【速報】日本光脳機能イメージング学会

日本光脳機能イメージング学会が、星陵会館で開催されました。
研究室からは

  • fNIRSによる瞑想中の脳活動の計測 藤井聖香 (B4)

が発表しました。

学会参加報告書

 報告者氏名 藤井聖香
発表論文タイトル fNIRSによる瞑想中の脳活動の計測
発表論文英タイトル Conference Report
著者 藤井聖香, 日和悟, 廣安知之
主催 一般社団法人 日本光脳機能イメージング学会
講演会名 一般社団法人 日本光脳機能イメージング学会第19回学術集会
http://jofbis.umin.jp/rally-019.html
会場 星陵会館(東京都千代田区永田町2-16-2)
開催日程 2016/07/23

 
 

  1. 講演会の詳細

2016/07/23に,東京の星陵会館にて開催されました日本光脳機能イメージング学会第19回学術集会に参加いたしました.この日本光脳機能イメージング学会第19回学術集会は,一般社団法人 日本光脳機能イメージング学会によって主催された学術集会で,学生や大学教授,企業が参加しておりました.日本が世界に先駆けて開発した近赤外線分光法を利用した脳機能イメージング法の研究を臨床応用などに促進し、医療の発展に寄与し、広く国民の健康増進に貢献するための議論を行い,この光による脳機能計測法の基礎研究をさらに深め,より発展し確立した技術として脳機能の研究や臨床応用に定着させることを目的に開催されています.
本研究室からは他に日和先生,M1の吉武さんが参加されました.
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は23日の午後のセッション「フラッシュトーク」,「ポスター発表」に参加いたしました.発表の形式は口頭発表で,2分30秒のフラッシュトークと約1時間のポスター発表となっておりました.
今回の発表は「fNIRSによる瞑想中の脳活動を計測」という題で発表いたしました.以下に抄録を記載致します.

「マインドフルネス」とは,「今起きていることに能動的に注意を向けること」であり,その実現手段としてマインドフルネス瞑想が挙げられる.マインドフルネス瞑想はストレス低減や集中力向上の効果があるため,注目されている.そこで,著者らはマインドフルネス瞑想の注意制御の機能に注目し,瞑想経験の無い初心者が数息観という簡易な瞑想によってどのような効果を得ることができるかを検討した.

 
 

  • 質疑応答

今回のポスター発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
森本さんからの質問です.こちらの質問は,心拍はとらないのかというものでした.この質問に対する私の回答ですが,心拍については全く頭になかったと回答いたしました.また,数息観を行うことによって,心が落ち着いたという被験者の声もあり,心拍も併せてみればおもしろいかもしれないと回答いたしました.すぐ傍でポスターを見にきてくださった日立の桂さんに2CHのNIRSを用いれば脳血流も心拍もとれるというアドバイスをいただきました.
 
・質問内容2
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.質問は課題時と安静時の時間をもっと長くしないのはなぜか,学習セッションを取り入れてみてはどうだろうかというものでした.この質問に対する回答ですが,fNIRSを長時間被験者に装着しておくと疲れが出てしまうためと回答いたしました.しかし,課題時と安静時の時間については自分自身ももう少し長くとりたいと思っていたので,実験設計については見直していきたいとも回答しました.また,学習セッションについての回答ですが,ぜひやってみたいと回答しました.しかし,後ほどの議論で初心者と経験者の線引き等学生実験では困難であると考えました.
 

  • 感想

初めての学会,初めてのポスター発表でとても緊張しました.フラッシュトークでは思っていたよりも緊張することなく臨むことができましたが,途中で話す内容が飛んでしまったところもあり,後半は少し焦ってしまいました.ポスター発表では,瞑想を課題として扱ったことに興味を持って来てくださった方も多くみられました.なかなか,うまく話すことができず,日和先生のお力も借りながらとなってしまいましたが,他大学の教授や,学生,企業の方と議論することができ,これからの研究に反映させていきたいと思いました.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : fNIRSで評価する学習による脳の可塑的変化著者                  : 皆川泰代
セッション名       : 大会長講演
Abstruct            : 児童期から青年期そして成人期にいたるまでに認知機能は発達  し,それにともなって大脳の構造や機能も大きく変化する.言語学習(習得)の臨界期という言葉が示すとおり言語の学習という認知機能を例にとってもそのパフォーマンスは年齢とともに劇的に変化するが,その学習機構に関与する脳脳機構の発達変化については多くは明らかになっていない.これは発達期の脳を検討する手法に様々な制約があったことにもよると思われる.本講演では発達脳を比較的簡便に計測できるfNIRS(functional Neat Infrared Spectroscopy)を用いて,発達期の学習機構に関与する脳内機構を検討した一連の研究について概説する.新生児期,学童期,思春期,前成人期の各発達ステージにおいて,学習にともなってどのように脳内ネットワークが再編成されるかを概観し,発達による脳の可塑性の変化について考察する.

