SSI2015

2015年11月18日から20日にかけて函館にて開催されました計測自動制御 システム・情報部門学術講演会2015に参加いたしました.
本研究室からは廣安先生,日和先生,田中先生,大谷(M2)が参加し,廣安先生,田中先生,大谷(M2)がポスター形式で発表いたしました.
発表題目は以下の通りです.
脳機能の検討のための選択チャンネルの必要性(fNIRSにより計測されたデータを対象に)
廣安知之 (生命医科学部 医情報学科), 日和悟 (生命医科学部 医情報学科)
脳活動に基づく対話型最適化とその入力情報における課題
田中美里 (同志社大学), 日和悟 (同志社大学), 廣安知之 (同志社大学), 三木光範 (同志社大学)
脳機能と脳神経情報の統合による活性部位間のネットワークの検討
大谷俊介 (同志社大学), 日和悟 (同志社大学), 田中美里 (同志社大学), 廣安知之 (同志社大学)
本学会は,システム情報分野の研究者,技術者が集結して当該分野に関連する議論,交流を行う場でありました.
本学会では,オーラルセッション,ポスターセッションの発表の場が同じ部屋で行われたため,研究者・技術者同士の距離が近く,また,すべての発表を見ることができ,有意義な時間を過ごすことができました.
発表に関しては,オーラルで45秒のショートプレゼンを行い,後にポスター発表を行うといった流れでした.
私と分野が異なる方の多い学会でしたが,結果として,自分が伝えたいことを伝えられたと思います.
そして,伝えられた上に,多数の方から貴重なご意見を頂くことが出来ました.
頂いたご意見を今後の修士論文に活かしていきたいと思います.
最後に,本学会参加にあたり,廣安先生,日和先生,田中先生,研究室の皆様には大変お世話になりました.
この場を借りて厚く御礼を申し上げます.
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【文責:M2 大谷】

学会参加報告書

報告者氏名 大谷俊介
発表論文タイトル 脳機能と脳神経情報の統合による活性部位間のネットワークの検討
発表論文英タイトル Study of the network between the active regions by the integration of brain function and structure
著者 大谷俊介,日和悟,田中美里,廣安知之
主催 計測自動制御学会
講演会名 システム・情報部門学術講演会
会場 函館アリーナ
開催日程 2015/11/18-2015/11/20

 
 

  1. 講演会の詳細

2015/11/18から2015/11/20にかけて,函館にて開催されましたシステム・情報部門学術講演会に参加いたしました.本講演は,計測自動制御学会によって主催された講演会で,技術者が集結して当該分野に関連する議論,交流を目的に開催されています.
私は18,19,20日の3日間参加いたしました.本研究室からは他に廣安先生,日和先生,田中先生が参加しました.
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は19日の午後のポスターセッション「最適化の入口と出口」に参加いたしました.発表の形式は,まず,全体に向けてショートプレゼンを行い,その後,ポスター発表を行うといった形式でした.
今回の発表は,脳機能と脳神経情報の統合による活性部位間のネットワークの検討という題で発表しました.発表内容は脳機能と脳神経情報といった複数の情報を統合解析することで,単次元情報だけでは取得できない情報を取得できるというものです.以下に抄録を記載致します.

抄録中身
近年,様々なセンサーや計測装置の利用が可能となり,多様なデータを統合して解析することが可能である.最適化や計測された結果を,単種の単次元データで解析するのではなく,複種の多次元データで解析することが重要である.本稿では,精神疾患の発症メカニズムの解明に繋がると考えられる脳内ネットワークの調査対象に,脳の構造情報と機能情報を統合して検討する.DTIより得られるFA値を指標とし,Fiber trackingを行い,脳神経情報を取得し,fNIRSにより脳機能情報を取得する.適用した事例において,Reading Span Testを対象に検討した.その結果,脳機能情報や構造情報の多次元情報を活用することにより,単次元情報では取得できない情報を得ることが可能となり,より高度な議論を行うことが可能である.

 
 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
・質問内容1
室蘭工業大学 所属の渡邊信也さんからの質問です.こちらの質問は,「機能情報と構造情報を合わせる理由は」というものでした.この質問に対する私の回答は,「機能と構造を統合解析することで,単情報ではわからない情報が抽出できる.本実験では,活性部位付近の神経を確認することができ,その瞬間に発火している神経がわかる」というものでした.
 
・質問内容2
龍谷大学 理工学部 所属の小野景子さんからはいくつかアドバイスを頂きました.それらのアドバイスは「タスクで活性する部位がわかっているのであれば,その活性領域間の神経のみ描画すれば良い」「神経の本数を定量的に示した方が良い」といったものでした.
 

