第17回日本光脳機能イメージング学会

7月26日(土)に東京都千代田区永田町の星陵会館にて第17回日本光脳機能イメージング学会が開催されました.本研究室からは横内先生,眞島希実(M2),早川温子(M2),木村茜(M2)が参加しました.眞島,早川,木村はポスター発表で参加いたしました.
発表題目は以下の通りです.
●題目「リーディングスパンテストの高成績者と低成績者によるワーキングメモリの検討」
真島希実,山本詩子,横内久猛,廣安知之
●題目「脳血流変化を用いた訓練に伴う技能習得における習熟度変化の検討」
早川温子,山本詩子,横内久猛,廣安知之
●題目「視覚刺激と聴覚刺激に対する注意度合いと脳血流変化の検討」
木村 茜,山本詩子,横内久猛,廣安知之
日本光脳機能イメージング学会は,光脳機能イメージング法を利用・開発する臨床医,研究者,技術者等に情報を交換する場を提供し,光脳機能イメージング法を発展させ,その普及・促進を図ることを目的とした学会です.
第16回大会よりも参加者も増えたそうで,多くの先生方に発表を聞いていただくことができ,活発な議論をすることができました.自身の研究に自信が湧くと同時に,反省点課題もたくさん見つかり,とても有意義な学会参加になりました.
学会終了後は,近くで行われた第33回日本医用画像工学会大会に参加していた林沼くん(M1)と合流し,MISLの研究環境について横内先生とお話をさせていただきました.学会参加を含め,MISLでの研究は想像以上に注目されている分野であり,恵まれた環境で研究をさせていただいていることを再認しました.
廣安先生,山本先生,田中先生,所属班および研究室すべての皆様,学会参加にあたり,多くのご指導ご鞭撻を誠にありがとうございました.今後とも精一杯頑張りますので,よろしくお願いいたします.
【M2:木村】
1407121822593 1407121825042

学会参加報告書

 報告者氏名 真島 希実
発表論文タイトル リーディングスパンテストの高成績群と低成績群によるワーキングメモリの検討
発表論文英タイトル Study on the related regions of working memory using reading span test of high and low score group
著者 真島希実, 山本詩子,横内久猛,廣安知之
主催 一般財団法人
講演会名 日本光脳機能イメージング学会学術集会
会場 星陵会館
開催日程 2014/07/26

 
 
1. 講演会の詳細
2014/07/26に星陵会館にて開催されました第17回日本光脳機能イメージング学会学術集会に参加いたしました.この学会は酒谷先生と渡辺先生によって主催された学会でfNIRS装置を広めていこうという目的で開催されています.
本研究室からは他に横内先生,木村さん,早川さんが参加しました.
 
2. 研究発表
2.1. 発表概要
私は26日の16時からのポスターセッションで参加いたしました. 3分の講演時間と2分の質疑応答時間となっておりました.
今回の発表はリーディングスパンテストの高成績群と低成績群によるワーキングメモリの検討で,以下に抄録を記載致します.

【目的】ワーキングメモリは容量に制限や個人差があるとされているが,トレーニングにより容量を増加させることで作業効率の向上が期待される.これより,ワーキングメモリ容量を増加させようとする研究が多くなされている.しかし,脳機能と関連した評価方法は確立されておらず,自身のワーキングメモリの状態を知ることは困難である.そこで,fNIRS(functional near-infrared spectroscopy)を用いてワーキングメモリと脳機能の関係について検討した.今回は基礎研究として言語性ワーキングメモリ課題であるRST(Reading Span Test)の成績により,ワーキングメモリ容量と脳血流量変化の関係を調査した.【方法】女性健常者20名に対して,RSTを5回行った時の脳血流量変化を測定した.着目部位はBaddeleyのモデルを参考に中央実行系があるとされる前頭前野背外側部(DLPFC)と音韻ループがあるとされるブローカ野,ウェルニッケ野に設定した.RSTは保持できた単語数で評価され,成績が良いほどワーキングメモリ容量も大きいとされる.成績の高い4名をHigh群,成績の低い4名をLow群とし,脳血流変化の群間比較を行った. 
【結果】ワーキングメモリのモデルで中心となるDLPFCの働きの違いを検討するため,タスクに対する血流動体関数を作成し,High-Low群間で比較を行った.その結果,High群ではLow群と比較して関数とDLPFCで有意に高い相関が得られた.また,DLPFCの命令で働くブローカ野とウェルニッケ野の関連について比較したところ,High群ではDLPFCとブローカ野,DLPFCとウェルニッケ野で高い相関を示した.それに対してLow群では, DLPFCとウェルニッケ野では高い相関を示したものの,DLPFCとブローカ野の相関はHigh群に対して有意に低かった.
 
【考察】DLPFCが注意の制御を行う部位であるならば,課題中にのみ活性すると考えられる.血流動体関数とDLPFCの血流量変化の相関が高いことから,High群では課題中に必要な注意の制御を行うことが出来たと考えられる.また,High群はDLPFCとブローカ野,ウェルニッケ野で高い相関を示し,ワーキングメモリのモデルに対応する各部位が活性していたと考えられる.それに対してLow群は, DLPFCとウェルニッケの相関は高かったが,血流動体関数とDLPFCの血流量変化の相関は低く,注意の制御はできていなかったと考えられる.さらに,DLPFCとブローカ野の相関は低く,情報の更新をできていない可能性が考えられる.
 
【結論】High群においては,ワーキングメモリの中心となるDLPFCが注意の制御を行うことができたと考えられる.また課題を遂行するためにはDLPFCの活性とブローカ野が同調して活性することが重要であると考えられる.

2.2. 質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
国立障害者リハビリテーションセンター研究所の感覚機能系障害研究部 部長 森浩一さん
からの質問です.血流動態関数の作り方についての質問でした.加算して比べているならば何と同じと言っているかわからないので,意味がないとのことでした.また活性もみなければ意味がないとのことでした.
 
・質問内容2
国立障害者リハビリテーションセンター研究所の感覚機能系障害研究部 部長 森浩一さん
からの質問です.音韻ループは何と考えているのか?単語を覚えるためにはリハーサルが必要なのでこの部分が働いていれば高成績の可能性が高いと考えていると答えました.しかし,高成績は音韻ループとか使わないから音韻ループと中央実行系と同調してるから高成績とはいえない.そもそも結果からこのモデルが当てはまってますよね?という考えがおかしい.
 
2.3. 感想
今回の学会参加は3回目でしたが,一番心に残る発表でした.それは国立障害者リハビリテーションセンター研究所の感覚機能系障害研究部の森浩一さんからたくさんご意見を頂いたからです.厳しいこともたくさん言われ,正直,その時は理解できないことが多かったのですが,貴重な意見を頂けたと思います.学会参加は次で最後となりますので,次は後悔ないように課題を一つずつクリアしていきたいなと思います.
 