この発表は今回私もポスター発表にてとりあげた脳機能ネットワークを用いた研究であり,
とても参考になりました.コネクティビティは,生まれてから成人になるまでに増加し,ピークを迎えたところでその後減少していくという推論にとても興味を持ちました.また,新生児の安静時の活動についての講演をあり,新生児はコネクティビティがかなり多く,その理由については研究段階ということでした.次回の学術集会でその考察がぜひ聴けたらと思いました.
 

発表タイトル       :光計測により可視化する発達脳の機能的ネットワーク著者                  : 保前文高
セッション名       : 招待講演
Abstruct       : 本講演では,乳児を対象としたNIRS計測の結果をもとにして,自発活動で観測されるような基幹となるネットワークが情報処理依存的に修飾されることで特定の機能にかかわるネットワークが形成されるという仮説を提案する.また,機能的ネットワークで中心的な役割を果たす(ハブ)領域を同定することにより,ネットワークを検討することがかえって局在性を顕在化させることにも注目する.このような中心性の高い領域がどの領域と機能的結合を有するかには,乳児の発達過程における「個性」があらわれるという可能性についても議論する.

こちらの発表も脳機能のネットワークを検討した研究でした.私もこれからより詳しく検討したいと思っていた固有ベクトル中心性についての議論であり,自分の研究にとても参考になるような内容でした.ハブとなっている部位の相関の個人差は小さいということで,そこからどこへ結合しているかが「個性」なのではないかと考えました.しかし,fNIRSで計測した表面にハブがあるといっていいのか,深部にあるのではないかという議論でfMRIとの同時計測の話も出ておりました.
 
参考文献

  • 一般社団法人 日本光脳機能イメージング学会, http://jofbis.umin.jp/index.html

学会参加報告書

報告者氏名 吉武沙規
発表論文タイトル GLM analysis to fNIRS data during N-back task using adaptive HRF
発表論文英タイトル GLM analysis to fNIRS data during N-back task using adaptive HRF
著者 吉武沙規, 廣安知之, 日和悟
主催 医療情報システム研究室
講演会名 第19回光脳機能イメージング学会
会場 星陵会館
開催日程 2016/07/23

 
 

  1. 講演会の詳細

2016/07/23に星陵会館で開催されました第19回光脳機能イメージング学会に参加致しました.この光脳機能イメージング学会は日本光脳機能イメージング学会が開催する学術集会で,近赤外光による脳機能計測法の基礎研究を深め、確立した技術として脳機能の研究や臨床応用に定着させるため、研究者間の情報交換,研究協力を促進することを目的として開催されています.
本研究室からは他に廣安先生,日和先生,藤井が参加しました.

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は午後に開催されたポスター発表に参加しました.
ポスター前での議論が行われ,ポスターの概要を発表する2分30秒のフラッシュトークを行いました.
今回の発表は,fNIRSデータの解析方法についての研究を行いました.
アブストラクトを以下に示します

[背景]
NIRS脳計測装置(fNIRS)は,脳イメージング装置であり,近年広く使用されている.脳機能活性は,血流量変化を測定することによって決定される.一般化線形モデル(GLM)は,脳機能活性を分析する方法の一つであり,機能的磁気共鳴画像法(fMRI)分析にも使用される.GLMにおいて活性は,基底関数とテストデータとの回帰分析の類似性によって決定される.基底関数は,矩形関数と血流動態反応関数(HRF)を畳み込むことによって生成され,一般に時間変数がパラメータに使用される. HRFは,最初のピーク遅延,第2のピーク遅延と第1及び第2のピークの比などのいくつかのパラメータを持っている.矩形関数は,実験デザインのイベントに関係し、矩形関数の重みは一般的には均一である.本発表では,HRFのパラメータと矩形関数の重みを,各観測データに最も類似するように最適化するadaptive HRF法の適用を検討する.
[方法]
対象とするタスクは、Nバックタスクである.N=2およびN=3の場合について検討した.HRFのパラメータと矩形関数の重みは,基底関数と実験データとの差を最小化することによって求められる.この操作は全ての被験者の全てのチャネルに対して行った.したがって、最適HRFのパラメータと矩形関数の重みはすべての被験者のチャンネルで決定された.目的関数は,回帰係数βおよび残留誤差eを用いて導出されたt値である.t値を最大化するために、3つのHRFのパラメータおよび矩形関数の重みを決定した.adaptive HRFおよび通常のHRFを使用した際の活性チャンネルを比較することで、手法の有効性について検討を行った。

 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
名古屋大学の方から質問をいただきました.こちらの質問は畳み込みを行っていると言ことでしたが,畳み込みとはどういう処理を行っているのかというものでした.この質問に対する私の回答は,畳み込みはイメージでは足し算のようなもので,計算値が前の数値の影響を受けるものであるという説明とともに,どのように処理しているのかを具体的な数値を用いて説明しました.
 
