【速報】日本マインドフルネス学会

日本マインドフルネス学会が関西大学100周年記念会館にて開催されました。
研究室からは2名の学生がポスター発表しました。

学会参加報告書

 
報告者氏名
 
古家知樹
発表論文タイトル 集中瞑想における「脳地図」の作成
(第二報:個人毎の脳地図作成による個人差の検討)
発表論文英タイトル Functional parcellation of the meditative brain, Part II: Analysis of inter individual variability using individual parcellation
著者 古家知樹, 日和悟, 廣安知之
主催 医療情報システム研究室
講演会名 日本マインドフルネス学会
会場 関西大学100周年記念会館
開催日程 2019/08/24-2019/08/25

 
 

  1. 講演会の詳細

2019/08/24から2019/08/25にかけて,関西大学100周年記念会館にて開催された日本マインドフルネス学会に参加いたしました.この学会は,マインドフルネス学会によって主催された学会で,マインドフルネスに関する科学的・学術的研究の発展に寄与するとともに、マインドフルネス実践の有効性と安全性を高めることを目的に開催されています.
私は24日の研修会,ポスター発表に25日のワークショップに参加いたしました.本研究室からは他に大塚,山本が参加しました.
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は24日の午後のセッション「一般研究発表」に参加いたしました.発表の形式はポスター発表で,約1時間となっておりました.
今回の発表は,集中瞑想における「脳地図」の作成(第二報:個人毎の脳地図作成による個人差の検討)です.以下に抄録を記載致します.

目的
集中瞑想では注意状態を維持するために特定の出来事が絶え間なく観察される.一方,洞察瞑想では特定の対象に焦点を当てず,今この瞬間の経験に注意を払う.著者らは多くの瞑想実践法の導入としてしばしば用いられる集中瞑想に注目し,その神経基盤の解明に取り組んでいる.「脳地図」は,脳の各部位が担う機能や領域間の関係を表すものであり,米国のHuman Connectome Projectなどの国際的取り組みにより,高次認知機能とそれを担う各脳領域の区画化が行われている.そこで本研究では,瞑想中の脳活動データから,類似した活動を示す領域を区画化した「瞑想脳地図」を作成することで,集中瞑想に関わる脳部位を特定・マップ化することを目的とする.第一報では,瞑想実践者のfMRI画像を平均化し,そこから脳地図を作成する方法を提案した.しかし,近年のfMRI研究により,脳活動パターンの個人差が無視できないほどに大きいことが明らかされつつある.そこで本稿(第二報)では,個人のfMRI画像に対して個別に脳地図を作成し,個人差および共通的に存在する瞑想関連脳領域を特定した.
方法
実験参加者: 瞑想実践者群7名(実践1560±435.0h,男性6名,女性1名,年齢43.0±9.1歳,同一被験者を累計実践時間の異なる時期に3回測定したものを3名として含む)が書面による同意の上,実験に参加した.
手続き: 参加者の安静時/瞑想時の脳活動を,瞑想前安静時(5分),瞑想時(5分),瞑想後安静時(10分)の計20分間計測した.被験者は一度もMRI装置から出ることなく計測を続けた.瞑想法は数息観を用い,計測中は終始,閉眼・鼻呼吸を維持すること,自然な呼吸を心がけ意図的に変えないこと,息の吸い始めから吐き終わりを1として声に出さず数え,10まで数えたら再び1に戻り数え始めることを指示した.さらに,数え間違いや呼吸以外に注意が逸れた場合には,再び呼吸に意識を戻し,1から数え直すよう指示した.
撮像条件: 1.5T MRI Scanner Echelon Vega(日立製作所)を使用し,GE-EPI撮像法により被験者の脳活動を計測した(TR=2500ms, TE=40ms, flip angle=90°, FOV=240mm, 5.0-mm thick slices, matrix size=64×64,number of slices=25).
解析(前処理): 計測されたfMRIデータに対してSPM12(Welcome Department of Cognitive Neurology, London, UK)を用いてrealignment , slice timing correction,coregistration , MNI空間へのnormalization ,白質と脳脊髄液の影響除去,頭部の動き補正,smoothing(8-mm FWHM Gaussian kernel)を行った.また,BOLD信号に対してバンドパスフィルタを適用し解析対象周波数領域(0.008—0.09Hz)を抽出した.各ボクセルにおいて局所自発性脳活動の指標であるfALFFのzスコア(zfALFF)を算出した(Zou et al., 2008).
解析(個人毎の脳地図作成による個人差の検討)得られた瞑想実践者の瞑想時zfALFFデータに対して,simple linear iterative clusteringを用いて脳地図を個人ごとに作成した.脳領域分割の結果から被験者間の類似度を算出した.類似度の指標としてDice係数を用いた.実践者で共通して類似度の高い領域を瞑想時関心領域と定義した.判定領域における脳の働きを従来多く用いられているAALを用いて検討を行った.
結果と考察
集中瞑想時の脳活動強度に基づき脳地図が個人ごとに作成された.脳の領域分割数は189に設定された.次に,集中瞑想時に被験者間で共通して活動した脳領域を推定するために,作成された脳地図の領域間類似度をDice係数を用いて算出した.その結果,実践者7名の間で高い類似度を示す脳領域は189 領域の内9 領域のみであった(表1).次に,提案手法の妥当性を検討するために,従来多くの脳研究で用いられてきた脳地図であるAALを用いて抽出された領域が従来の脳地図の定義でどのような領域と関連しているかを検討した.本研究で集中瞑想関連領域とされた領域には,InsulaやCingulum Antなど,瞑想における「気づき」に関わる領域として知られる複数の領域が含まれることがわかった.すなわち,提案手法により作成された脳地図から,従来の研究で瞑想に関わるとされた脳領域が統合され,複数同時に活動することが示唆された.本実験により,瞑想時の脳活動強度に基づいて脳領域を区画化することで,集中瞑想に特徴的な活動を示す脳領域を特定可能であることが示された.

