野口裕久先生への追悼

構造力学の分野で大きな成果をあげていらっしゃった慶応大学の野口先生がこの8月に胃がんのためになくなられた.
日本機械学会の計算力学部門からニューズレターが送られてきて(pdf)いつもであれば,編集のお仕事をされている先生方には本当に申し訳ないのであるが,こんなにコストをかけて中身のある原稿を用意しても誰がどれほど読んでいるものなのかという疑念の気持ちがわくのであるが,今回はこのニューズレターがあってよかった.
後半に,野口先生への追悼の文集が掲載されているからである.これまで継続してニューズレターを作成された先生方,今回の文集に関わられた方に感謝したい.そして,この場で追悼のメッセージを記しておきたい.
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グリッドやクラウドは関係ない

重要なのは何のサービスを提供するかであろう.技術面から見るとさっぱりグリッドやらクラウドやらASPやら差別をすることがむずかしい.
しかし,いままでローカルでしかなかったサービスが,インターネットへ移行し,さらにサーバーもどこにあるんだかなんだかわからなくなり,さらに,ローカルアプリやらP2Pやらと連携してしまうと,物理的にどこにサービスやらデータがわからなくなっている,そんな状況なのであろう.
だから,ネットに接続できているとおもしろいこととか,おもしろいサービスがどんどん作りやすくなっているのだと思う.
なので,グリッドやらクラウドやらの技術やインフラで金をとるのは難しいだろう.サービスが重要で,サービスがどんどん普及していくのであれば,普及するサービスからお金がとれる仕組みにしなければならないんだろうな.
こういった意味で言えば,一般用のWindowsなどは,ただにするのはどうだろうか.そして,契約した会社が提供するサービスだけが使えるAPIを用意するのはどうだろう.
同じサービスを行うAとBがあるのだが,使用しているAPIが違うので速度が違うとか.
独占禁止法とかに抵触するのか?

国民文化祭「京都ならでは事業」の募集

こんな事業が京都府から募集されている.
京都の大学なので,なんとか京都,関西のお役に立ちたいものであるし,京都というところはいろいろとできるポテンシャルをもっているところだと思う.
この1ヶ月で,ドイツ,シンガポール,米国と研究者が訪れてくれた.観光目的だとしても,そこから人脈,研究が発展していく.

論文リスト

論文リストを大幅に更新してアップしました.
業績のページ
もう何年もの課題でしたが,とりあえず.
次は,論文を探しやすくできるように,英語にも対応できるようにしたいと考えています.

辞表を出して次へ行け!

辞表を出して次へ行け!
辞表を出して次へ行け! 長野 慶太

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献本御礼
非常に挑戦的なタイトルであるし,大学生には一件関係がなさそうだが,大学生にも非常にためになる部分があるのでそこを紹介しておこう.
まず,タイトルとはうらはらに,筆者がいいたいことの一つに「会社に入った最初の3年でできるだけ多くのことを学び取れ!」ということがある.散々,辞表を出した会社でいかに学んだか,いかにすばらしい人に出会ったのかの話が出てくる.逆に言えば,入った会社で,いかに学ぶのか,すばらしい人に会うかが人生の勝負であるということが著者の主張であろう.
学ぶことができなかった人,出会いの無かった人は,辞表を出してもしょうがないということだ.
日本では,どんなことが学べるのか,どんな人に会えるのかはほぼ運であろうから,会社員ちゅうのは大変な仕事だ.
次に,人生の設計をしようというのが筆者の主張.
収入,家族,資産管理,ライフワーク,友人,健康管理 の点からチェックしようと紹介している.
普段の仕事をつづけていると,なかなか自由にこれらを設計できない.実は会社に属しているとか属していないとかは関係がなくて,どれだけ,独立して日々,生活できるかがかぎであるというのが筆者の主張ではなかろうか.だから,辞表もだしてみないといけないのであろうし,ときどき,考え直してみなければならないのであろう.
本のタイトル,デザイン,書体とも本当に挑戦的な内容だが,内容については,大学生も非常にためになる知識が入っている本であるとも言える.

第18回設計工学・システム部門講演会

第18回設計工学・システム部門講演会が京都大学 京大会館で開催された.
実行委員なのになんの仕事もできず本当にもうしわけなく,2日目の特別講演と懇親会に参加させていただいた.
特別講演は
Topology Optimization: a 20 Year Perspective 』
講師 Alejandro Diaz 氏
(Professor, Mechanical Engineering
Department, Michigan State University)
だった.

20年ってどんな前やねん と思っていたら余裕で実体験だった.
年をとってるんだなあというのが最初の印象.
それから涙がでそうなほど感動した.
というのも1992年にオハイオで菊池先生のトポロジの話を最初に聞いたときの感動を思い出したからだ.設計というのは本当におもしろいなと感じて,設計の研究をやりたいと心から思った.
そのような研究ができたらなあと思うし,頑張らねばならない.

