【速報】第45回日本磁気共鳴医学会大会

栃木県総合文化センターで2017/09/14-2017/09/16の日程で開催された第45回日本磁気共鳴医学会大会に参加しました。

  • 暗算課題中の脳機能ネットワークの分類と比較 萩原里奈
  • 快・不快情動発現時における脳の機能的ネットワークの検討 石田 翔也


学会参加報告書

 
報告者氏名
 
萩原里奈
発表論文タイトル 暗算課題中の脳機能ネットワークの分類と比較
発表論文英タイトル Classification and comparison of functional brain networks during a mental arithmetic task
著者 萩原里奈, 日和悟, 廣安知之
主催 日本磁気共鳴医学会
講演会名 第45回日本磁気共鳴医学会大会
会場 栃木県総合文化センター
開催日程 2017/09/14-2017/09/16

 
 

  1. 講演会の詳細

2017/09/14から2017/09/16にかけて,栃木総合文化センターにて開催されました第45回日本磁気共鳴医学会大会に参加いたしました.この大会は,日本磁気共鳴医学会によって主催された学会で,医療従事者や企業の技術者などのMRIに携わる方が参加して,MRIやMRSにおける多チャンネル化や圧縮センシングなどのハード,ソフト面の最先端の研究成果の情報交換,議論の場となることを目的に開催されています.本研究室からは他に日和先生,M1の石田翔也さんが参加しました.
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は14日の午後のセッション「fMRI」に参加いたしました.発表の形式はポスター発表で,3分の講演時間と3分の質疑応答時間となっておりました.
今回の発表は,「暗算課題中の脳機能ネットワークの分類と比較」と題して発表いたしました.以下に抄録を記載致します.

【要旨】Participants were classified into two groups based on the functional network during a mental arithmetic task which was constructed with fMRI data. It was revealed that regions with high degree and clustering coefficient in each group were associated with language and visual processing, respectively.
ワーキングメモリ(WM)は日常的な場面で用いられる記憶システムであり,機能的コネクティビティ研究が行われている.しかし,被験者群の脳状態の解明は不十分である.本研究では日常的に用いられ,WM機能が必要となる暗算課題を用いて,被験者群の脳状態を把握した.被験者32名に対して,整数1桁の加算(easyタスク)と3桁の四則演算(difficultタスク)からなる暗算課題時の脳活動をfMRIで計測した.difficultタスクの各被験者の機能的コネクティビティを示す相関行列を用いて被験者を分類した.また,グラフ理論指標のDegree(Deg),Clustering Coefficient(CC)を算出し,difficultタスクの正答率とそれらの指標の相関を検討した.被験者はGroup A(n = 13)とGroup B(n = 19)に分類された.Group Aでは,上側頭回,小脳のDeg,中後頭回,紡錘状回,楔前部,小脳のCCがeasyタスクよりdifficultタスクで有意に高く(p < .05),内的音声の保持と言語処理の領域を中心にネットワークが形成されることが示唆された.Group Bでは楔部,上後頭回,上頭頂小葉,小脳,小脳虫部のDeg,小脳と小脳虫部のCCがdifficultタスクで有意に高く(p < .05),Group Bは注意制御と視覚処理の領域を中心にネットワークが形成されることが示唆された.一方,Group Aにおいては,課題の成績順とグラフ理論指標値の順とは相関がある域が示されなかった.一方,Group Bでは,課題の成績順は下頭頂小葉のDeg値の順との正の相関,海馬傍回のCC値の順とのは負の相関があった(p < .01).成績において注意の制御が重要であり,過去の記憶に関わる領域との結合が弱まることが考えられる.本実験結果より,機能的結合度を用いて被験者分類が可能であり,被験者群の脳状態の違いが示された.

 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.こちらの質問は,左利きの人は脳状態が異ならないのか,左利きの人はどのグループに属しているか,というものでした.この質問に対する私の回答は,実験する際のボタン押しは右手に統一しており,脳状態が異なる場合は異なるクラスタに分類されると考えていましたが,今回の結果はクラスタに複数名いるクラスタに分類される結果となりましたと回答致しました.
 
・質問内容2
量研機構所属の立花泰彦先生からの質問です.こちらの質問は処理画像を確認し,ざらざらした,撮れていない画像は含まれていないか,というものでした.この質問に対する回答は,処理後の画像は確認できていませんが,体動が大きい画像に関しては除去しましたと回答致しました.
 