・質問内容2
多くの方からの質問で,この技術ができることにより何ができるようになるのかという質問をいただきました.この質問に対する回答ですが,普段行っている解析ではすべての脳部位で同一の血流変化モデルを使用しているが,実際の脳血流はどの部位も同じものではない.そこで,血流を正確に表わしたモデルを作成することで,血流がどのタイミング,どのような大きさで発生しているのか,がわかり,呈示刺激に対する処理が脳内でどのように行われているのかを定量的に求めることができると説明しました.
 

  • 感想

今回の発表では,結果が直前に出たため十分な考察ができておらず,私自身があまり理解できていないところもありました.しかし,話をしていただいた中でこの方法がどのようなことに役立つのか,どうすればさらに良くなるのかなど,様々なことは話し合うことができとても貴重な体験だったと思いました.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の7件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : fNIRSで評価する学習による脳の可塑的変化
著者                  : 皆川 泰代
セッション名       : 大会長講演
Abstruct            : 児童期から青年期そして成人期にいたるまでに認知機能は発達し,それに伴って大脳の構造や機能も大きく変化する.言語学習(習得)の臨界期という言葉が示すとおり,言語の学習という認知機能を例にとってもそのパフォーマンスは年齢とともに劇的に変化するが,その学習機構に関与する脳機構の発達変化については多くは明らかになっていない.これは発達期の脳を検討する手法に様々な制約があったことにもよると思われる.本講演では発達脳を比較的簡便に計測できるfNIRS(functional Near Infrared Spectroscopy)を用いて,発達期の学習機構に関与する脳内機構を検討した一連の研究について概説する.新生児期,学童期,思春期,前成人期の各発達ステージにおいて,学習にともなってどのように脳内ネットワークが再編成されるかを概観し,発達による脳の可塑性の変化について考察する.以下に各研修の概要について示す.
研究1では学童期(9-12歳),思春期(13-16),成人期(18-21歳)の音韻学習前後の脳機能の変化,研究2では同じ年齢の3群を対象として推論学習前後の脳機能の変化を検討した.実験参加者は研究1では,英語音韻/r/,/l/の音韻の同定や弁別について約1ヶ月間電子辞書内のアプリによる学習を行い,実験2ではi-pod上のアプリにより単語の母音,子音構造についての推論学習を約カ月間行った.その学習前後において音韻同定や推論のタスクをそれぞれ行っている間の脳活動計測や行動実験を行い,脳活動や脳機能結合の変化,行動と脳反応の関連を検討した.研究3では新生児を対象として/r/から/l/に徐々に変化する/right/-/light/系列刺激を用いた統計学習刺激を提示し,その前後のれスティング状態(安静状態)の脳機能結合の変化および音韻弁別の脳反応を検討した.これらの結果,年齢群別に学習に関連した異なる脳内機構の変化,特に学習効果にともなう脳機能結合の変化がみられた.

この発表は児童期から青年期,成人期では,脳の認知機能は大きく異なるため,すべての時期で,fNIRSを用いて脳機能の変化を追ったものでした.この研究では,成人期と学童期では同じ課題でも処理部位が異なること,学習効果に伴う脳機能結合の変化が見られたことが分かったとありました.この発表により,自分が研究を行う際にも学習効果についての考察が重要であると改めて感じる内容でした.
 

発表タイトル       :Concurrent near infrared spectroscopy (fNIRS) and functional MRI studies on human brain function and physiology.
著者                  : Yunjie Tong
セッション名       : 特別講演
Abstruct            : Functional MRI(fMRI) and near infrared spectroscopy (NIRS) are two noninvasive imaging modalities commonly used to study human brain function. However, they can only measure neuronal activation indirectly through neurovascular coupling. Other non-neuronal physiological fluctuations, such as respiration, can also influence their signals. In thin talk, I will introduce a novel method which identifies a physiological low frequency oscillation(LFO) in fMRI signals through concurrent fMRI/NIRS study. We have demonstrated that this LFO is a dynamic signal which travels with the blood throughout the brain. Moreover, we found that the same LFO in the periphery. These findings indicated the systemic feature of this wave and its potential extracerebral origin. To put our discoveries into practical application, we have designed methods to convert this “confounding” systemic signal into a useful perfusion biomarker. For examples, using the LFO and its temporal shifts, dynamic cerebral blood flow map has been obtained from regular resting state fMRI scans, which allows simultaneous assessment of functional networks and perfusion. Furthermore, novel methods have been developed based on the same analytical principle to: 1) track cardiac pulsation wave in the fMRI data; 2) denoise fMRI data and 3) assess serebral blood flow recovery in Moyamoya patients after surgery.