3. 聴講
今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル      : fNIRSは脳波の夢をいるか著者                 :中央大学,理工学部,人間総合理工学科,教授 壇一平太セッション名      :特別企画 シンポジウムAbstruct           :
誕生から20年を経たいま,fNIRSは新たな10年の一歩を踏み出した.果たして10年後にfNIRS研究者が羽鳥つく地平には,どのゆな風景が見えているだろうか?fNIR研究者が辿るであろう道筋を考える時,有用な道となるのが脳波研究である.
1920年代,Hans Bergerによる脳波の発見は,1950年代に大きな進化を遂げた.感覚刺激を基準として脳波信号を平均化することによって誘発電位の解析が可能になったためである.さらに1960年代,脳波信号の差分によって得られる事象関連電位の登場によって,P300やMMNといった認知機能を反映する脳波成分の解析が可能になった.一方,事象関連電位は,精神活動の一端を垣間見る窓として,今もなお絶え間なく研究のテーマを提供し続けている.しかし,保険収載はなされておらず,臨床応用については道半ばとなっている.この違いは何に起因するのか?誘発電位では信号が明瞭かつ刺激と信号源と信号の関係が明確であるが,事象関連電位は精神瞭である.一方,MNNは信号源が定かであるものの,信号が小さい.
脳波のたどった歴史を鑑みると,fNIRSが進むであろう二つの方向性がみえてくる.まず,確固たる臨床応用を目指し,明瞭な信号が得られる刺激を用い,信号源と信号の関係を明確にするという営みは進めていくべきであろう.一方で,巧妙な認知科学的な実験パラダイムを駆使し,精神活動のなぞを解き明かすという知的探求の道も続いているだろう.科学の発展にとっては,臨床応用と基礎研究のいずれも重要である.しかし,役割は対称的でない.技術の普及には,臨床応用の方が有用である.例えば,医療機関において,事象関連電位の研究のために脳波計を買うことは困難であるが,誘発電位の応用のために購入した脳波計を使って事象関連電位の研究を行うことは可能である.また,脳波計自体の普及により,単価は下がり,純粋な研究目的での購入も容易となる.
この意味で,今年度,鬱症状の鑑別補助に対して,fNIRSによる検査が保険収載されたという事実は,今後のfNIRS研究の発展に際して,極めて重要な意義を持つことになるだろう.fNIRSで計測される信号と鬱のメカニズムに関しては不明の点も多く,臨床応用は時期尚早との批判もある.しかし,fNIRSが身近となり,それを研究に使う機会が格段に増えたという状況の出現は歓迎すべきである.
ただし,鬱症状の診断だけでは,夢はいつ醒めるとも限らない.さらなる安定的な臨床応用が実現してこそ,fNIRSの持続可能なアクセスが可能となる.その結果として,基礎研究者は脳機能研究という見果てぬ夢を手に入れることが可能になるだろう.はたして,fNIRS研究者が10年後,脳波研究者のように夢を見続けていられるのかどうか,その成否は,fNIRSの臨床応用の進展に掛かっている.

この発表はfNIRSの解析方法の提案でした. fNIRSの一般的な解析方法は定められていません.ここではそれを解決するためにfMRIでの一般的な解析であるHRFモデルを使った解析方法を紹介されていました.これはOxyとDeoxyで両方のHRFモデルを検討することでfNIRSの解析でもつかえるのではとのことでした.この論文を学会参加前に読んでいたので,よくわかり自分の研究でも実用できるのではないかと思いました.
 
 

発表タイトル      :NIRS信号による発達障害の診断補助指標の開発著者                 :柳澤一機,日本大学生産工学部 他セッション名      :一般演題 公演Abstruct           :【はじめに】近年NIRS装置による脳活動計測は,発達障害や精神疾患の診断補助方法として注目されている.しかし,NIRS信号の特徴を定量的に評価することが難しいという問題点がある.そこで,本研究では,oxy-Hb信号とその微分値から作成した特徴平面を用いて,NIRS信号の特徴を評価する指標を開発する.ASD(Autistic Spectrum Disorder)者と健常者の脳活動を測定し,その結果を開発した指標をもちいて評価する.
【NIRS信号の特徴平面】本研究では,oxy-Hb信号とその微分値に注目する.oxy-Hb信号の微分値は,タスクのワークロードと相関があることが確認されている.提案法では,oxy-Hb信号とその微分値から特徴平面を作成し,その特徴平面上のタスクとレストの代表点の分布から,NIRS信号の評価を行う.
もし,タスク時とレスト時の脳活動パターンが大きく異なる場合,特徴平面上ではタスクの代表点とレストの代表点が離れて表れる.反対にタスクとレストの脳活動がほとんど変わらないような場合,特徴平面上ではタスクの代表点とレストの代表点が混在する.そこで,タスクとレストそれぞれの代表点の分散(特徴平面上の代表点の広がり)と軌跡同士の重心間距離(タスクとレストの代表点同士が離れているか)の二つの値に注目する.さらに,代表点が特徴平面のどの象限にあるかから重みを設定し,重み付き分離度(WS: Weighred Speparability)という指標を定義した.
【WSによる評価】健常者とASD者を対象に実験を行い,提案した指標の有効性を検証した.異なる色と形の図形を3種類3秒ごとに連続した画面に刺激を呈示して記憶させ,そのあと8個の図形を表示した画面上から先に呈示した図形を探索して順番ン通りに指で示す課題を行った.コントロール条件として,8個の図形を表示した画面上から同じ画面の上部枠内に示した図形を順番通りに探索して指で示す課題を行った.脳活動はNIRO200(浜松ホtニクス)を用いて行い,前頭前野左右2chを計測した.実験参加者は,健常者21名,ASD者11名とした.
健常者では,WM課題中にOxy-Hbが上昇し,NWM課題時にベースラインに戻る変動を示した.WM課題とNMW課題時の脳活動の特徴が大きく異なるため,WSは高い値を示した.一方で,ASD者ではそのような外側部では,健常者と比較してASD者はWSが低く,その違いに有意差があることが確認できた.
この結果からOxy-Hbとその微分値に注目してNIRS信号の特徴を評価するWSにより,発達障害の診断補助指標を開発できる可能性を示した.

この発表はASD患者と健常者で脳血流変化の違いを検討していました.健常者では課題に対する活性をしているのに対し,ASD患者は活性しているものの課題に対する活性はないという結果でした.これを定量的に評価するために分散を用いていました.ASDは分離度が小さいのに対し,健常者では分離度が大きいという結果で,分離度で評価するのはおもしろいなと思いました.
 
参考文献
1)     第17回日本光脳機能イメージング学会, http://jofbis.umin.jp/
 
学会参加報告書

報告者氏名 木村茜
発表論文タイトル 視覚刺激と聴覚刺激に対する注意度合いと脳血流変化の検討
発表論文英タイトル Impact of the different degree of attention to the auditory and visual stimuli
著者 木村茜, 山本詩子, 横内久猛, 廣安知之
主催 日本光脳機能イメージング学会
講演会名 第17回 日本光脳機能イメージング学会 学術集会
会場 星陵会館
開催日程 2014/7/26

 
 
講演会の詳細
2014/7/26に,東京都千代田区永田町の星陵会館にて開催されました第17回 日本光脳機能イメージング学会 学術集会(http://jofbis.umin.jp/rally-017.html)に参加いたしました.この日本光脳機能イメージング学会は,日本光脳機能イメージング学会によって主催された集会で,“光脳機能イメージング法を利用・開発する臨床医,研究者,技術者等に情報を交換する場を提供し,光脳機能イメージング法を発展させ,その普及・促進を図ること”を目的に開催されています.
本研究室からは他に横内先生,早川,眞島が参加しました.
 
研究発表
発表概要
私は26日のポスターセッションに参加いたしました.時間は40分となっておりましたが,終了時刻を過ぎてからも質疑が伸びて1時間30分ほど発表をしました.
今回の発表は,ポスター発表です.以下に抄録を記載致します.