  • 感想

3分間という短い時間で,自分自身の研究を解析も含めて説明するのは難しいことを実感しました.全てを理解してもらうのではなく,イメージを伝える大切さを学ぶことができました.また,他の参加者の発表を聴く中で,解析の内容を理解せずに使うのではなく,解析方法を理解してツールボックスなどを使うことの必要性を感じました.MRIの撮像方法に関する知識が不足していることを実感し,理解しながら使用していきたいと思いました.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の3件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : MRIによる脳形態解析のアップデートと注意点
著者                  : 渡邉 啓太 (産業医科大学 放射線科)
セッション名       : 脳神経1
Abstruct            : 高分解能3次元T1強調画像は特別なアプリケーションを必要とせず、日常臨床において幅広く撮像されているが、画像解析技術の進歩により、この画像を用いて様々な脳構造の自動解析が可能となっている。1-2mm程度の細かなvoxel単位で脳容積の解析を行うVoxel based morphometry (VBM)に加えて、皮質厚や脳表面積、海馬や尾状核など深部灰白質構造の形状、海馬亜区域の容積など様々な解析が近年可能となった。また、特定領域の脳容積や皮質厚の相関関係を用いることで、fMRIや拡散テンソルのような脳内ネットワーク解析(Structural covariance network)も可能である。これらの手法は単に疾患における脳形態異常を特定するだけでなく、症状や血液バイオマーカーなどの臨床データと組み合わせた解析により、病態の解明にも繋がる。脳画像解析では画質や撮像条件などの要素が脳形態解析に及ぼす影響について知っておくことが大事である。例えば、高分解能3次元T1強調画像で頻繁にみられるモーションアーチファクトはVBMにおいて脳容積の過小評価をきたし、脳が萎縮していると誤認識される。このモーションアーチファクトは、本邦でアルツハイマー型認知症の補助診断として幅広く利用されているVSRAD(Voxel-Based Specific Regional Analysis System for Alzheimer’s Disease)の解析にも影響を与えるが、VSRADの使用において元画像の画質チェックが十分に行われていない現状がある。本発表では、脳形態解析の手法に関して紹介するとともに、撮像条件および撮像後の画質チェック(Quality control)の考え方について概説する。

この発表はT1強調画像を用いた脳構造における解析の解説でした.構造的なコネクティビティ解析はDTIを用いた解析を今まで考えていましたが,T1強調画像を用いてできるということが興味深い内容でした.また,発表の中で撮像条件は個人差と同程度の影響を及ぼすといいう内容があり,十分に考える必要があると思いました.
 

発表タイトル       : 生理学的ノイズがdefault mode networkに及ぼす影響- resting state fMRI研究 –
著者                  : 吉川 輝(昭和大学 医学部 生理学講座 生体調節機能学部門)
セッション名       : fMRI
Abstruct            : 【要旨】We investigated the influence of physiologic noise on default mode network. rs-fMRI was measured with recording respiration and cardiac rhythm in twelve healthy subjects. Our results suggest that the physiological noise correction significantly increased functional connectivity.
【目的】近年,fMRIで捉えているBOLD signalが,課題を実施しない安静状態においてもいくつかの領域で高まっていることが報告された。これらの領域は比較的共通したパターンを示すことからネットワークが形成されていると考えられデフォルトモードネットワーク(DMN)とよばれている。Resting state fMRIは,安静時においてDMNにて観察される0.1Hz未満の遅い自発的なBOLD signalに着目して,脳内の各領域間で相関係数を算出することで機能的な接続性を解析する手法として使用されるようになった。このBOLD signalには呼吸や心拍などの生理的な活動(生理ノイズ)が影響すると考慮されているが,その詳細は未だ不明な点が多い。そこで本研究は,呼吸や心拍の生理ノイズがDMNの機能的接続性に及ぼす影響を明らかにすることである。【方法】対象は健常成人12名(26.6±9.9歳,男性7名,女性5名)とし,撮像は,荏原病院放射線科(MAGNETOM Trio A Tim System, Siemens)にて行った。撮像中は被験者にフェイスマスクおよび母趾にセンサーを装着してもらい呼吸および脈拍をモニタリングした。得られた生理反応は,DRIFTER TOOLBOX (SPM8)を用いて補正した後,機能的接続性の解析はAutomated Anatomical Labeling (AAL)を用いて主にDMNを関心領域として設定し,自発的なBOLD signalを抽出した後,それぞれの相関係数を求めた。【結果】ほぼ全ての領域で,心拍ノイズを除去することで機能的接続性が有意に高まることが示された。一方,前頭葉や帯状回では,心拍および呼吸ノイズの両方を除去することで接続性が弱まることが示された。【考察】DMNにおけるBOLD signalには,生理ノイズが影響している可能性が示唆された。呼吸は情動によって変化し前頭葉や帯状回は情動に反応する脳領域である。今後はこの情動による呼吸変化の程度,情動の強さ,機能的接続性の増減との関連性を明らかにする必要があると思われる。