この発表で着目したのは計測データを数秒ずつずらして相関をとる手法でした.これは従来あまり見かけない方法であり,興味を惹かれる内容でした.この方法を用いることによりネットワークを見ることが可能になるのではないかと考えることができました.
 

発表タイトル       : 光計測により可視化する発達脳の機能的ネットワーク
著者                  : 保前 文高
セッション名       : 招待講演
Abstruct            : 脳血液の局所的な酸素化状態の変化を指標として脳の活動をとらえることで,脳における局在化した機能が明らかにされてきた.また,近年は,研究参加者の集団内で局所的な信号変化量と行動指標との相関関係が検討されるなど,脳機能計測と行動計測とが新たな融合を果たしている.皮質活動に伴う信号変化は局所的な処理を変更するが故に,複数の皮質領域の信号変化を同時にとらえることによって,領域間の関係性を推測することが可能になる.Biswalら(1995)が機能的磁気共鳴画像法(fMRI)のBOLD信号で左右半球の運動野における自発活動をとらえてその間の同期生を示して以来,20年余りの間に膨大な量の知見が蓄積され,基礎研究のみならず臨床的な応用にまで向かっている.信号変化の同期生によって定義われる領域間の関係は機能的結合と呼ばれるが,機能的結合の集合である脳機能ネットワークとともに領域間の解剖学的な投射と機能的な連関のいずれか,もしくは,両方を反映すると考えられる.脳が構造と機能の両面で形成される過程にある乳児期では,機能的ネットワークを可視化することが重要になると考えられ,fMRIを用いたいくつかの研究では成人のネットワークに類したパターンが確認されている.しかしながら,主として睡眠時の自発活動に基づいた機能的ネットワークの探索に依存していることもあり,乳児期の特徴的に起こると想定される機能の局在化と領域間を架する大域化の双方向に向かう発達については限定的な情報を得るに留まっている.多チャンネルの近赤外光脳機能計測装置(NIRS)を用いることによって,乳児の自発活動だけでなく音声刺激に対する応答を広い皮質領域で同時に計測することが可能であるため,上記の発達過程にアプローチできるようになる.本講演では,乳児を対象としたNIRS計測の結果をもとにして,自発活動で観測されるような基幹となるネットワークが形成されるという仮説を提案する.また,機能的ネットワークで中心的な役割を果たす(ハブ)領域を同定することにより,ネットワークを検討することがかえって局在性を顕在化させることにも注目する.このような中心性の高い領域がどの領域と機能的結合を有するかについては,乳児の発達過程における「個性」があらわれるという可能性についても議論する.

この発表では,乳児期において重要である機能的ネットワークの可視化の研究を行っている.従来の方法とは異なり,機能的ネットワークで中心的な役割を果たす領域を同定し,コネクティビティを検討することで脳部位ごとの特徴を見れる可能性があり,興味を持ちました.
 

発表タイトル       : NIRSを用いた嗅覚機能の検討
著者                  : 直井 望
セッション名       : シンポジウム
Abstruct            : 近年,聴覚,視覚,触覚などの感覚機能について,functional Near-Infrared Spectroscopy(fNIRS)を用いた研究の知見が蓄積されてきているが,聴覚機能の検討は少ない.嗅覚機能の脳は,香料を持続的に呈示する方法が多く用いられ,刺激呈示の時間統制が困難であるだけでなく,嗅覚が順応して香りを知覚しなくなるという問題や,計億する空間に香料が残留してしまう残り香の問題があった.そこっで,香料を離散的にパルス射出する方法を用いた「香り発生デバイス」(Furukawa, Suzuki, & Okada, 2013)を用いて,嗅覚刺激時の前頭部の脳活動を,fNIRSを用いて測定した.本発表では,fNIRSを用いた嗅覚機能計測の可能性と問題点について議論したい.
さらに,嗅覚機能と発達障害との関連についても検討を行った.自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorders, ASD)は,社会的コミュニケーションに困難を示し,限定された興味と反復的な行動を示すことで診断される発達障害である.ASDと感覚異常との関連は多く報告されており,ASD児・者における嗅覚の感覚異常(感覚過敏 sensory hypersensitivity および感覚麻痺 sensory hyposensitivity)は,50%以上にものぼることが報告されている(Lane et al., 2010; Schoen et al., 2009).そこで,ASD児・者を対象に,「香り発生デバイス」を用いて評価したfNIRS計測を行い,嗅覚刺激への検知閾値との関連および,その他のプロフィールとの関連の検討を行った研究について紹介したい.