【目的】脳機能マッピングの分野において,多くの実験は被験者の刺激に対する反応を観察することにより検討されている.しかし,様々な異なる課題では視覚刺激や聴覚刺激,または両方の刺激が使用され,同じ脳機能を計測する課題であっても,その反応は異なる可能性がある.また,注意の度合いは刺激によって異なり,その際の反応や脳の活動状態は大きく異なると考えられる.しかし,異なる感覚の相互作用やそれぞれの感覚に対する注意度合いによる脳の活性状態の違いは明らかになっていない.そこで本研究では,視覚刺激と聴覚刺激の2種類のGO/NOGO課題を同時に実施する.そして感覚情報への注意の度合いの変化と,その脳内表現の違いについて反応時間と脳血流変化を用いて検討する.【方法】
本実験は,成人健常者11名に対し,functional Near-Infrared Spectroscopyを用いて, GO/NOGO課題を行う際の大脳皮質のヘモグロビン濃度変化量を測定する.そして,課題を10分間行い,視覚刺激と聴覚刺激それぞれに対する平均反応時間とその分散を注意の指標として,注意の度合いによる脳活動状態の違いを検討する.両刺激に対して最も反応が早いときと遅いときを比較し,有意に注意度合いが異なるとき,被験者全員において血流が有意に増加あるいは減少(p<.05)した部位を注意関連部位として着目した.
【結果】
注意関連部位は前頭部の右下前頭回付近となった.注意度合いの変化と右下前頭回の脳血流変化量について検討した.視聴覚刺激両方に最も注意しているとき,聴覚刺激に比べ視覚刺激に注意しているとき,視覚刺激に比べ聴覚刺激に注意しているとき,両刺激に対して最も注意をしていないとき(低注意状態と呼ぶ)の4つの注意の度合いにおける脳血流を比較した.すると,上記の順に脳血流変化量が増加した.また,低注意状態における反応時間の分散値によって注意度合いを分類した.その結果,反応時間の分散値が小さいときに比べて,分散値が大きいときに右下前頭回の脳血流変化量が有意に増加した.
【結論】
本研究で得られた結果より,反応時間で注意の度合いを示すことができた.一般に,脳に入力される情報量の多い方がより脳は活性することが知られている.聴覚刺激より視覚刺激の方が課題の持つ情報量は多いため,注意が行われる際も視覚刺激に対して,より脳活動は増加すると考えられる.本実験においても,注意関連部位において情報量に対する注意の度合いが反映されたと考えられる.そして今後,反応時間の分散値を同時に考慮することで,より被験者の注意度合いを詳細に評価することができる可能性が示唆された.

 
質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
・質問内容1
中央大学 理工学部 人間総合理工学科の檀一平太先生から質問をいただきました.こちらの質問は,①類似度の比較を行う前に,まずRTとCBFが似ているのか?類似の証明が必要なのではないか?②ベースライン処理は必要なのでは?いうものでした.この質問に対し私は,①今回は視覚と聴覚の刺激に対する反応時間の変化のどちらがより類似しているかの検討しかできていない,②注意の変化によるものと生体の揺ら現象による脳血流変化がどちらも未明であるため分離できない.よって特別な前処理を行わなかった.生体の揺らぎだけを消去する方法があるのならば教えてほしいと答えました.
 
・質問内容2
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.こちらの質問は,キーの押し分けにワーキングメモリが働いてしまっているのでは?というものでした.この質問に対し私は,確かに必要ですと答えました.注意を計測する課題において,反応時間を計測する課題において,課題に対する応答を記憶するというワーキングメモリとは欠かせません.
 
・質問内容3
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.こちらの質問は,注意度合いをどのように決めたのか?なぜ注意度合いを分けようと思ったのか?というものでした.この質問に対し私は,視覚と聴覚に対する反応時間によって注意度合いを定義したと答えました.
 
・質問内容4
早稲田大学大学院 先進理工学研究科の松本隆先生から質問をいただきました.こちらの質問は,右下前頭回の脳血流変化と注意指標の相関をみてどんなシステムを作りたいのか?というものでした.この質問に対して私は,注意力を定量化して注意の減衰に対処できるシステムを提案できるようになればいいと思うと答えました.しかし相関自体を検討することに研究の中心を置いているように伝わったのか,あまり納得はしていただけませんでした.
 
感想
あまり一般的でない設計のGO/NOGO taskを使用しているなどの理由からか,実験設計や結果の見方などについての質問が多いと感じました.今後はもっと分かりやすい説明や図を目指します.また凡例やグラフの表記に誤りがあり,確認不足であったことを深く反省しています.
しかし多くの方々に興味を持っていただけたようで,絶えず質問やご意見をいただくことができ,幸いでした.まだまだ研究を詰めなければいけないと自覚している点もあるのですが,様々な先生からいろいろな点の指摘をいただき,更なる勉強・研究を続けなければいけないと実感しました.学ぶことの多い学会参加になりました.ありがとうございました.
 
聴講
今回の講演会では,複数の発表を聴講しました.

発表タイトル           :脳疾患に対するNIRSの臨床応用:過去,現在,未来著者                          :日本大学,工学部・次世代工学技術研究センター,医学部・脳神経外科 酒谷薫セッション名             :大会長講演
Abstract :
近赤外分光法(NIRS)は,当初,新生児の脳虚血・低酸素による脳循環障害をモニタリングすることを目的に開発された.その後,成人でも脳循環を計測できるようになり,1993年には神経活動時の賦活脳循環変化を計測できることが相次いで報告された.さらにマルチチャンネルNIRSが開発され,新しい脳機能イメージング装置として脳科学研究や臨床応用に応用されるようになった.NIRSはダイナミックに変化する脳機能を高い時間分解能でリアルタイムに捉えることができ,装置がコンパクトで移動できるため測定場所の制限が少ない利点を有する.本公演では,これまで行ってきたNIRSの臨床応用例について紹介し,NIRSの利点・欠点と今後の展望について考察する.
1)      脳疾患例における賦活脳血流酸素代謝変化
fMRIは常磁性体の脱酸素化ヘモグロビン(Hb)濃度変化を計測しているが,NIRSは脱酸素化Hbに加え酸素化Hbも計測できる利点がある.NIRSとfMRIの比較実験により,脳疾患例(脳血管障害,脳腫瘍,機能的脳疾患)は正常脳と異なり神経活動部位で脱酸素化Hb濃度が低下せず,fMRIが正確に活動領域をイメージングしない症例があることを明らかにした.
2)      時間分解スペクトロスコピー(TRS)による脳機能計測
TRSはピコ秒パルス光を使用し,光拡散方程式より安静時のHb濃度を算出できる利点がある.TRSを用いて頭部の光路長,安静時Hb濃度のマッピングを行った.また,TRSを用いた脳機能計測により化粧療法や銀杏葉エキスの認知機能改善効果について明らかにした.
3)      ストレス評価法の開発
NIRSを用いて脳のストレス状態を客観的に評価する方法を開発した.2Ch-NIRSを用いてストレス課題遂行中の前頭葉活動を測定し,左右の活動バランスを計測すると,右優位に活動する例では自律神経系,内分泌系のストレス反応が強く,逆に左優位では弱かった.また,効果的なリラクゼーションにより右前頭葉優位の反応が左優位に変化し,ストレス反応も低下した.さらに,安静時のNIRS計測により,ストレス状態を評価するアルゴリズムを開発した.NIRSは簡便かつ客観的に脳のストレス状態を評価でき,ストレス性疾患の予防ツールになる可能性がある.

この発表は,大会長によるNIRSの過去,現在,未来についての発表でした.NIRSの計測原理からcwNIRSを発展させた新しい計測装置まで,NIRSに関わるさまざまなお話を聞くことができました.私の研究においては主に酸素化Hbについて検討していますが,脱酸素化Hbや総Hbとともに観察することによって,脳虚血・低酸素・過灌流などの脳状態を判別できるなど臨床的なお話もあり,自身の研究でまだまだNIRSの利点を生かし切れていない可能性があるなと思いました.
また,これからの少子高齢化社会対策→病気予防→ストレス緩和→fNIRSで日常のストレス計測という展望も面白いと思いました.自律神経系や内分泌系とfNIRSの研究,Laterally Indexによるストレスの左右非対称性解析など,実現にむけてMISLの研究が生かされたらいいなと思いました.
 

