第16回再生医療学会

2017年3月7日~3月9日に仙台国際センターにて開催されました第16回再生医療学会にMISLよりM1石田が参加致しました.MISLから本学会への参加は初参加であり、MISLの試金石となるべく参加しました.本学会では、流行であるiPS細胞や、バイオ3Dプリンタの新たな可能性についてなど、再生医療に関する幅広い分野が一同に 集結します.さらに、この学会は学生よりも企業や研究機関がとても多く、大手企業の方々と直接つながりを作るきっかけにもなり、大変実りある学会となりました.
私は、8日のポスターセッションにて、5分間立ち講演をし、45分間の質疑応答にて議論をさせて頂きました.発表題目は以下の通りです.

「培養角膜内皮の品質評価を目指した自動解析ソフトウェアの開発」
石田直也,奥村直毅,本郷茜,日和悟,廣安知之,小泉範子

 

質疑では45分のところ、1時間程皆様から質問やご指摘を頂き、再生医療の発達に伴い、それを定量化する研究も非常に注目が集まっていることを肌で感じることが出来ました.


【文責:M1 石田(直)】

学会参加報告書

 
報告者氏名
 
石田直也
発表論文タイトル 培養角膜内皮細胞の品質評価を目指した
自動画像解析ソフトウェアの開発
発表論文英タイトル Development of automatic image analysis software for quality evaluation of cultivated cornea endothelial cells.
著者 石田直也、奥村直毅、本郷茜、日和悟、廣安知之、小泉範子
主催 日本再生医療学会
講演会名 第16回再生医療学会
会場 宮城県仙台市 仙台国際センター
開催日程 2017/3/7-2017/3/9

 
 

  1. 講演会の詳細

2017年3月7日から3月9日にかけて、宮城県の仙台市仙台国際センターにて開催されました第16回再生医療学会に参加して参りました。本学会は、日本再生医療学会により主催され、再生医療の進歩、発展及び育成を図ると共に人類の健康増進と福祉の向上に寄与することを目的としており、再生医療に関する様々な分野が一同に集って討論を行う場です。
私は、就職活動の関係で3月7日、8日のみ参加しました。本研究室からは、M1石田直也、ティッシュエンジニアリング研究室からM2本郷茜さんが参加しました。
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は8日のポスター発表の視覚・聴覚というセッションに参加しました。発表時間は口頭5分の後、45分間の質疑応答時間がありました。
今回の発表では、眼の再生医療の産業化に向けて開発した自動開発ソフトウェアの重要性と、その精度について報告しました。以下にその抄録を記載致します。

【目的】我々は角膜内皮障害に対して培養角膜内皮細胞移植の開発を行っている。細胞密度は角膜内皮の健常性の指標であり、移植用の角膜内皮細胞を培養する中で、細胞密度を客観的に評価することが必要である。
【方法】位相差顕微鏡の観察画像を、二値画像に変換し培養角膜内皮細胞の形態情報を測定する自動画像解析ソフトウェア(Cornea Endothelial Cell Analyzer : CECA)を作製した。ヒト角膜内皮細胞を培養し位相差顕微鏡による観察をもとに高密度群および低密度群に分類した(n=50)。CECAにより位相差顕微鏡画像を自動解析し、細胞の核を手動でプロットすることにより算出した細胞密度と比較した。
【結果】CECAにより、位相差顕微鏡画像を二値画像に変換することで細胞形態の自動認識が可能であった。CECAによる平均細胞密度は、高密度群で1598.5±87.0個/mm2、低密度群で1209.0±39.6個/mm2であったのに対して、手動測定ではそれぞれ1713.9±158.5個/mm2および1085.6±78.1個/mm2であった。平均誤差は高密度群で-6.3±5.8%、低密度群+11.8±6.5%であった。CECAによりCV値(coefficient of variation)、六角形細胞出現率を算出が可能であり、細胞密度と有意な相関を認めた。
【考察】培養角膜内皮細胞の位相差顕微鏡画像を用いて、非侵襲的に細胞密度などの形態情報を自動解析するソフトウェアを開発した。
 
  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
株式会社SCREEN主任専門職の小林様からの質問です。こちらの質問は精度の低下は、フィルタ処理のどの部分が原因だと考えられるかというものでした。この質問に対する私の回答はノイズを減弱する過程で細胞境界が喪失していると説明しました。
 
・質問内容2
質問者の氏名を控え損ねてしまいました。実際の臨床では注入直前に品質を確認するため、目視で十分なのではないかという質問を頂きました。この質問に対しては、本ソフトウェアは、臨床直前だけでなく、産業化に向けて大量培養を可能にするソフトウェアでもあることを説明しました。
 
・質問内容3
質問2と同じ方からの質問で、細胞の品質評価という観点から見ると細胞密度だけで十分だと思うが、他の指標はなぜ算出するのかという質問を頂きました。これに対して、意義が少なくとも2つある事を説明しました。1つ目は、それらを基にしたカラーマップを作製することで視覚的に品質を見れるようになること。2つ目は、病態のメカニズムの解明などにも応用が期待されることです。
 
・質問内容4
千寿製薬 経営戦略本部 坂本様からの質問です。このソフトウェアは商品化に向けてバリデーション(妥当性確認)は行っているのかという質問を頂きました。これに対して、精度誤差は計測していることを説明しました。すると、それだけでは無く、ばらつきが収まるべき範囲を指定し、定期的に新たな画像を入力してその範囲内に収まるか等を調査することが、使用するユーザーや企業が求める性能の評価であることを教えていただきました。