この発表は,他の感覚機能に比べて検討の少ない嗅覚の研究についてでした.ここでは,嗅覚についての研究を行う上での問題を解決するため「香り発生デバイス」を使用していた.また,嗅覚機能と発達障害の関連についても発表されていた.今までとは視点の異なる嗅覚に注目しており,これからの研究の進展が気になる内容だった.
 

発表タイトル       : NIRSを用いた発達障害の診断・治療効果判定の試み
著者                  : 門田 行史
セッション名       : シンポジウム
Abstruct            : 発達障害である注意欠如・多動性障害(Attention Deficit Hyperactivity disorder; ADHD)は小児早期に適切な診断,治療介入が必要であるが,病態に関与する客観的評価指標がないため診断・治療が遅れることがある.fMRI等の脳機能イメージング研究が進み,ADHDの病態について解明されつつある.しかしながら,ADHDと定型発達児の弁別が可能でかつ臨床現場で実用化できる指標はない.ADHDの早期診断および治療には,薬物療法の適応開始年齢である就学前後の評価が不可欠であるが,ADHD児は多動性の症状を持つため高い拘束性を持つ検査には限界がある.
一方,fNIRSは体動に強く拘束性が低いという特徴を活かし,他の脳機能イメージングでは困難であったADHD児の計測を可能とする.我々は,ADHDの病態を評価するために抑制機能課題(Go/Nogo課題)を用いてfNIRS計測を実施した結果,小児ADHDの中心的な障害となる抑制機能に関連する右MFG/IFGの活動低下を集団レベルで見出した.されに個人レベルにおいて,それらの脳領域に該当する脳活動信号(酸素化Hb値)がある一定値を超えたケースをADHD陰性とした場合に,感度90%・特異度70でADHDをスクリーニングできる方法を開発した.
また,ADHD治療薬の客観的効果判定法の開発を目的としてADHD治療薬(モノアミンアゴニスト)内服後の脳機能回復を検証した.二重盲検プラセボ試験を用いて計測した結果,薬物内服後に右MFG/IFGの脳機能回復過程を可視化した.これらの賦活化脳領域は,モノアミンネットワークに関連する脳領域であり,fNIRSを用いた我々の計測システムはADHD治療薬の薬理効果の異同を可視化したと考えられる.

この発表ではNIRSの特徴を生かしたADHD児の病態評価を行っていた.この研究では感度90%・特異度70でADHDのスクリーニングが可能となっていた.病態の評価は治療方法の決定や変更など様々な場面で必要であり,注意欠如・多動性障害のような他の機器では計測できない部分を,NIRSを使用することで可能になるということで,NIRSの臨床応用が進んでいる近年ではますます発展していく内容だと感じることができた.
 

発表タイトル       :縦断計測・大規模計測によるNIRS鑑別診断補助法の改良
著者                  : 小池 進介
セッション名       : シンポジウム
Abstruct            : 近赤外線スペクトロスコピィ(NIRS)については,他の脳画像計測と比べて臨床現場への応用が進み,平成21年に「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」として精神科領域での初の先進医療として認定され,その後,平成26年4月に保険収載された.NIRS研究は日本が世界に先行しており,公的医療制度に認められた検査としても日本が世界に先駆している.その一方で,この臨床応用については,臨床精神医学の視点,NIRS機器特性の視点,認知心理学・脳科学の視点から,批評も多い.東京大学大学院精神医学分野では,これらの視点も踏まえてNIRS研究を進めている.本臨床応用は,慢性期を対象とした横断研究に基づいて出された結果であった.その一方我々は,NIRS信号については疾患特性要因,病態進行要因,年齢や性別など非特異的要因によって変化することを示してきた.我々は現在,統合失調症発症前後の脳画像縦断計測プロジェクト(IN-STEP研究)を実施しており,縦断データを中心に研究を重ねている.縦断研究データを用いた結果として,①初発統合失調症の上前頭回活動が臨床予後を予測できる,②統合失調症の発症リスク群,初発群は,年齢,性別を補正すれば保険収載されたNIRS技術を用いて80%を超えて精神病圏と判断できる(Koikeら,査読中)ことを得た.本発表では,これらの研究成果を紹介し,時間が許せば現在実施中の疫学統計手法に基づく大規模解析,multi-distance and whole-head probeを用いた安静時NIRS脳活動解析結果も紹介したい.

この発表では,2015年に保険適用がなされたNIRSを用いた精神疾患の診断について述べられていた.NIRSの臨床応用には様々な意見があるが,脳活動により予後の予測が可能であったり,80%を超えて精神病圏であることが結果として得られたため,臨床応用が可能であると考えられる内容だった.来年度の脳機能イメージング学会では,NIRSの臨床応用についてを議題として用いるので,ぜひ参加してみたいと思う.
 