  • 感想

他分野の方に向けての発表だったため,基礎的なことを聞かれることが多かった.それらを伝えることができた上に,自身の研究内容もしっかり伝えることが出来たと思う.ただ,ポスターの画像などもう少し工夫をすることで,より伝わる発表ができたと思う.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の3件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : 近赤外線画像を用いた静脈検出によるストレス評価の検証
著者                  : 舛澤直幸
セッション名       : 生命ソフトウェアとその計測
Abstruct            :ストレス検査方法には心電図や採血等の方法があるが,侵襲性やコストの問題があり定常的な利用は困難である.また,ヒトはストレスを受けると交感神経が優位になり,その結果末梢血管が収縮することが知られている.本研究では,平常時とストレス負荷時に,近赤外線カメラで撮影した手の甲の画像から静脈部分を抽出し,その変化を分析することによる,非侵襲的なストレス評価の可能性について検証する.

本発表で着目したのは,ストレス指標として静脈血管を用いている点と近赤外線という非侵襲な装置を用いている点である.本実験では,身体的ストレスと精神的ストレスを評価しており,身体的ストレスのみ手の甲の静脈に収縮が確認された.唾液アミラーゼがストレス指標として一般的だと思っていたが,他の手法でもストレスを評価できることを知り,とても勉強になった.
 
参考文献
[1] 二木 鋭雄: ストレスの科学と健康, 74/75, 244/245, 共 立出版 (2008)
[2] 田村 守: 光を用いた生体機能計測, 電子科学研究, Vol.2, 16/22, 北海道大学電子科学研究所 (1995)
[3] 早川ら: 近赤外線イメージングによる皮下異物の検出実 験, 医用画像情報学会雑誌, Vol.27, No.3, 50/54 (2010)
 
 

発表タイトル          :時間的負荷が作業効率や認知判断作業時の生理的変化に及ぼす影響
著者                     :薮亀順平 萩原啓
セッション名           :生体生理計測による生体機能の理解と応用
Abstruct :近年、労働時間の増加によりストレスが社会問題となっている。その原因の一つとして時間的負荷が精神的ストレスの要因の一つとして挙げられている。一方で適度な時間的負荷はパフォーマンスに好影響を及ぼすともいわれている。本研究では時間的負荷に着目し視覚・聴覚的な時間的負荷で人間の生理・心理変化、パフォーマンスへの影響を調査した。その結果、聴覚的な時間的負荷が生理・心理状態やパフォーマンスに影響を及ぼすことが示唆された。

この発表で着目したのは,fNIRS計測時に心拍を計測している点である.このように脳血流量変化と心拍を同時に計測し,統合解析することでfNIRSデータを心拍と関連付けて考察することが可能となり,より信頼性を高める結果となる.私も統合解析を行っているので,考え方などを参考にしたいと思う.
 
参考文献
[1]  薮亀順平・萩原啓,時間的圧迫が単調作業、認知判断能力に及ぼす影響と生理的変化の特徴抽出,日本人間工学会中国・四国支部関西支部合同大会講演論文集,pp160-161(2014)
[2]  薮亀順平・萩原啓,タイムプレッシャーが単調作業、認知判断作業時の生理的変化に及ぼす影響,シンポジウム「モバイル’15」講演論文集,pp1-6(2015)
[3]  市原清志,バイオサイエンスの統計学,pp60-73(1990)
[4]  志村孚城: 近赤外分光法による前頭前野計測―認知小の早期発見とリハビリテーション方法の評価―, pp.18-19,コロナ社(2009)

発表タイトル       :定置網漁業における魚種判別アルゴリズムの構築
著者                  :服部僚 高博昭 和田雅昭
セッション名       :システム工学
Abstruct            :北海道函館市の定置網漁業では,魚群探知機を定置網に浮かべており,事前に魚種を把握し効率的な漁獲に 役立てている.従来の魚群探知機はデータを紙に記録するため,デジタル処理を行うことは困難であった.そこ で,データを電子化する魚群探知機を開発した.本研究では,音響・水温・漁獲量のデータを用いた魚種判別アル ゴリズムの構築を行う.判別対象を年間漁獲量が上位 7 位までの魚種と漁業者から要望のあった魚種とし,アル ゴリズムの構築に取り組んでいる.

この発表では,魚種判別アルゴリズムの構築のために,音響,水温,航跡,漁獲量のデータといった様々なデータを収集している. そして,これらのデータで統合解析を行い,新たな情報を抽出していた.この発表から,改めて様々な角度からあらゆる情報を取得し,統合解析する重要性を感じた.
 
参考文献
[1]  安木 茂:計量魚探と中層トロール網を用いた浮魚類の 魚種判別方法, 島根県水産試験場研究報告第 11 号, 2003, pp.7-13.
[2]  和田雅昭, 畑中勝守, 戸田真志:養殖漁業支援のためのユ ビキタスブイの開発, 情報処理学会論文誌 Vol.49 No.6, 2008, pp.1833-1843.