 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
・実践者でばらつく領域の方は見ていないのか(貝谷先生)
共通する領域が瞑想時に実践者で活動する領域であり意味があると考え考察を行いました.と回答いたしましたが,ばらつく領域の方が意味があり,DMN領域のPCCが重要であるというアドバイスももらいました.
・初心者でもすぐ瞑想ができる人がいるため,その個人差なども見たほうが良い(貝谷先生)
貴重なアドバイスを頂けました.
・活動強度とはどういう指標なのか
この質問に対する私の回答は自発的な脳活動を示す指標で,ヒトは0.008から0.09Hzの周波数帯で自発的な脳活動が現れるとされており,その周波数帯での活動が全周波数帯にたいしてどのくらい含まれているかで算出されますと回答いたしました.
・ネットワークは見ないのか
この質問に対してネットワークは協調の指標なので,まず活動が増加している領域が瞑想時の特徴を示していると考えるため本実験では活動をみていますと回答いたしました.
・ネットワークでも脳地図が作れるのか
この質問に対する私の回答は作成できますと回答いたしました.
・この脳地図は何に良いのか
この質問に対する私の回答は今回の脳地図で瞑想時の脳活動を見ることで瞑想時の実践度をフィードバックできるようになりますと回答いたしました.
・初心者とは脳地図での特徴は異なるのか.
第一報の結果から,実践者と初心者は活動する領域に差はあります.しかし,初心者の個人ごとの脳地図は作成していません.と回答いたしました.
 

  • 感想

私は本学会への参加は2回目であったことから,聴衆の方のイメージは持ちながら準備を行うことができました.具体的にはポスターには手法よりも結果の面積を大きく配置し,個人ごとにアトラスを作成したことと,共通して形成された領域が存在したということを理解できるように,脳地図と領域の図を工夫しました.発表当日はまず結果を説明し,相手に理解度を伺うなどすることで相手にあった説明を心がけました.多くの方と話すことができ,私の研究に興味を持っていただけたと感じています.中でも,瞑想脳機能研究では著名な貝谷先生には新たな分析方法のご指導もいただき,瞑想脳機能パーセレーション研究の面白みが実感できました.また本学会では研修会やシンポジウムも開催されたのですが内容の多くが理解できず勉強不足を痛感いたしました.今後はさらにマインドフルネスに対して幅広い知識とつけ,より効果的なアプローチを脳機能の側面から行えるように精進していこうと思います.
 