発表タイトル       : NIRSを用いた気分計測
著者                  : 佐藤 大樹
セッション名       : シンポジウム
Abstruct            : 1はじめに
近赤外分光法(Near-Infrared Spectroscopy: NIRS)を利用した脳機能計測技術は,計測環境の限定が少なく,簡便性・実用性に優れた特徴を持つ.装置の小型化も進み,学術研究を端緒として様々な応用の実現が期待されている.我々は,ヒトにおいて特に発達している前頭葉に着目して,NIRS研究を進め,ワーキングメモリ(WM)課題に伴う脳活動信号が,主観的に評価した抑うつ区分スコアと関連することを見出した.本発表では,この現象を気分計測として利用し,復職支援プログラムの参加者に適用した研究を紹介する.また,セロトニンの影響を検討する手法である急性トリプトファン枯渇症(Acute Tryptophan Depletion: ATD)を用いた研究により気分計測の背景にある生理メカニズムについて考察する.
2.復職支援プログラムにおける気分計測
NIRSを用いた気分計測の有効性を検討するため,復職支援プログラム参加者に対してNIRS計測および気分の主観評価(質問紙)を継続的に実施した.また,被験者が自分の状態を安定して把握できているか,臨床心理士の判断結果も取得した.その結果,自分の状態を安定して把握できている時期には,気分と関連する脳活動信号(気分脳指標)と主観的な抑うつ気分スコアの間に高い相関が見られた.一方,自分の状態評価が不安定な時期には一貫した傾向が見られなかった.この結果は,NIRSを用いた気分計測が,復職支援プログラム参加者の状態を客観的に把握する手段として有用であることを示唆する.
3.気分およびNIRS信号に対するセロトニン機能の影響
セロトニンは,気分抑制と認知機能の両方への関与が示唆されている神経伝達物質である.本研究では,気分および脳活動信号に対するセロトニンの影響を検討するため,セロトニンが低減した状態を作り出す急性トリプトファン枯渇症(ATD)を併用した光トポグラフィ計測を実施した.健常被験者29名に対してダブルブラインドテストを実施し,ATD条件と統制条件を比較した結果,ATD条件では,ポジティブ気分スコアが低下すると共に言語性WM課題に伴う脳活動信号が低下することがわかった.この結果は,従来の気分計測で見られた相関関係と一致し,主観的な気分スコアと脳活動信号の両方にセロトニンが関与していることを示唆する.ただし,それらの変化量の個人差に有意な相関関係はなく,結果の解釈については更なる検討が必要である.
4.おわりに
NIRSは,日常環境下の脳機能を簡便に計測できる技術であり,その特徴を生かした研究および応用が指向されている.特に,大きな社会問題になっているメンタルヘルスに関しては,客観的な評価方法として役立つ可能性がある.今後,NIRS信号の意味理解を深め,メンタルヘルス向上に貢献する技術として社会実装していきたい.

この発表では,NIRSによる気分計測が被験者の状態を客観的に把握する方法として有用であることが述べられていた.この研究で行われている気分計測は臨床で用いられている精神疾患の鑑別と通ずるものがあると考えられた.したがって,この研究結果を踏まえたうえで精神疾患と脳活動について研究を行うことにより正確な判断やより広範囲の疾患に対応した鑑別が可能になると考え,これからさらに深めていくと面白いのではないかと思える内容だった.
 
学会参加報告書

 
報告者氏名
 
吉武 沙規
発表論文タイトル 最適化HRFとBFによるfNIRSにおける活性解析に対するアプローチ
発表論文英タイトル Adaptive HRF and BF approaches to fNIRS activation analysis
著者 吉武 沙規
主催 医療情報システム研究室
講演会名 Neuroinformatics2016
会場 University of Reading
開催日程 2016/09/03-2016/09/04

 
 

  1. 講演会の詳細

2016/09/03から2016/09/04にかけて,Reading Universityにて開催されましたNeuroinformatics2016に参加いたしました.他にこの学会は,incfによって主催された学会で,この学会は,結果の共有と解析方法の提供を目的として開催されました.またこの学会内では,コンピュータシステムや画像化,ネットワークのモデリングがセッション内で発表されました.
本研究室から他に,廣安先生,日和先生,M1の萩原さん,玉城さんが参加しました.
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は3日の17:30からのPOSTER AND DEMO RECEPTIONに参加いたしました.ポスター前での議論が行われました.
今回の発表は,fNIRSによる計測データの解析方法についての発表を行いました.以下に抄録を記載致します.