この発表はDMNにおける生理学的ノイズによる影響を検討した発表でした.本発表はDMNのみの検討でしたが,他の領域やタスクにおける影響も興味深いと思いました.また,生理学的ノイズが影響するという結果であったため,このノイズに対する処理を考える必要があると感じました.
 

発表タイトル       : 拡散MRIの新しいポテンシャル:コネクトーム応用を中心に
著者                  : 鎌形 康司 (順天堂大学 医学部 放射線科)
セッション名       : 脳神経2
Abstruct            : 拡散MRIは、組織内で拡散する水分子のミクロンスケールの変位を推定することにより、MRIの分解能を大きく超える神経組織の微細構造を評価することを可能とする。近年、ヒューマンコネクトームやneurite orientation dispersion and density imaging (NODDI)、MR g-ratio、Oscillating gradient spin echo (OGSE)法など新たな拡散MRI解析手法により、さらに詳細に神経系の構造・機能を評価することが可能となってきている。コネクトームは生物の神経系の各要素(ニューロン群、脳領野など)の間の詳細な接続状態を表した地図、つまり神経回路の地図のことを表しており、ヒューマンコネクトームの解明は米国、欧州、日本など各国でゲノムプロジェクトに続く新たな国家的なプロジェクトとして位置づけられている。拡散MRIは様々なアルゴリズムによるトラクトグラフィ生成によって脳領野間の構造的な接続状態をin vivoで評価することが可能であり、マクロスケールのヒューマンコネクトーム評価を行うことできる強力なツールである。一方g-ratio は[ (軸索の最大直径) / (軸索+ミエリンの最大直径) ] と定義され、髄鞘形成の尺度であり、白質経路の効率および最大伝導速度を反映する重要な指標である。g-ratioは元々病理学的な測定値であるが、近年拡散MRIを用いた生体脳のMR g-ratioの推定も可能となってきており、脱髄疾患をはじめとする多くの神経疾患応用への期待が高まっている。OGSE法は非常に短い拡散時間で拡散MRIデータの収集することができる。拡散時間の大幅な短縮によって亜細胞スケールで微細構造内の水分子拡散を評価することが可能となり、脳梗塞や腫瘍の性状評価、治療効果評価などへの応用が始まっている。本教育講演ではこれらの新たな拡散MRI技術の概要を解説し、拡散MRIの新たなポテンシャルに言及する。

この発表は拡散MRIを利用した解析の解説でした.構造的コネクティビティにおけるグラフ理論解析は知っている知識でした.また,拡散MRIにおける評価はFA値のみを知っていましたが,NODDIなどの評価値を初めて知り,構造解析について新たに学びたいと思いました.
 
参考文献

  • 第45回日本磁気共鳴医学会大会, http://procomu.jp/jsmrm2017/

学会参加報告書

報告者氏名 石田 翔也
発表論文タイトル 快・不快情動発現時における脳の機能的ネットワークの検討
発表論文英タイトル Study of functional network of the brain in pleasant and unpleasant states
著者 石田翔也,日和悟,蜂須賀 啓介,奥野 英一,廣安 知之
主催 一般社団法人日本磁気共鳴医学会
講演会名 日本磁気共鳴医学会大会2017
会場 栃木総合文化センター
開催日程 2017/09/14-2017/09/16

 
 

  1. 講演会の詳細

2017/09/14から2017/09/16にかけて栃木県宇都宮市の栃木総合文化センターにて開催された日本磁気共鳴医学会大会2017に参加しました.日本磁気共鳴医学会大会は,磁気共鳴学の基礎の充実と安全性の確保,そして更なる発展を目指しており,また磁気共鳴法からの新しい生体情報の獲得も目的として開催されている.本研究室からは他に日和先生,萩原が参加しました.