  • 感想

本学会は、工学系の学会ではなく、医師や農学博士などが多くいらっしゃいました。そのような方々から、再生医療の産業化に向けたこのソフトウェアは需要が高いことを教わり、大変嬉しく思いました。また、学会前日に本郷さんに研究背景を3時間にわたってご指導頂いたこともあり、発表当日には様々な質問に対応できたと考えています。また、研究進行に関して廣安先生、日和先生にご指導いただき、学会投稿では奥村先生、小泉先生、本郷さんなど多くの方にご指導を頂き、大変貴重な体験を与えてくださったことに感謝いたします。
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.

発表タイトル       : 細胞製造情報および治療情報の活用を目指した
バーチャルコーディネータの構築
著者                  : 紀ノ岡 正博
セッション名       : 異分野間連携による再生医療の新技術
Abstruct            : 再生医療および細胞製造を統合したデータベースならびにシミュレーション技術については、いまだ検討されていない。近年IT活用などの観点から、広範囲の情報を収集して活用する技術の構築が期待されている。特に、自家の培養細胞の移植においては、原料である細胞は患者ごとに質が異なり、製造過程の培養状況が異なり、結果、細胞製造後の移植材の品質も異なる。さらに、移植時の患部の状態(疾患の程度)が異なり、結果、治癒効果が異なる。このように工程管理(PC)、品質管理(QC)そして治癒管理(TC)の一貫した管理が効率的な治癒につながると考えられる。そこで、これまで我々は一貫した管理情報を統合することを目指し、バーチャルコーディネータ構築を目指している。バーチャルコーディネータとは、医師・患者かrなる医療サイトと培養細胞を製造する生産サイトの両者の間のシミュレータであり、治癒予測技術のバーチャルセラピーおよび細胞製造予測のバーチャルファクトリーからなる。両サイトの連携により、その両者から送られてくる情報を最適に調整するシステムで、治癒予測に基づく治癒指針、インフォームドコンセント、細胞特性評価による生産スケジュール、手術日などの決定事項を可能とすることを目指す。特に、バーチャルファクトリーでは培養組織の生産工程スケジュールや完成度を定量的に評価するため、継代培養中に見られる種々の生物パラメータにて管理・データベース化を行い(細胞ポテンシャル評価)、シミュレーションを駆使し実生産を行う仕組みを構築することで、移植用組織生産に対する工程予測や品質評価を行うことを目指す。また、バーチャルセラピーは、治療前におおよその治療結果(治療の終了時期や患部の治癒程度)が予測できるシミュレータ(治癒予測システム)を構築し、医者―患者間の相互理解を支援するため、治療の中心である患者への治療方法の理解および治療の最適化を目指す臨床指針選択できることを目指している。本講演では、角膜移植を目指した技術構築の考え方および現状を紹介する。

この発表では、上皮細胞の培養の様子をシミュレーションするシステムを作成し、その結果と実際の経時変化様子を比較していました。シミュレーションの作成では、確率を基に増殖細胞を配置し、ある条件を満たすと細胞が増殖または消滅する。このようにして層を作り、さらに3Dで多層的に解析を行っていました。このシミュレータの基となるアルゴリズムは私が用いていたGNGと似ており、応用することで、細胞のシミュレータに使えることは非常に興味深く感じました。また、お話の中で、ソフトウェア会社が、あまり再生医療の分野に踏み込んでおらず、伸びしろのある分野であることを仰っており、私の研究の意義も再確認することが出来ました。
 

発表タイトル       : 革新的医薬品等実用化促進事業における成果と
レギュラトリーサイエンス推進に向けた取り組み
著者                  : 奥田 大樹
セッション名       : 革新的医薬品・医薬機器・再生医療製品実用化促進
事業における再生医療製品開発ガイドラインの策定
Abstruct            :平成24年度より厚生労働省の事業として始まった本事業は、レギュラトリーサイエンスの考え方を踏まえて、実施機関と、PMDA及び国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)と連携・人材交流を行い、革新的医薬品・医療機器・再生医療製品の安全性と有効性の評価方法の確立に資する研究を実施し、国が作成する新薬・新医療機器審査・安全対策のガイドラインの世界初または世界同時発信につなげること、並びに、レギュラトリーサイエンスの推進による医療イノベーションの社会的調和を図るとともに、アカデミア、審査側双方において、革新的技術及びレギュラトリーサイエンスに精通した人材育成及びそのための体制の確立に資することを目的に実施されてきた。本年度で事業が終了するにあたり、本事業における成果の概要と、PMDAが実施しているレギュラトリーサイエンスに係る最近の取り組みを併せて紹介する。
 

レギュラトリーサイエンスとは、一言でいうと評価化学であり、根拠に基づいて基準を策定することだと認識しています。この概念について専門家たちの議論を目の当たりにし、再生医療製品において、基準を設けることは難しい問題であることを感じました。
また、再生医療業界での日本の立ち位置について、アメリカの再生医療への研究開発費の投資は日本とは比べ物にならないほど大きく、それに対抗するには日本は合理的、効率的に開発をする必要があることが言われていました。