Functional Near Infrared Spectroscopy is one of the measurement methods for elucidation cerebral function. Measuring cerebral bloodflow change by using fNIRS, brain activation can be judged. GLM is one of the judging methods of brain activation using cerebral bloodflow change. In GLM, brain activation is judged by regression analysis of hemodynamic model and measurement data[1][2]. This hemodynamic model is created by convolution of hemodynamic response function(HRF)[3] and rectangular function based on the experimental design. Rectangular function and HRF used in thin method is the same, regardless subjects, measurement region and experimental design. But there is a possibility HRF varies depend on brain region and tasks and within subjects[3][4]. Therefore, each HRF is not always the same as general HRF. The method using hemodynamic model made with same HRF and rectangular function can’t analyze along measurement data. So, it is considered that this method is unconvincing in judging brain activation. Therefore, accurate judging method is needed. Rectangular function containing variation information of cerebral activation can be determined by optimizing the function based on measurement data. Also, measurement data can be expressed exactly by optimizing HRF containing timing information based on rectangular function and measurement data. In this way, brain activation is judged exactly. Hemodynamic model matched with fNIRS data was made by optimizing HRF after optimizing rectangular function. HRF parameters are the first peak delay, the undershoot delay and amplitude ratio between the first peak and the undershoot. In optimizing rectangular function, the size of function was determined as the amount of change after 5 seconds which is maximum arrival time. Regression analysis performs on measurement data and hemodynamic model made with rectangular function and HRF. Index of optimization is t value of regression coefficient. HRF parameters are determined when t value reaches maximum. Using 3 parameters of HRF, cerebral function of each subjects and cerebral region was examined.
 

 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
使用機器であるNIRSについての質問をいただきました.したがってNIRSによって計測しているデータが実際に何を計測しどのような内容を表しているのかを説明しました,また,計測原理について近赤外光を使用していることなどを説明しました.
 
・質問内容2
メインの結果が何を示しているのかを説明してほしいという質問がありました.したがって私は,この研究のコンセプトから説明を行いました.コンセプトと比較しながら実際に出た結果が実行課題の刺激の大きさを示すことができ,時系列の変化によってどのように変わっているのか,またHRFの最適化によって刺激に対する血流反応の速さの検討が可能になることを説明しました.
 
・質問内容3
Cross-validationを使用しているのかを質問されました.したがって私はこの研究では回帰分析を使用しているので,使用していないと返答しました.
 
・質問内容4
課題であるn-backタスクを知らない方が多かったので,課題の説明と難易度によりどう違うのかを説明しました.
・質問内容5
今回解析しているデータはOxy-Hbのみで,Deoxy-Hbは使用していないのかと聞かれたので
Oxy-Hbのみ使用していると返答しました.理由としてDeoxy-HbでのHRFについてあまりわかっていないことを説明しました.
 

  • 感想

発表前は自分の英語がどこまで通じるのか,きちんと返答できるのかと不安が大きかったですが,実際に発表した際には,聞き返すと分かりやすくゆっくりと質問しなおしてくださったりして, 受け答えができていたと思います.また,自分が想像していたよりもNIRSやHRFについてご存じない方が多かったので,説明資料を作成していくべきだったと思いました.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : Whole brain fMRI activity at a high temporal resolution: A novel analytic framework
著者                  :  Niels Janssen
セッション名       : Neuroimaging I
Abstruct            : We have developed a new framework for the analysis of functional Magnetic Resonance Imaging (fMRI) data. Whereas current analytic techniques primarily yield static, time-invariant maps of fMRI activity (Smith et al., 2004), our new technique yields dynamic, time-variant videos of whole-brain fMRI activity. The new framework relies on a fundamentally different method of fMRI BOLD signal extraction. Specifically, instead of the standard volume-based signal extraction, the new method extracts the fMRI BOLD signal based on the veridical MRI slice acquisition times. This yields an fMRI signal that is more temporally accurate (Sladky et al., 2011). In addition, we improved the temporal resolution by presenting each slice to a different point in the progression of the BOLD signal [see also Price et al. (1999)]. The fMRI BOLD signal is then extracted using non-standard statistical modeling techniques. Specifically, the fMRI data are first broken up into epochs that are time-locked to the onset of a stimulus. Next, in line with techniques used in EEG (Janssen et al., 2014), statistical models are run at each time-point in the epoch. As the baseline, we used the fMRI signal intensity values available at time-point 0. For this particular choice of baseline, modeling involves extracting the fMRI BOLD signal across time points in the epoch. The number of available timepoints in the epoch (and therefore the temporal resolution) is scalable, up to a maximum that is determined by the rate at which MRI slices are acquired (typically on the order of tens of milliseconds). In order to account for the full complexity of the statistical model, we used Linear Mixed Effect modeling (Pinheiro and Bates, 2000). Our method yields an fMRI signal for every voxel in the brain that is more temporally accurate and of a much higher temporal resolution that is available in current frameworks.
The data manipulation in the new framework relies on functions written as part of the neuro-imaging data analysis package FSL (Smith et al., 2004) and various Python scripts of which the NiBabel package for reading neuro-imaging data forms an indispensable part (http://nipy.org/nibabel/). Statistical modeling of first order individual participant data relied on the data.table and lme4 packages available in the software R (Douglas et al., 2015). Higher order modeling was performed with the randomise function of FSL (Winkler et al., 2014). A key characteristic of the current approach is that it does not rely on data averaging but uses all data points from all epochs in an experiment to model the signal. Advantages of using this pipeline are that statistical modeling of first-order fMRI data is greatly simplified and handled by R. Disadvantages are the slow speed of R, and the large file sizes due to the long data table format requirements imposed by R.
We will illustrate the new technique in the context of fMRI data collected during a visual object naming experiment. We will use these data to explore the spatio-temporal dynamics of the whole-brain fMRI BOLD signal at 390 ms temporal resolution, focusing on task-based functional connectivity. Our new framework can be easily applied to data collected with other types of tasks and provides a novel opportunity to gain insight into the spatio-temporal dynamics of fMRI activity during cognitive tasks.