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は14日のポスターセッションに参加いたしました.3分間の発表と3分間の質疑応答の時間が設けられ,その他の時間にもポスター前で質問に答えました.今回の発表の抄録を以下に記載致します.

現在,ストレスを原因とする作業効率や判断力の低下が懸念されている.ストレスと関係の深い情動のメカニズムの解明はこれらの問題の改善に繋がると期待されている.fMRIを用いた情動の神経基盤に関する研究が数多く行われており,本研究では脳の機能的ネットワークから情動発現時における脳活動のメカニズムについてグラフ理論を用いて検討した.本実験はfMRIを用いて快・不快情動発現時の脳活動の違いについて検討するために,30名の被験者に対して快・不快画像提示課題を行った.被験者ごとに各脳領域間の血流変化の相関からなる相関係数行列を算出し,脳機能ネットワークに対してグラフ理論解析を行い,次数中心性,クラスタ係数,媒介中心性の特徴量の算出を行った.次に判別に使用する特徴量を変数増減法により選択した後,選択された特徴量で線形判別分析を行った.さらに快と不快の判別精度に影響する脳領域とその特徴について検討した.変数増減法による変数選択の結果,9つの脳領域が選択された.この9領域による快と不快の判別の誤判別率は0.05%であった.算出された標準化判別係数より,他の領域に比べて左上側頭回の媒介中心性の変化は判別に影響していた.また,左上側頭回は3つすべてのグラフ理論特徴量が増加することで快情動と判別され,減少することで不快情動と判別された.上側頭回は社会的認知に関わる領域であり,快・不快情動において社会的認知の方法が異なることが考えられた.さらに情動的な記銘や想起時に関わる左嗅皮質の次数中心性の変化が判別に影響していた.この領域においても同様に,3つのグラフ理論特徴量の増減が快と不快の判別に影響していた.グラフ理論特徴量を増加させることで快情動の記銘や想起を行い,減少させることで不快情動の記銘や想起を行っていると考えられた.以上より,快・不快情動発現時の機能的ネットワークにおける特徴的な構造が明らかとなった.

 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
・質問内容1
特徴量はどのように選択したのか?
・質問内容2
ネットワークにおいて結合の強度ではなく結合の有無を見ているのはなぜなのか?
・質問内容3
視覚以外の感覚による刺激を用いてみてはどうか?
・質問内容4
情動なのに扁桃体が重要でないのはなぜなのか?

  • 感想

本学会ではMRIについての研究発表が非常に多く,高度な撮像法について多くを学ぶことができたと感じています.また,機能的なネットワークよりも構造的なネットワークに関する研究が盛んであり,今後は構造的なネットワークの検討も必要だと感じました.今回は国内での発表は初で,あり言いたいことはうまく伝えることができたが,周りと少し分野が異なっていたため基本的な質問が多かったように思いました.そして3分間という短い時間でうまく内容をまとめて相手に合わせて話すことができたと思います.

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の3件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : Deep learning を利用した画像分類において学習精度と判断過程の可視化を両立する手法の検討
著者                  : 立花 泰彦(量研機構放医研 分子イメージング診断治療研究部 医工連携画像研究チーム)
セッション名       : AI
Abstruct            : Deep learning(convolutional Deep Neural Network)
は画像分類などの機械学習を高精度・半自動的に行えるが,判断根拠が不透明な問題がある.cDNNによる臨床画像分類で,精度を確保しつつ判断根拠を可視化する方法を検討した.健常脳MRI画像をcDNNにより2つの年齢群に分類する実験を行った.対象画像(500例)から異なる解剖学的領域が抽出された5つの画像群を作成した.それぞれを学習データと試験データに分け,得られた5種の学習データを個別のcDNNに与えて画像を2つの年齢層へ分類する学習をさせた(並列学習).また,これらのcDNNの最終層出力を結合しlogistic回帰による分類学習を行った(統合学習).試験データを正しく分類する率を指標とし各学習の正確さを統計学的に比較した(Wilcoxon符号順位検定,P<.05を有意).並列学習では抽出領域の違いにより正答率に差を認めた.この結果から,どの領域が学習に重要であったかが逆説的に示唆される(BとCの有意差から実質外腔が重要).また、統合学習により正答率は向上する傾向を認めた(BとFの比較でP=.06).並列・統合学習の併用は判断根拠の可視化と精度確保の両立につながる.

