は人間の業であると談志は言い、談春は談志の弟子である。落語の極みを目指している談春は、もしかしたら「文七元結」「子別れ」「芝浜」を封印するかもしれない。
考え過ぎかもしれないけど。

日本の書店も10年で3割減ってしまった

渋谷陽一の「社長はつらいよ」から
ドラッガーの論をもってくるまでもなく、人数からだいたいの売り上げがわかる産業はこれからきつい。
大学もきつい。
このページから類推すると
10歳から24歳の人口は平成12年に22,486,000人。平成22年には18,472,000人。
だいたい20%は減っている。
2割から3割は関連の市場がしぼむのはしょうがない。

iPad以外に最低必要なもの(ラスタペン・iPadの活用その5)

ちょっとついでにメモを書いておく。
iPadをノート代わりに使えれば活用が本当に広がるし、iPadのすばらしさがわかること請け合い。
ただ、大問題がある。
こいつら全部 使い物にならない。
今、必要なのはなんと自作ペン。
僕は東工大の学生くんが作っているペンが最強だと思うのだが、似たやつはこんなの。
iPad /Carbon Copy Pen Movie4 (自作 複写ペン) (4/6)
僕のはこれ。ちょっとかっこわるいけど。
なぜ使えるペンが発売されないんだろう?

iPad以外に最低必要なもの スキャナー (iPadの活用その2)

電子ファイルがまだまだ普及していないので、どうしても読みたい本や雑誌をiPadで読むためには、自分でpdfを作成する必要がある。
これを自炊 と最近は言うらしい。
定番の商品は
– スキャナー
ScanSnap
Canonのドキュメントスキャナー
– 裁断機
プラスの「PK-513L」
Adobe Acrobat Pro OCRしてサイズを減らすのに必要
参考:
自炊技術
勝間和代
nanapi
BizID

iPad以外に最低必要なもの(iPadの活用その1)

iPadを買って残念なのは、それだけでは何も本当になにもできないことだ。
1)まず、MacかPCかどちらかが必要。
基本的にiTuneとつなげないといけないので、コンピュータが必要なのだ。コンピュータの代わりに使おうと思って買った人も多いのではないかと思うけど、なんとコンピュータが必要ななんだよね。僕の場合は、古いMacに接続しようとしたらOSが古いとか言われて泣きそうだったがなんとかPCにつなげられて良かった。
2)スキャナー
本を雑誌を読もうと思ってiPadを購入する人も多いのではないかと思うけど、まだまだ読みたい本や雑誌が電子化されていないので、自分でスキャンしてpdf化する必要がある。そのためには、スキャナーが必要。これについてはまた別途。
3)ペン
iPadは本当にすぐれたノートになる潜在能力を秘めているのだが、そのためには、ペンが必要。
しかも市販のペンがなかなか使いづらい。
今は手作りが最強なのだが、これについてもまた別途。

統計・数式処理ソフトとGPGPU

GPGPUをうまくアプリやライブラリが増えている。
こういうアプリやらライブラリやらが増えることによって、GPGPUは初めて補助演算装置として残るのではないだろうか。
ただし、ハードウエアが進化するごとにソフトウエア側に変更を求める形だとなんともつらい。
ソフトウエアとハードウエアをうまく分離して垂直統合してほしいものだ。すなわち、一度、GPGPU用のソフトを書けば、ハードウエアが変わっても動いてもらいたいものだ。
最近のアップルはxcodeを使って開発者を囲い込んでいるが、これをすることによって、アップルはハードウエアを変更しても、アプリケーションがなくなるということを防いでいるし、ユーザは常に最新のハードとアプリが使える。
The Genius in Apple’s Vertical Platform
このようなことをGPGPUでもやっていかなければ、今はよくてもいつかは廃れてしまうのではなかろうか。
以下、メモ
RとGPU
Cuda用blas
MathematicaとGPU
MatlabとGPU

ビジネスマンのための「頭」の整理術

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献本御礼
他の整理術といろいろと違う切り口でその術を提案している本。
たとえば、対象の仕事やタスクに順序がつけられないような場合も想定してある。特に私のような大学の仕事では、順序がつきづらい仕事がいつも発生する。
たとえば、紙をうまく使えという提案。紙は自分からはなくならないけど、デジタルな情報は自分からなくなっていくなどなど。
一方、読み終わって不満というか感じたところ2点。
著者は以前に「TIME×YEN 時間術 (タイムエン時間術) すべての時間を成果に変える31の鉄則」という本を出している。時間とコストを一つの指標にしてやり方を考えていくという、きわめて理系特に工学系の人には親和性が高い考え方だ。
今回の整理術もすべての場面でこのTIME×YEN 指標で解説して種々の手法を提案してもらったらおもしろかったのではなかろうか。自作に期待ですね。
次に、アメリカと日本ってやっぱり状況が異なっていてその状況によって情報の整理は違うんだろうなと感じること。
日本だと、どうしても携帯の利用が必須だ。だから携帯の利用の話しがもっと必要でなかろうか。
もう一つ、今の日本では場所の問題もあって、自炊(本をカットしてスキャンしてPDF化すること)が熱いし、多くの人がやっている。こんな面倒なことやってんの日本人だけではなかろうか。

修論試問会終了

私の周辺では、入試前に修論の試問会をすませてしまいます。私の担当は情報工学専攻と生命医科学専攻の二領域にまたがるのですが、どちらも無事、今年度の試問会が終わりました。毎年思いますが、学生は最後の最後でどれだけがんばるかでその伸びが大きく違います。おもしろいのは本人はどれだけ伸びたのか、本当だったらどれだけ伸びなければならなかったのかわからないところにあります。その伸びは、本人の努力や素質にもよるかもしれませんが、環境が大きく作用します。その環境をどのように評価するのかというところが難しい。環境がどれだけ、自分を変えてくれたかをきちんと把握できるようになれば、その環境を用意したほうもうれしいし、将来きっと楽しい人生が送れることになると思います。

Windows環境によるOpenFOAMワークショップ

Windows環境によるOpenFOAMワークショップを同志社 東京オフィスで開催しました。
案内のページ
Windowsコンソーシアムは共催です。
OpenFOAMは

OpenFOAMはオープンソースのCFDツール集です.
OFWikiJa – OpenFOAM Wiki日本語版

です。
OpenFOAMのお話でしたが、クラウド用の新しいハードウエアの紹介やサービスなどの紹介もあり非常に興味深いものがありました。また、マイクロソフトがいろいろなUNIX類似ツールをwindows用に用意していることも、岐阜高専の柴田先生から教えてもらいました。
オープンソースは、誰が継続して開発を続けるのか、それを保証するビジネスモデルがあるのかというところがやはり問題になるかと思います。
一方で、コアは増えて行き、クラウドも実用性がますます増していくと、ライセンスの問題からオープンソースが注目を浴びます。
また、オープンソースのアプリの利用が増えていくと、開発方式などが変わっていくとおもしろいですね。