この発表ではMRIデータの解析手法を提案していました.刺激を与えた時のスライスを用いてボリュームの再構成をしていました.この方法を使用すると刺激付近の脳状態を観察することが可能になっていました.しかし,この方法では刺激による脳活動の変化のみを見られるとは限らないので,検討を行う必要があると感じました.

発表タイトル       :Mechanisms underlying different onset patterns of focal seizures
著者                  : Yujiang Wang
セッション名       : Brain Disorders I
Abstruct            : Focal seizures typically begin with an electrographic onset pattern that is highly stereotyped in individual patients. Qualitative classifications of these onset patterns describe two frequently occurring waveforms – low amplitude fast oscillations (LAF), or high amplitude spikes (HAS). Interestingly, only the former of the patterns is associated with a good surgical outcome. Given the importance of this clinical distinction, we therefore explored whether these two patterns arise from fundamentally different  spatio-temporal dynamics.
We used a previously established computational model of neocortical tissue, and validated it as an adequate model using clinical recordings of focal seizures. Using this model we then investigated the possible mechanisms underlying the different focal seizure onset patterns.
We show that the two patterns are associated with different mechanisms at the spatial scale of a single ECoG electrode. The LAF onset is initiated by independent patches of localised activity, which slowly invade the surrounding tissue and coalesce over time (see Figure 1A). In contrast, the HAS onset is a global, systemic transition to a coexisting seizure state triggered by a local event (see Figure 1B). We find that such a global transition is enabled by an increase in excitability of the surrounding tissue, essentially creating a seizure supporting surrounding. In our simulations, the difference in surrounding tissue excitability also offers a simple explanation of the clinically observed difference in surgical outcomes. Finally, we demonstrate how changes in tissue excitability could be elucidated in principle using active stimulation.
We conclude that the excitability of the tissue surrounding the seizure core plays a determining role in the seizure onset pattern, as well as in the surgical outcome.

この発表では,てんかんの発作発生時の脳活動をEEGで計測し研究していました.また,その時のニューロン変化を見ていました.てんかんの発生には特定の細胞が起因しているのではないかと述べていました.てんかんは多くの方がかかっている病気でもあるので,研究が進み少しでもQOLが高くなるといいと思っているので,このような研究をしている発表者が他にもいて興味を持って聞くことができました.
 
参考文献
(1) S. Tsujimoto, T. Yamamoto, H. Kawaguchi, H. Koizumi and T. Sawaguchi, “Prefrontal cortical activation associated with working memory in adults and preschool
children: an event-related optical topography study,” Neuroimage, vol. 1, no. 21,

  1. 283–290, 2004.

 
(2) M. Hofmann, M. Herrmann, I. Dan, H. Obrig, M. Conrad, L. Kuchinke, A. Jacobs
and A. Fallgatter, “Differential activation of frontal and parietal regions during visual
word recognition: an optical topography study,” Neuroimage, vol. 3, no. 40, pp.
1340–1349, 2008.
 
(3) T. Sano, D. Tsuzuki, I. Dan, H. Dan, H. Yokota, K. Oguro and E. Watanabe, “Adaptive hemodynamic response function to optimize differential temporal information
of hemoglobin signals in functional near-infrared spectroscopy,” Complex Medical
Engineering (CME), vol. 1, no. 1, pp. 788–792, 2012.
 
(4) I. Dan, T. Sano, H. Dan and E. Watanabe, “Optimizing the general linear model for
functional near-infrared spectroscopy: an adaptive hemodynamic response function
approach,” Neurophoton, vol. 1, no. 1, pp. 015004–015004, 2014.