発表タイトル           :NIRS信号による発達障害の診断補助指標の開発著者                          :柳澤一機,網島均(日本大学生産工学部),中村のぞみ(日本大学大学院生産工学研究科),成田奈緒子(文教大学教育学部),酒谷薫(日本大学工学部・電気電子工学科,医学部脳神経外科)セッション名             :一般演題 口演
Abstract :
【はじめに】近年,NIRSによる脳活動計測は,発達障害や精神疾患の診断補助方法として注目されている.しかし,NIRS信号の特徴を定量的に評価することが難しいという問題がある.そこで,本研究では,oxy-Hb信号とその微分値から作成した特徴平面を用いて,NIRS信号の特徴を評価する指標の開発する.ASD(Autistic Spectrum Disorder)者と健常者の脳活動を計測し,その結果を開発した指標を用いて評価する.
【NIRS信号の特徴平面】本研究では,oxy-Hb信号とその微分値に注目する.oxy-Hb信号の微分値は,タスクのワークロードと相関があることが確認されている.提案法では,oxy-Hb信号とその微分値から特徴平面を作成し,その特徴平面上のタスク時とレスト時の代表点の分布から,NIRS信号の評価を行う.
もし,タスク時とレスト時の脳活動パターンが大きく異なる場合,特徴平面上ではタスクの代表点とレストの代表点が離れて表れる.反対にタスクとレストの脳活動がほとんど変わらないような場合,特徴平面上ではタスクとレストの代表点が混在する.そこで,タスクとレストそれぞれの代表点の分散(特徴平面上の代表点の広がり)と軌跡同士の重心間距離(タスクとレストの代表店同士の距離が離れているか)の2つの値に注目する.さらに,代表点が特徴平面のどの象限にあるかから重みを設定し,重み付き分離度(WS:Weighted Separability)という指標を定義した.
【WSによる評価】健常者とASD者を対象に実験を行い,提案した指標の有効性を検証した.異なる色と形の図形を3種類3秒ごとに連続して画面に刺激呈示して記憶させ,その後8個の図形を表示した画面上から先に呈示された図形を探索して順番通りに指で示す課題を行った.コントロール条件として,8個の図形を表示した画面上から同じ画面の上部枠内に示した図形を順番通り探索して指で示す課題を行った.脳活動はNIRO(浜松ホトニクス)を用いて行い,前頭前野左右2chを計測した.実験参加者は,健常者21名,ASD者11名とした.
健常者では,WM課題中にoxy-Hbが上昇し,NMW課題時にベースラインに戻る変動を示した.WM課題とNMW課題時の脳活動の特徴が大きく異なるため,WSは高い値を示した.一方でASD者ではそのような変動が見られずWSは小さい値を示した.健常者とASD者のWSをまとめた結果を図1に示す.前頭前野左外側部では,健常者と比較してASD者はWSが低く,その違いに有意差があることが確認できた.
この結果からoxy-Hbとその微分値に注目してNIRS信号の特徴を評価するWSにより,発達障害の診断補助指標を開発できる可能性を示した.

この発表は,Oxy Hbとその微分値を用いて,活性を定義することで活性の定量評価を目指す研究の発表でした.Oxy Hbとその微分値を横軸縦軸にとる特徴平面など,今まで知らなかった活性の評価方法を知ることができとても面白いと思いました.レストとタスクで代表点の分布に差がうまれるための重みなども,課題の難易度に相当するのでしょうか.引用先の論文を拝見すると,離散ウェーブレット変換による多重解像度解析などの前処理をしているそうで,勉強させていただきました.
学会参加報告書

 報告者氏名 早川温子
発表論文タイトル 脳血流変化を用いた訓練に伴う技能習得における習熟度変化の検討
発表論文英タイトル Examination of the proficiency level on skill acquisitionusing cerebral blood flow changes
著者 早川温子,山本詩子,横内久猛,廣安知之
主催 一般社団法人
講演会名 第17回日本光脳機能イメージング学会
会場 星陵会館
開催日程 2014/07/26

 
 
1. 講演会の詳細
2014/07/26に東京都千代田区永田町の星陵会館にて開催されました第17回日本光脳機能イメージング学会に参加致しました.脳機能イメージング学会は,一般社団法人によって主催された研究発表会で,光脳機能イメージング法を利用・開発する臨床医,研究者,技術者等に情報を交換する場を提供し,光脳機能イメージング法を発展させ,その普及・促進を図ることを目的とし開催されています.
私は7月26日(土)に日本光脳機能イメージング学会に参加致しました.本研究室からは他に横内先生,木村,真島が参加しました.
 
2. 研究発表
2.1. 発表概要
私は26日の午後のセッション「一般演題 ポスター」に参加致しました.発表の形式はポスター発表で,3分の発表時間と2分の質疑応答時間となっていました.
今回の発表は,立体視課題を用いた習熟度に関する研究報告を行いました.以下に抄録を記載致します.

【はじめに】技能を習得するためには,理解と習熟の2段階があり,特に手術等の人の命に直接関わる技能は習熟段階に達していることが必須である.現在,習熟の評価には,課題成績を用いているが,これだけでは明確な習熟度判断は不可能である.そのため,習熟度を客観的に判断するために課題成績以外の指標が必要である.そこで,本研究では一ヶ月に渡って継続的に実験を行い,生理的指標を用いて習熟段階までの過程を検討する.本研究の目的は生体情報を用いた客観的な習熟度評価方法の確立である.
【方法】訓練の進展による習熟度の変化及び習熟度判定のための脳血流変化を利用した指標の検討を行うために,個人ごとに能力差の見られる立体視を訓練課題として実験を行った.立体視には,ひらがな一文字が知覚可能なステレオグラムを使用した.また,立体視の不得意な被験者に対し,4週間毎日訓練を行うよう指示し,訓練に伴う習熟度の変化を観察するために週に1回fNIRS (functional near infrared spectroscopy)で脳血流変化を計測した.男性健常者1名,女性健常者4名を被験者とし,計測には日立メディコ製のfNIRS,ETG-7100を使用した.10-20法に準拠し,両側頭部,後頭部,頭頂部,前頭部に計測プローブを配置した.実験は,最初に30秒間安静状態を保ちながら注視と発話を行う.次に60秒間の課題時間に立体視を行う.課題は2秒の注視の画面と最長10秒間表示されるステレオグラムの画面で構成されており,この2画面が繰り返し表示される.ステレオグラムの画面では,発話での回答後,次の画面へ進めるように設定した.最後に安静の時間を50秒間設け,最初の安静時と同様のことを行う.
【結果と考察】課題成績,回答時間,脳血流変化について検討を行った.第一に,課題成績は1分間に立体視出来た画像枚数で評価し,週を追うごとに成績が上昇した被験者は課題に対して習熟していることが分かった.そして,課題成績の上昇の仕方により,2グループに分類した.第二に回答時間について検討した.回答時間と課題成績の相関係数を算出したところ,週を追うごとに成績が上昇した被験者においては,高い負の相関を示した.この結果からも被験者は週を追うごとに課題に対し習熟していることが確認出来た.最後に脳血流変化について検討した.結果を検討する上で,「課題成績が上昇するにつれて,脳血流変化も増加する.一方で,課題成績が定常状態になるにつれて,脳血流変化が減少する」という仮説を立てた.また,取得したfNIRSの時系列データに対し,Z-scoreを使用して正規化を行った.このデータから,週ごとに積分値を算出し線形補間を行った.このグラフの波形により部位を分類した.その結果,課題成績が右上がりの被験者群では,グラフの波形が上昇傾向であり,また,課題成績が定常状態に達した被験者では,グラフの波形は減少傾向となった.
【結論】これらの結果より,課題成績の上昇の仕方と脳血流変化には関係性があることが示唆された.

 
2.2. 質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
こちらの質問は課題としてなぜ立体視を使用したかというものでした.この質問に対して私は,訓練により習熟する課題であるため,脳血流変化も出やすいと考えていると答えました.他に,視覚などの脳機能に関わる課題であるため,今回課題としたと答えました.
 
・質問内容2
広島大学の川本さんから仮説を立てた上で参考にした研究はという質問を頂きました.今回結果の検討に使用した仮説は自分で立てたものなので参考文献は使用していないと答えました.この方は,脳科学の研究を行い始めたのが最近でNIRSデータ処理方法を参考にさせてもらいたいとおっしゃっていました.また,脳科学系の学会には他にどんな学会があるのかということも聞かれました.
 