  1. 聴講

今回の研究発表会(ポスター発表)では,下記の1件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : マインドフルネスを用いたメンタルトレーニングが
女子大学生アスリートの身体組成,自律神経機能,心理面に及ぼす影響
著者                  : 高橋 珠実
セッション名       : 一般研究発表
Abstract            : コンディショニングの一環としてマインドフルネスを用い、メンタルトレーニングの可能性を検討した結果、身体 組成、自律神経機能等において興味深い結果が示され、パフォーマンスに好影響を与える可能性が示唆された。

瞑想と筋肉量増加のつながりに疑問を持ったため,聴講いたしました.競技スポーツにおいてアスリートは、勝利至上主義や周囲 からのプレッシャー、自分の実力未発揮などといった要因に より、バーンアウト、競技からのドロップアウト、オーバー トレーニングなどに陥る可能性と常に隣り合わせであること が問題視されているため,学生アスリートを対象とし、特に重要な試合が続く夏季のメンタルトレーニングの効果を検討することとしたという研究内容でした.結果としては,メンタルトレーニングを用いることにより筋肉量増加がみられ,要員として,ストレスの低減、またリラックス 状態になったことが考えられていた.マインドフルネスと筋肉量増加の関係に疑問を感じたため聴講いたしました.
 
学会参加報告書

 
報告者氏名
 
大塚友樹
発表論文タイトル 集中瞑想中の脳機能ネットワークにおける個人内変動の検討
(第2報:高変動な脳領域の特定)
発表論文英タイトル Intra-individual variations of functional brain networks during meditation, Part II: Identifying variable brain regions
著者 大塚友樹, 日和悟, 廣安知之
主催 日本マインドフルネス学会
講演会名 JAM2019
会場 関西大学(千里山キャンパス)
開催日程 2019/08/24-2019/08/25

 
 

  1. 講演会の詳細

2019/08/24から2019/08/25にかけて,関西大学(千里山キャンパス)にて開催されました日本マインドフルネス学会第6回大会に参加しました.この日本マインドフルネス学会第6回大会は,マインドフルネス学会によって主催された国内会議で,マインドフルネスに関する科学的・学術的研究の発展への寄与および,マインドフルネス実践の有効性と安全性を高めることを目指しています(1.本研究室からは他に,M2の学生として古家,山本が参加しました.
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は24日のポスターセッションに参加いたしました.発表の形式はポスター発表で,計50分参加者の方と議論を行いまいした.
今回の発表は,「集中瞑想中の脳機能ネットワークにおける個人内変動の検討
(第2報:高変動な脳領域の特定)」について発表いたしました.以下に抄録を記載致します.

目 的
近年のfMRIを用いた脳研究により,認知課題が脳機能ネットワークに与える影響よりも,個人の持つ特性が与える影響の方が大きいことが明らかにされている(Gratton et al, 2018).著者らは,他の認知課題と同様,瞑想によっても同様の仮説が成立するかを研究している.第一報では,異なる被験者間および同一被験者内の脳機能ネットワーク全体の類似度をもとに,安静時および瞑想時における個人間変動および個人内変動の可視化を行い,個人が瞑想することで生じる脳機能ネットワークの変化よりも,脳機能ネットワークの個人差の方が大きいことを示した.第二報では,この仮設をさらに詳細に検証するため,瞑想時において,脳機能ネットワークの個人差を生む要因となっている脳領域を特定することを目的とする.そこで,同一被験者を異なる日に繰り返し測定し,安静時と瞑想時における集団での個人間変動と個人内変動を調査し,瞑想中の変動が大きい脳領域を調査した.
 