PPSN X

PPSN Xがドイツ ドルトムントで開催され,廣安が参加し,発表してきました.
PPSNはParallel Problem Solving From Natureの略で,2年に1度 ヨーロッパを中心に開催される進化計算系の学会です.進化計算関連の学会では,GECCOやCECとならぶ非常に重要な会議として位置づけられています.
採択率は30%~50%です.
廣安が発表したのは
Diversity Maintenance Mechanism for Multi-Objective Genetic Algorithms using Clustering and Network Inversion, Tomoyuki Hiroyasu, Kenji Kobayashi, Masashi Nishioka and Mitsunori Miki, Proceedings of 10th International Conference on Parallel Problem Solving from Nature 2008, pp.722-732, (2008)
で,多目的遺伝的アルゴリズムを使って,パレート解を求める場合に,探索点が少ない場合に,解の偏りが生じてしまいますが,本手法を使って改善しようというものです.
Springerのページ
PDF
実問題を強く意識したアルゴリズムの提案で,この春 修士を卒業した小林くんの大作です.

この学会の特徴は
– シングルセッション
– すべてポスター
で議論をつくそうというものです.すべての研究が十分よくわかる非常によい学会です.
相変わらず欧州ではESが強い感じですし,セルラーモデルも盛り上がっていました.
並列のモデルとしてはP2Pも非常にはやっていました.
ドイツには久しぶりに行きましたが相変わらず美しい国でした.
大阪府立大学の石渕先生,東京工業大学の小野先生には大変にお世話になりました.
次回は2010年,イタリアかポーランドです.

IEEE TV

IEEEはアメリカの電気・電子学会だが,そこで,
IEEE.tvというのが始まった.
やはりビデオの時代だが先取りしているところがすごい.
どの程度,コストがかかっているのであろうか.
また,こうなってくるとますます英語での情報へとかたよっていく.
英語がききとれないわれわれはつらいところだ.

movieの時代

うちの研究室ではISDLレポートなるものを公開しているが,博士課程の中尾くんが作成したレポート(ここ)の中の結果は,探索にしたがって結果が動く 動画になっている.
ウェブ上のレポートなんだし,こういうのもありだな.
もっともっといろんな形のレポートがあるのかもしれない.

IBM HPCフォーラム 2008

IBMの主催するHPCフォーラムに参加してきました.
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●開催日時 2008年9月11日(木曜日) 13時15分開会(受付開始:12時45分)
●会場 日本アイ・ビー・エム株式会社 箱崎事業所 201大教室
〒103-8510 東京都中央区日本橋箱崎町19-21
地図: http://www.ibm.com/jp/ibm/map/hakozaki.html
●参加対象 大学、研究機関、企業においてHPCをご担当もしくはHPCにご関心のある方
●定員 80名 (定員に達ししだい締め切らせていただきます)
●参加費 フォーラム、立食懇親会ともに無料
講演名と講演者
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■ 【基調講演】HPCを国力増強の基礎に—計算科学の人材育成への東京大学の試み
東京大学副学長 平尾公彦氏
■ HPCにおけるクラウド・コンピューティングの最新状況とIBMの戦略
IBM ソフトウェアグループ,Tivoli Common UI&RID, Director デニス・クアン
■ 計算化学における大規模シミュレーション事例
IBM アルマデン研究所 ジェド・ピテラ
■ 低炭素社会実現のためのマルチコア・テクノロジーと利用技術への挑戦
早稲田大学理工学術院基幹理工学部教授 笠原博徳氏
■【特別講演】科学技術のためのペタスケール・コンピューティング: Blue Watersの課題とチャンス
Blue Waters Petascale Computing Project Deputy Director and
co-Principal Investigatorおよび NCSA’s Deputy Director, イリノイ大学
ロバート・ペニントン博士
■ システムズ・バイオロジーのモデリングとBlue Geneによるシミュレーション
IBM T.J. ワトソン・リサーチ・センター グスタボ・ストロビッツキー
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まずの感想はIBMは懐が深い.深すぎるということです.
マシンやソフトを作っているだけでなくて,その上のサービス,研究も平行してやっています.
次の時代も見据えているし.
あと,アメリカのNSFやらなんやらは,次の5年,10年のプランがしっかりしていてびっくりします.日本もそろそろそういう部門をきちんとしなければならいのではないかと強く感じました.
また,NSFの予算の5%位は かならず教育につぎこまないといけないのだそうです.
HPCの教育をどうするのか,ここがしっかりしていなければどうにもならないですね.

イノベーション創出のためのシステム・情報技術

計測自動制御学会では特集号が企画されているようだ.そのタイトルが

-イノベーション創出のためのシステム・情報技術-

なかなか刺激的.
サブテーマとして
● 大規模・複雑システムのためのシステム技術
● 学習・適応・進化などシステムの高度知能化技術
● 生体を理解し、医療を支える技術、ライフサイエンス技術
● 分散性に基づいたシステムの知能化技術とその応用
● ニューラルネットワークの理論と応用および計算知能
● 離散事象システムのモデル化・解析・制御・検証
● ヒューマンマシンシステムの複雑性とその克服
● 身体・脳・環境の相互作用に基づく知能発現の解明とその応用
● 次世代のシステム知を拓く革新的計算技術
などがあげられている.
革新的計算技術とか分散性に基づいたシステムの知能化っておもしろそう.