・質問内容3
一般社団法人全日本かるた協会の津久井先生から,立体視とは何かと質問を頂きました.この質問に対し私は,ポスターに載せたステレオグラムを指し示しながら,このステレオグラムと呼ばれる画像を使用して,焦点を上手くずらすことで立体像が知覚できると説明しました.
 
・質問内容4
前頭部以外の部分(側頭部など)は検討を行っていないのかという質問を頂きました.これに対し,私は全部位での検討を行った結果,最も反応が顕著に現れ,先行研究での結果も参考にして今回は前頭部のみの結果を使用したと答えました.
 
・質問内容5
t検定の方法を説明してほしいという質問を頂きました.この質問に対して,私は前安静時と課題時の脳血流変化データのサンプル数を合わせ,その平均値の検定を行ったと答えました.
 
・質問内容6
埼玉県総合リハビリテーションセンターの篠崎さんから結果のまとめの脳血流が変動とはどういう意味なのかという質問を頂きました.私は,ポスターの脳血流積分値のグラフを指し示しながら,脳血流変化が増加や減少を繰り返していることを表していると答えました.
 
・質問内容7
脳血流変化積分値のグラフを指しながら,これは何の処理をしたグラフなのかという質問を頂きました.これに対し私は,正規化後のデータを使用し,課題区間のみを示したグラフを見ながらこの一本一本のグラフを積分値にしてプロットしたものが積分値のグラフですと答えました.
 
・質問内容8
東京工業大学の星野さんからデータ処理方法が分からないのでもう一度説明してほしいと言われました.これに対し私は,ポスターに記載した文章やグラフを指し示し,順を追って説明しました.
 
2.3. 感想
去年の7月以来の国内学会への参加でした.NIRSに関わる研究の学会であることから非常に有意義な機会となりました.NIRSを使用した様々な研究の講演があったため,非常に興味深く講演を聞くことができました.去年も同じ学会に参加させて頂いたのですが,去年よりも多くの方が参加しており,だんだんNIRSを使用した研究をしている人も増え,参加者も多くなり,学会自体の規模も大きくなっているのだなあと感じました.
また,ポスター発表の際には多くの方々が私のポスターに足を運んで下さり,様々な質問も頂けました.頂いた質問を参考に,これから修士論文に向けて研究を進めていきたいと思います.
 
3. 聴講
今回の講演会では,下記の3件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : 脳疾患に対するNIRSの臨床応用:過去、現在、未来著者                  :酒谷薫
セッション名       :大会長講演
Abstruct            :NIRSは当初新生児の脳虚血・低酸素による脳循環障害をモニタリングすることを目的に開発された.その後,成人でも脳循環を計測できるようになり,1993年には,神経活動時の賦活循環変化を計測できることが相次いで報告された.さらに,マルチチャンネルNIRSが開発され,新しい脳機能イメージング装置として脳科学研究や臨床研究に応用されるようになった.NIRSの利点・欠点と今後の展望について述べる.NIRSは脱酸素化Hbに加え酸素化Hbも計測できるという利点がある.NIRSとfMRIの比較実験により,脳疾患例(脳血管障害,脳腫瘍,機能的脳疾患)は正常脳と異なり神経活動部位で脱酸素化Hb濃度が低下せず,fMRIが正確に活動領域をイメージングしない症例があることを明らかにした.また,ピコ秒パルス光を使用し,光拡散方程式より安静時のHb濃度を算出できる利点のある時間分解スペクトロスコピー(TRS)を用いて頭部の光路長,安静時Hb濃度のマッピングが可能となった.さらに,NIRSを使用したストレス評価法の開発を行った.そのため,NIRSは簡便かつ客観的に脳のストレス状態を評価でき,ストレス性疾患の予防ツールになる可能性が示唆された.

NIRSの利点を活かし,今後どのようにNIRSを普及していくかという内容で今回の学会の大会長である日本大学の酒谷先生がご講演されていました.この講演を聞いて,NIRSには脳科学研究においての使用だけでなく,脳疾患の発見ツールやストレス評価ツールになり得ることなど大きな可能性を感じました.また,相対値しか計測できないと思っていたNIRSですが,時間分解スペクトロスコピーという安静時の脳活動の絶対値が計測できる機器があることを知り,非常に驚きました.様々なNIRSの今後の展望を聞くことができ,興味深く講演を聞くことができました.
 

発表タイトル       :光脳機能イメージングがリハビリテーションを変える~NIRSを用いた神経疾患の治療的介入の展望~著者                  :三原雅史
セッション名       :特別企画 シンポジウム
Abstruct            :脳神経疾患の後遺症状の軽減・介助量の軽減を図る新たな治療的介入方法の開発が求められている.近年,信号解析技術などの進歩によって,非侵襲的脳機能イメージング技術を用いたほぼリアルタイムでの脳活動測定が可能となり,これらを用いた治療的アプローチへの応用が検討されるようになってきている.これらの治療的アプローチの中でも最も精力的に研究されている分野は,Brain Machine Interfaceである.また,デコードした脳情報を被験者にフィードバックすることによって随意的に脳活動の制御方法を学習させるニューロフィードバックと呼ばれる手法を用いることによって,脳活動を外的に調整することも可能となる.本講演ではこれら光脳機能イメージング手法を用いた神経疾患の治療的介入に関する現状と今後の展望について概説する.

NIRSを用いたNeurofeedbackシステムについて大阪大学大学院の三原先生がご講演されていました.健常者を対象としている点は異なりますが,トレーニングに関するシステムの開発を目指されていることから興味を持つことができました.またそのシステムにより後遺症状の軽減を図ることができるということであったため,人の役に立つ素晴らしい研究であると感じました.
 

発表タイトル       : 次世代近赤外線スペクトロスコピー:拡散光トモグラフィ著者                  :星詳子
セッション名       :特別企画 シンポジウム
Abstruct            :選択的・定量的脳内ヘモグロビン計測は,近赤外線スペクトロスコピーの開発当初からの課題である.脳局所Hb変化を定量的に検出するのに最も有望な方法は拡散光トモグラフィ(diffuse optical tomography,DOT)である.DOTは,通常のNIRS装置と同じく近赤外線を用いて複数の部位を計測し,検出される信号から吸収係数や散乱係数,さらに吸収係数から算出されるHb濃度などの局所的な分布を定量的に2次元あるいは3次元断層画像として表示することができる.近年,CW-DOTが実用化され,特に複数の異なる照射-受光間隔で光ファイバを配置する高密度CW-DOTによって,選択的に脳組織由来のHb変化を検出することが可能となった.DOTは,蛍光物質を検出する蛍光トモグラフィ(FDOT)に発展させることができ,DOTとFDOTによって,個体を対象とした分子レベルから個体レベルまでのマルチレベルダイナミックイメージングが可能になり,生命現象の解明や臨床診断など幅広い応用が期待される.

私たちもNIRSを使用した研究を行う上で考えなくてはならないNIRSデータの定量的計測についての解決策になるであろう機器に関する講演でした.東京都医学総合研究所の星先生がご講演されていました.NIRSについて検索すると必ずお名前を拝見する人である星先生のご講演であったため,楽しんで聞くことができました.そして,相対値しか計測できないNIRSの展望になりうるDOTという機器について聞くことができ非常に興味深かったです.
 