ディープラーニングを用いてMR画像の識別を行っていた.それぞれの特徴量で学習させて
なにが識別に効いているかを検討していた.中身の分からないディープラーニングに対して中身を理解しようという取り組みが興味深かった.自分がやっていることと同じで非常に参考になった.
 

発表タイトル       : 脳卒中急性期における安静時機能的MRIに対する影響I
著者                  : 松下 明(茨城県立医療大学 脳神経外科,筑波大学 脳神経外科,筑波大学 サイバクス研究センター)
セッション名       : fMRI
Abstruct            : 急性期脳卒中患者に対して、ロボットスーツHALを用いた治療(以下、HAL運動処置)を行ってきた。今回、脳卒中急性期における安静時機能的MRI(rsfMRI)の解析結果を示すと供に、病巣が安静時脳機能ネットワークに与える影響について考察した。筑波大学付属病院に入院した急性期脳卒中患者から、HAL運動処置に対する同意を得られ、複数回の機能的MRIの撮影が可能であった患者を対象とした。HAL運動処置を週2-3回試行し、MRIは週1-2回撮影した。rsfMRIは約6分閉眼安静時とし、解析ソフト(CONN)を用いて、関心領域(ROI)を運動関連領域など2か所に設定し、functional connectivity(FC)を求めた。8例(男性4名 女性4名)に平均3.25回(2-4回)のMRI撮影が可能であった。年齢は12-79(平均53.3歳)。いずれも右半球の病変による左片麻痺であった。同側の中心前回と中心後回、左右の補足運動野と運動や、左右基底核、左右小脳など、相互にFCが高いクラスターを認めた。また、運動野を含むクラスターから基底核あるいは小脳へのFCには左右差が見られた。安静時脳機能ネットワークにおいても、病巣を反映していることが示唆された。
 

レスティングステイトに関して機能的コネクティビティの検討を行っていた.この発表を聞いてレスティングステイトの脳状態から被験者群をクラスタリングし,タスク時のネットワークを群分けすることで各群の特徴を見ることができそうだと考えた.先行研究をさらに読んで関心領域を絞る方法も検討していきたいと思った.

発表タイトル       : 両眼視機能以上におけるグラフ理論による構造的接続性の検討
著者                  :吉田正樹(東京急行電鉄株式会社 東急病院 眼科)
セッション名       : poster
Abstruct            :
我々は,拡散テンソル画像を用いて斜視における脳内の軸索密度の減少を報告した。(Yoshida.Metal ISA 2014)今回は,同データからグラフ理論を用いて斜視における脳内接続性について検討した。対象は両眼視機能の以上に基づく県政斜視の手術既往のある21症例(男性4名 女性13名)と健常被験者36名(男性7名 女性29名)である。撮像には臨床用3T装置(SIEMENS社製MAGNETOM A Trio Tim、32チャンネル頭部コイル)をもちいた。拡散テンソル画像は、b=1000 sec/mm2空間分解能は1.5mm等方、拡散検出傾斜磁場は64方向に設定した。また、解剖画像としてMPRAGEによるT1強調画像を空間分解能1㎜当方で撮像した。各症例の構造的接続性のマトリックス作成には北京師範大学PANDAを、グラフ理論による接続性の統計解析委はChariteベルリン医科大学製GraphVarをそれぞれ使用した。グラフ理論における局所の接続性指標である時数は、両側の縁上回において斜視では有意に少なく、軸索密度の減少を反映した結果となった。一方同部位のクラスター係数と局所効率は斜視で優位に上昇していた。またネットワーク全体の接続性指標であるスモールワールド性は斜視において有意に上昇していた.斜視では、構造的接続性が単に減少しているのみならず、何らかの代償性によって修飾されており、健常者とは脳内の構造的接続性が異なることが示唆された。
 

構造的なコネクティビティの研究で自分と同じようにグラフ理論を用いていた.この研究の解析ではスモールワールド性の差を見ていた.実際にそのネットワークのスワールワールド性を確認することは今までに行っていなかったので参考になった.