参考文献
1)    第17回 一般社団法人 日本光脳機能イメージング学会 研究発表会
 
学会参加報告書
報告者氏名
將積彩芽
発表論文タイトル 音環境が数字記憶課題の成績と脳血流変化に及ぼす
影響の男女差の検討
発表論文英タイトル Gender difference in performance and brain function during memorizing task under influence of sound
著者 將積彩芽, 山本詩子,廣安知之
主催 OHBM
講演会名 OHBM2014
会場 Congress Center in Humburg
開催日程 2014/06/08-2013/06/12
1. 講演会の詳細
2014年6月8日から12日にかけてCongress Center in Humburgにて開催されましたOHBM2014に参加致しました.この学会は,神経科学分野で,最新の神経科学分野の情報を得られる場とされています.近年,機能的磁気共鳴画像(fMRI)や脳磁図(MEG)などを用い,脳機能を理解する試みを促進することを目的に開催されています.本研究室からは他に山本先生,木村,杉田,井上,大西,真島,早川が参加しました.
2. 研究発表
2.1. 発表概要
私は6月9日の午後のセッション”Optical Imaging/NIIRS”に参加致しました.発表の形式はポスター発表で,2時間ポスターの前に立ち,来た人に説明するというものでした.
今回の発表は,” Gender difference in performance and brain function during memorizing task under influence of sound”というタイトルで行いました.以下に抄録を記載致します.
[Introduction]
The sound environments affect the results of intellectual works and the CBF(cerebral blood flow changes) was elucidated by the research using fNIRS(functional near infrared spectroscopy[1]. Furthermore, some psychological researches reported that there is a gender difference in performances under the influence of environment, and also in the sound which a person feels pleasant or unpleasant[2]. Since the previous study was conducted by 8 male subjects, the gender difference in the influence of sound environments was not under review. In this research, we investigated the gender difference in the influence of sound environments on intellectual work and brain functions during memory tasks. The experiment was conducted by 10 subjects, which consisted of 5 males and 5 females.
[Methods]
In this experiment, three sound environment was used; silence, pink noise, and white noise. The sounds were presented while the subjects were performing an intellectual work. The intellectual work in this experiment was the task to memorize numerical strings; A subject memorize 8 numbers displayed in a circle in 3 seconds, and input them in the correct order within 7 seconds. A subject repeated this task 30 times. As the results of performance, the number of correct characters answered was counted. The influences of the sound environments on the performance were examined by measuring the CBF using fNIRS. After the experiment, questionnaires were completed by the subjects to investigate psychological factors. VAS (Visual Analogue Scale) was used as the measurement of feelings. The subjects marked the scale from 0 to 10 to illustrate their pleasantness.
[Results]
The male subjects showed the better performance in the following order; silence, white noise, and pink noise, while the female subjects showed the better performance in the following order; white noise, silence, and pink noise. From the results of t-test, a significant difference between male subjects and female subjects was observed at the 5% level only under the white noise. A significant difference of the CBF between a rest and a task was found in more than a half of subjects under every sound environment, and it was observed near inferior frontal gyrus of left temporal region. In this area, the CBF was increased under the sound environments that subjects showed the better performance. From the results of questionnaires, the order of sound environments that a subject felt pleasant was just the same as the order of sound environments that he or she performed well. According to a psychological study, female are tend to find a white noise pleasant, while male finds it unpleasant. In this experiment, males found silence pleasant, and females found white noise pleasant. From these results, it was considered that the sound environment which a subject felt pleasant made their ability of concentration increased, so that a subject could show high performance and his/her CBF was increased. Furthermore, since white noise has the effect of masking, it might mask the operating noises of the fNIRS. The inferior frontal gyrus of left temporal region is known to be related to working memory. Therefore, in this experiment, it is considered that the CBF was increased in this area, because this task requires memorizing and retaining the information.
[Conclusions]
This research is aimed to investigate the gender differences in performances and brain functions during memorizing task under the influence of sounds. In the experiment, the subjects performed the task under the three sound environments; silence, pink noise, and white noise. Then the significant difference between genders was observed under the white noise. The sound environments a subject found pleasant were different between genders, and under that sound he/she achieved the better score. The activated area was inferior frontal gyrus of left temporal region, and CBF were increased greatly under the sound environment in which the subject showed the better performance.
2.2. 質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
・質問内容1
Pusan National University 所属のMalik Muhammad Naeem Mannanさんから頂いた質問です.VASは何の目的で測ったのか,というものでした.音環境に対して被験者が持つ,快や不快という心理状態を調査するためだと答えました.
・質問内容2
Pusan National University 所属のMuhammad Ahmad Kamranさんから頂いた質問です.血流のデータはどのように処理したか,血流は何人分のデータなのか,というものでした.血流データは,増減量を比較するための,タスク開始点におけるゼロ点補正のみであると答えました.また,光路長が被験者間で異なるため平均はしておらず,ポスターには代表者のデータを載せていること,ほとんどの被験者の結果が同じ傾向にあったことを説明しました.
・質問内容3
日本医科大学所属の肥田道彦さんからは,ピンクノイズとホワイトノイズはどのように違うのか,という質問を頂きました.ピンクノイズは音のパワースペクトルが周波数に反比例する音であるのに対し,ホワイトノイズはパワースペクトルが全ての周波数に対して等しい音である,と答えました.また,ピンクノイズとホワイトノイズはカラードノイズというものの一種であり,他にもパープルノイズやブラウニアンノイズなど周波数特性が異なる種類があることを伝えました.実際にパソコンで音も聞いていただきましたが,違いはほとんど分からない,という感想を頂きました.
・質問内容4
Ryerson University所属のMartin Merenerさんから頂いた質問です.被験者は健常者なのか,学生なのか,というものでした.今は同じ研究室の学生を被験者としているが,今後は年齢差の影響なども調査していく必要があると考えられる, という内容で答えました.
・質問内容5
脳の学校所属の加藤俊徳さんから頂いた質問です.左側頭部が活性していたのはなぜなのか,というものでした.数字記憶課題が数字を記憶するものであること,入力するという動作を含むこと,数字を唱えて記憶したため言語領域と関係したことが考えられ,左側頭部の下前頭回付近が活性したと考察した,という内容で答えました.
2.3. 感想
前回の国際学会では,自分から話しかけることがあまりできなかったことが反省点でした.今回は自分から積極的に話しかけることで,研究内容を聞いて頂き,質問を頂き,ディスカッションすることができました.説明を分かったと言って頂くことができ,また,受けた質問にもきちんと自分なりに英語で答えることができて良かったです.そして,男性としては女性がホワイトノイズで成績が良くなるのは理解できない,そんなことが起こるのか,という感想をやはり多く頂きましたが,多くの方におもしろい結果だと言って頂くことができたので良かったです.一方で,考察の詰めが足りないことを実感し,また,音の周波数解析など,やらなければばらない課題がたくさん見つかりました.修士論文までに研究をさらに深めていきたいなと感じました.
3. 聴講
今回の講演会では,下記の5件の発表を聴講しました.
発表タイトル : Gender Differences in Automatic Motor Responses to Infant Cries
著者 : Irene Messina, Luigi Cattaneo, Nicola De Pisapia, Paola Venuti
セッション名 : Social Interaction
Abstract : Introduction:
Due to the biological relevance of infant-related stimuli for newborn survival and reproductive success, it has been suggested that infant-related stimuli should capture adult attention and automatically trigger physiological responses to prepare for action (Brosch et al., 2007). Recent functional magnetic resonance imaging (fMRI) studies have revealed increased activity in the premotor cortex in response to infant-related sensory stimulation (Caria et al., 2012; De Pisapia et al., 2013; Venuti et al., 2012). This finding was interpreted as the loading of an appropriate and specific behavioural/motor program response to the alerting stimuli.
However, neuroimaging lacks the temporal resolution to determine whether these motor activations are the product of early automatic responses or of late, cognitively mediated responses. Indeed, physiological signatures of automatic bottom-up responses can be observed in very early phases of stimulus processing, between 100 and 250 ms after stimulus onset (Barchiesi and Cattaneo, 2012).
In order to verify the hypothesis that affiliative stimuli automatically evoke motor plans, in the present study, we measured the presence and the time course of covert modulation of motor cortex excitability by recording the motor evoked potentials (MEPs) associated to single-pulse Transcranial Magnetic Stimulation (TMS), in an event-related paradigm. Such paradigm allows to collect data with high temporal resolution and to disentangle bottom-up automatic responses from top-down cognitively mediated ones.
Methods:
We applied single-pulse TMS (spTMS) to participants’ motor cortex, time-locked to the audio presentation of infant cries, and we recorded motor evoked potentials (MEPs) from two upper-limb muscles. The time course of motor modulation was assessed from 0 to 250 ms from sound onset, in six steps of 50 ms in 10 females and 10 male non-parent subjects aged 25-38 years. Responses were recorded from a proximal muscle (biceps brachii – BB) and a distal muscle (first interosseus dorsalis – 1DI) of the right upper limb. Stimuli were five different baby cries sounds and ten control sounds obtained increasing baby cries in pitch by 200 and 400 Hz. Moreover, a post-hoc control experiment was realized to better control for the specificity of infant cries. In this case, a different group of 10 non-parent female participants (age range 18-39) were exposed to control stimuli obteined through the scrambling of the original raw and pitch-modified baby cries used in the main experiment.
Results:
The ANOVA on the data from the ID1 muscle showed a Sex*Isi*Cry 3-way interaction, F(10, 180)=2.80, p=0.003. To investigate this interaction, the design was split in two Isi*Cry ANOVAs, each with data from one sex only. The analysis of males yielded only a main effect of ISI, F(5, 45)=4.1570, p=0.003. By contrast, the analysis performed on females showed a main effect of ISI, F(5, 45)=6.02, p<0.001 and a 2-way Isi*Cry interaction F(10, 90)=5.23, p<0.001. Using the control experiment data, the ANOVA on the ID1 muscle yielded a significant 3-way interaction between Group (experimental stimuli versus scrambled experimental stimuli) * Isi * Cry (F(10, 180)=2.67, p=0.005). The analysis on the group who listened to scrambled cries by means of a 2-way ISI*CRY ANOVA did not show any significant result.
Conclusions:
The data of the present study documented the presence of early motor responses that are specific to baby cries in adult non-parents. Such finding is in accord with the literature on mutual inter-subjectivity that typically regulates parent-infant interaction (Beebe, 2000)
The finding was restricted to female participants. Finding automatic responsiveness to baby cries in nullipara women lends further support to the idea of an “alloparental care” predisposition in females, but not in males, similar to several mammalian species which feature cooperation in infant care (Briga et al., 2012).
乳児の泣き声に対する両親の反応の男女差についての研究でした.アロパレンタルケアという効果により,女性は泣き声に敏感に反応するが,男性は反応が鈍いという結果でした.しかし,そのアロパレンタルケアの発生要因は未解明だということで,男女差が発生する原因を私は説得できるようになりたいと感じました.
発表タイトル : Sex differences in the neuromagnetic response to body motion
著者 : Marina Pavlova, Alexander Sokolov, Christel Bidet-Ildei
セッション名 : Social Cognition
Abstract : Introduction:
Visual sensitivity to human body motion may be considered as a hallmark of daily-life social cognition, and a basis for nonverbal communication and social competence. It appears that visual processing of biological motion engages a specialized neural network with a key node in the right temporal cortex (see Pavlova, Cerebral Cortex 2012, for review) where it topographically overlaps and likely communicates with the neural circuitry underpinning visual social cognition. It is unclear, however, whether the social brain sex-specific. There is a paucity of research examining sex differences at a neurobiological level. The motivation of the present work was to uncover sex-specific alterations in the time-course and dynamic topography of the entire cortical network underpinning visual processing of point-light human locomotion.
Methods:
We focused on analyses of the whole-head magnetoencephalographic (MEG) response to biological motion during performance of a one-back-repetition task with canonical and spatially scrambled point-light displays. By uncovering changes in root-mean-squire (RMS) of evoked MEG activity, we examined sex-related differences in cortical MEG activation in healthy adult females and males.
Results:
The outcome indicates that in the absence of behavioral differences, sex of observers impacts the cortical evoked RMS response to human locomotion: (i) Sex differences in the cortical MEG response to biological motion occur mostly over the right brain hemisphere; (2) At early latencies (200-250 ms from stimulus onset), difference in RMS amplitude between canonical and scrambled biological motion displays was higher in female as compared to male participants over the right parietal cortex, left temporal cortex, and over the right temporal cortex; and (3) At later latencies, difference in RMS amplitude was higher in males as compared to females over the right frontal lobe at a latency of 250-300 ms, and at a latency of 350-400 ms. Over the right occipital cortex, males display a greater RMS amplitude in response to biological motion at a latency of 400-450 ms.
Conclusions:
The findings deliver the first evidence for gender dependent modes in time-course and topography of the neural circuitry underpinning visual processing of biological motion. Most remarkable outcome of this work is that females exhibit greater activity over the right temporal cortex, a key of the social brain, where the network specialized for biological motion processing topographically overlaps and communicates with the neural circuitry underpinning visual social cognition (revealing social properties of others such as intentions, emotions, and expectations). Gender-related dimorphism in the cortical response may prevent behavioral differences if they are maladaptive. The outcome represents a framework for studying sex differences in the social brain in psychiatric and neurodevelopmental disorders.
視覚刺激に対してすばやく反応する実験において,女性は男性よりも優れた反応を示し,また,MEGを用いた計測の結果,脳の右半球において有意な男女差が生じた,という研究でした.この研究では,今後男女差の原因を調査していくとされていたため,私も同じように調査を進めていきたいです.
発表タイトル :The influence of rhythm structure on auditory-motor interaction during listening to simple singing
著者 : Monika Jungblut, Monika Pustelniak, Ralph Schnitker,
Walter Huber
セッション名 : Music
Abstract : Introduction:
The greater bihemispheric organization of singing compared to speech is one obvious reason for the implementation of singing instructions in the treatment of patients suffering from motor speech disorders as well as aphasia. Meanwhile the fact that listening to musical rhythms, speech, perceptual discrimination or vocal imagery recruits motor regions of the brain is well documented.
Our objective was to investigate if auditory-motor interactions during action-related listening to simple singing also vary according to rhythm structure as we recently demonstrated for singing production.
Subjects listened to vowel changes with differing rhythm complexity in anticipation of repeating the heard stimuli during the latter portion of the experiment. Stimuli consisted of vowel changes with regular groupings (1), regular groupings with rests (2), and irregular groupings (3), in contrast to single isochronously chanted vowel repetitions as control condition.
Methods:
17 male and 13 female, right-handed non-musicians took part in this study on a 3T Siemens Trio MRI-system. We used a T2*-weighted EPI sequence (TR 2200ms, TE 30ms, FA 90°); 41 transversal slices with a thickness of 3.4 mm were acquired covering the whole brain.
The experiment was conducted in an event-related design. Stimuli were presented in a pseudo-randomized order and jittered around an interstimulus interval (ISI) of 9 sec. Stimuli were presented over headphone. Imaging data were analyzed using SPM8.
Results:
Results were derived from random effects group analysis (FWE .05, extend threshold 10 voxel).
While subtraction (2) minus (1) yielded additional activation in the left precentral gyrus (BA6,9) both subtractions from condition (3) resulted in additional activation of bilateral putamen and caudate.
Only subtraction (3) minus (1) yielded additional activation of bilateral pre-SMA and precentral gyrus (BA6,9) more distinct in the left hemisphere. Middle, superior, and transverse temporal gyrus (BA22,42,41), ventrolateral prefrontal cortex (BA47,45) and insula (BA13) were activated most prominent in the left hemisphere. Inferior and superior parietal gyrus (BA40,7) and anterior cingulate gyrus (BA32,24) were activated most prominent in the right hemisphere.
Conclusions:
Our findings are in line with the studies mentioned above concerned with auditory-motor interaction, although listening to rhythmically structured singing has not been investigated up to now. Rhythm structure seems to be a decisive factor which induces specific activations with increasing demands on cognitive capacities e.g. working memory and sequential processing. The more explicit segmentation is required the more distinct and left lateralized temporal, premotor, and prefrontal activation occurs during action-related listening to chanted vowel changes. If it was possible to support programming and planning of articulatory gestures also by listening to directed vocal exercises this might be relevant for therapy interventions with patients mentioned above.
楽曲を,音声情報なしの音楽のみと音声ありで聞いた場合,脳活動は,左半球のみで差異が見られるという研究でした.音刺激にも色々な要素があり,私の研究の場合は,周波数を変化させて実験してみると異なる結果が見られるのではないかと考えられました.今後は周波数の変化も検討していきたいです.
発表タイトル : Syntactic priming effect during second language sentence production by Japanese learners of English: An fMRI study
著者 : Lejian Huang, Melissa Farmer, Marwan Baliki,
A. Vania Apkarian
セッション名 : Resting state
Abstract : Introduction:
The Multidisciplinary Approach to the Study of Chronic Pelvic Pain (MAPP) Network is conducting collaborative research on urological chronic pelvic pain disorders. For the MRI section, 5 research centers around the US are participating, all using the same imaging protocol. As scanner-related variability may introduce noise, careful investigation of the effects of center on T1, DTI, and Resting(R)-fMRI data analysis are necessary. Furthermore, as gender and age effects are also critical in the statistical analysis and interpretation of results, we investigate possible effects of these parameters.
Methods:
For the T1 study, 52, 85, 60, 26, and 40 subjects were scanned at Northwestern Univ. (NW), UCLA, the Univ. of Michigan (Michigan), Stanford Univ. (Stanford), and the Univ. of Alabama (UAB), respectively. All T1s passed through a quality control pipeline. Residual neck voxels were removed for the purpose of better segmentation before peripheral gray matter (GM) volume was calculated using FSL-SIENAX. Differences of GM volume across centers and between genders were computed using a one-way ANOVA. The correlations between GM volume and age were calculated before and after center and age corrections. For the DTI study, 53, 92, and 6 subjects were scanned at NW, UCLA, and Stanford, respectively. All DTI images were corrected using eddy correct in FSL. Following the corrections, a diffusion tensor model was fitted at each voxel using fslfit in FSL, generating a Fractional Anisotropy (FA) map for each subject. Then, all FA images were nonlinearly registered to MNI152_1mm, creating the mean FA image, which was skeletonized. Mean FA value on the skeleton was calculated. Differences of mean FA across centers and genders were computed using a one-way ANOVA. The correlations between mean FA and age were calculated before and after center and age corrections. For the R-fMRI analysis, 52, 85, 60, 26, and 40 subjects were scanned at NW, UCLA, Michigan, Stanford, and UAB, respectively. All data were preprocessed. Degree differences for degree density at 0.1 for center/age/gender were computed voxel-wise using a three way ANOVA for the ROIs of GM and default mode network (DMN), individually. All multiple comparisons were corrected using a false positive discovery technique.
Results:
For the T1 study (see fig. 1): A) GM volume showed a significant dependence on center; B) There were no differences between males and females for GM volume; C) GM volume showed a high negative correlation with age (left panel). The correlation between GM volume and age increased when the GM volumes were corrected for both center and gender effects (right panel). On average, GM volume decreased by 2 c.c. for every year of aging. For the DTI study (fig. 2): A) The mean FA skeleton (green); B) Mean FA values showed a significant center effect; C) Mean FA values did not show any significant gender effects across all subjects. D) Mean FA values showed a significant negative correlation with age (left scatter plot). This correlation persisted when the FA values were corrected for center effect (right scatter plot). For R-fMRI study (fig. 3): Brain images show the mean voxel-wise degree for resting state scans across all subjects; B) Brain images show the center effect for the degree maps. There was a highly significant center effect. C) Degree maps showed a significant dependency of age (young vs. old). There were no differences in degree distribution for gender (male vs. female). D) Brain images show the mean DMN computed across all subjects. E) Brain images show the center effect on the DMN. There was a significant center effect. There were no significant age or gender effects.
Conclusions:
We confirm that center effects are significant for all data types. Therefore, it is necessary to correct for center effects prior to further analysis. Additionally, negative correlation between GM volume and mean FA, as well as between GM volume and age, were found. However, there is no effect of gender on any data
安静状態においてT1とDTIデータの男女差,年齢差を調査した結果,有意な差は見られなかった,という研究でした.普段,男女間の成績や脳血流変化に有意差が見られることを期待しながら研究していますが,研究をする前提条件として,安静時に差がないことを示すことも,大切だと感じました.
発表タイトル :Sex Differences in BOLD Response During Virtual Navigation: Different Routes to the Same Destination
著者 : Nicole Nowak, Wendy Elkins, Susan Resnick, Scott Moffat
セッション名 : Behavior
Abstract : Introduction:
A male advantage is often reported for measures of visuospatial performance, including measures of spatial navigation (for review, see Collucia & Louse, 2004); however, few papers have addressed sex differences in brain activity during performance of these navigation tasks (Grön et al. 2000). Moreover, because men and women often differ in performance, it is difficult to determine whether resulting brain activation differences are due to sex per se, or brain activation differences in good versus poorer performers. We designed a virtual environment that provokes robust navigation-related brain activations but in which men and women perform equally well. We then used functional MRI to compare the brain activation between men and women during performance in a virtual environment who were well-matched in navigation performance.
Methods:
Thirty healthy participants (15 men) aged 18-39 years participated. The virtual maze used in this task was a combination of interconnected hallways and rooms, where there were six common objects placed throughout. During the encoding phase participants were required to actively explore the virtual maze and learn the location of six objects, the interconnections of the hallways, and the general layout of the maze. The fMRI navigation phase required participants to remember and actively navigate to the locations of the six objects encountered during the encoding phase and to move from object to object as quickly and as accurately as possible using the shortest possible route. Behavioral outcomes included the number of correct hits, number of errors, speed, and total percent correct. A block design was employed and consisted of alternating conditions of navigation versus control. There were a total of 10 blocks (5 navigation; 5 control), which alternated every 60 s.
Images were acquired on a 1.5 Tesla Phillips Gyroscan NT Intera parallel to the plane containing the anterior and posterior commissures. Functional images were obtained using echo-planar imaging (TR = 3000 ms; TE = 30 ms; FOV= 64×64; voxel size= 3.75mm×3.75mm×5.5 mm). Statistical analysis was performed using SPM8 (Wellcome Department of Cognitive Neurology, London, UK). All images were motion corrected by realigning to the first image of each participant and were spatially normalized to a standard template which is based on the reference brain provided by the Montreal Neurological Institute.
Results:
A one-sample t-test comparing the navigation and control condition was used to determine brain regions associated with navigation for the whole sample. This analysis revealed robust navigation-related activations in the posterior parahippocampal gyrus, retro-splenial cortex and parietal lobe which replicate previous findings.
For comparisons between men and women during navigation, analysis of covariance was performed with sex as a grouping variable and speed of movement through the maze as a covariate. For all random effects analyses, height threshold was set at p < 0.01 with a spatial extent threshold of 25 voxels to control for type I error. Men and women did not differ in navigation accuracy, but sex differences were nevertheless apparent in the functional neuroanatomical correlates of navigation. Where men and women differed in brain activation, men activated more posterior brain regions and women more anterior regions. Specifically, there was significantly increased activation of the parahippocampal gyrus and posterior cingulate cortex in men, and superior frontal gyrus and head of the caudate nucleus in women.
Conclusions:
Our results demonstrate that even when men and women are well-matched on navigation performance, they appear to use different brain mechanisms to achieve the same behavioral end point. The results are interpreted within the framework of men and women approaching navigation tasks in a different way that elicits different patterns of brain activation.
迷路を呈示した際に,男女で脳活動に差があるのか,という研究でした.女性の方が空間認知力が高いため,解答時間も早く,エラー率も低く,脳の賦活も強いという結果でした.空間認知力や,記憶力や,言語力など,求められる力によって男女で得意不得意に差がある,という点が非常におもしろいと感じました.
参考文献
1) OHBM2014 ホームページ
https://ww4.aievolution.com/hbm1401/index.cfm?do=abs.pubSearchOptions&style=0&abstractParentID=