方 法
実験参加者: 初心者群21名(瞑想実践経験なし,年齢23.0±2.5歳,男性15名,女性6名)の右利きで健康な日本人成人男性が書面による同意の上,実験に参加した.初心者群のうち,3名(年齢:25±6.9歳,男性3名)の被験者を異なる日に10回繰り返し測定した.この被験者3名をそれぞれ被験者A,B,Cとした.
手続き: 参加者の安静時/瞑想時の脳活動を,瞑想前安静時(5分),瞑想時(5分),瞑想後安静時(10分)の計20分の間計測した.被験者は一度もMRI装置から出ることなく計測を続けた.瞑想法は数息観を用い,計測中は終始,閉眼・鼻呼吸を維持すること,自然な呼吸を心がけ意図的に変えないこと,息の吸い始めから吐き終わりを1として声に出さず数え,10まで数えたら再び1に戻り数え始めることを指示した.さらに,数え間違いや呼吸以外に注意が逸れた場合には,再び呼吸に意識を戻し,1から数え直すよう指示した.
撮像条件: 1.5T MRI Scanner Echelon Vega (日立製作所)を使用し,GE-EPI法により被験者の脳活動を計測した(TR=2500ms,TE=40ms,flip angle=90°,FOV=(240mm,5.0-mm thick slices),matrix size=64×64,number of slices=25).
解析(前処理): 計測されたfMRIデータに対してSPM12(Welcome Department of Cognitive Neurology, London, UK )を用いて前処理を行った.さらに,AALアトラスにより脳領域を116に分割し,各領域の平均BOLD信号を抽出した.時系列信号に対して脳領域間の時系列相関を求め,116×116の機能的結合度行列を算出した.
解析(高変動な脳領域の抽出): 初心者群と繰り返した測定した被験者A,B,Cの安静時および,瞑想時の脳領域毎の被験者間および被験者内相関を算出するために,脳領域毎のピアソン相関係数を算出した.算出した相関係数を基に,各脳領域の不偏分散値を算出し,AALアトラス上に描画を行なった.脳領域毎に安静時と瞑想時において,等分散検定(p<0.05)を行い,安静時に対して瞑想時に不偏分散値が有意に大きい脳領域を抽出した.
結果と考察
図1(a)〜(d)に異なる被験者間および被験者A,B,Cにおいて安静時よりも瞑想時に変動が大きい脳領域を示す.集団において,瞑想時に安静時よりも不偏分散値が有意に大きい脳領域には,DMN(デフォルトモードネットワーク)を構成するHIP.RとPCUN.L,SN(セイリエンスネットワーク)であるAMYG.RとACG.L,CEN(中央実行ネットワーク)であるSFGdor.RとSPG.L/Rが確認された.また,繰り返し測定された被験者A,B,Cに共通して瞑想中の変動が大きい脳領域は確認されなかった.個人毎にみると,被験者Aでは,DMNであるPCUN.R,SNであるINS.R,CENであるSPG.LRが確認された.被験者Bでは,SNであるACG.Lが確認された.被験者Cでは,CENであるSFGdor.Rが確認された.これらの脳領域は,瞑想の日間変動が大きいことを示している.上記の領域群はいずれも瞑想に関連した脳領域であり,それらが個人間・日間において高変動であることが明らかになった.今後はこれらの変動がどのような被験者特性・状態により引き起こされているかを検討する.

 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
質問は,何分間瞑想を行なったのかというものでした.この質問に対しては5分間の瞑想を行なっていると答えました.
 
・質問内容2
質問は,どんな瞑想を行なっているのかというものでした.この質問に対しては,数息観を行なっていると答えました.
 
・質問内容3
質問は,何の機器を使って測っているのかでした.この質問に対しては,1.5TのMRIを使って計測していると答えました.
 
・質問内容4
質問は,実践者のデータはあるのかというものでした.この質問に対しては,初心者のみのデータを使っていると答えました.
 
・質問内容5
質問は,MRIで取得したデータをどう解析しているのかというものでした.この質問に対しては,各領域間のBOLD 信号の相関係数を求めてネットワークとして解析していると答えました.
 
・質問内容6
質問は,アンケートはとっているのかというものでした.この質問に対しては,アンケートはとっている.まだ,関係性を検討していないので今後検討する必要があると答えました.
 
・質問内容7
質問は, 被験者がどういう人なのかをみているのか.対人関係や成績が優秀かなどというものでした.この質問に対しては,考慮していないと答えました.

  • 感想

・去年に引き続き,2度目のマインドフルネス学会での発表でした.短い時間での発表でしたが,去年よりも多くの方が聴きに来てくださり,たくさんの方と議論をすることができました.アンケートはとっているのかという質問が多くありました.参加者の方は,アンケートによる結果を重視している印象を受けました.学会の講演自体も脳機能というより,実践よりの講演でした.今回の発表は脳機能研究者というよりも瞑想実践者に向けた発表であったため,そのことに注意してポスターの作成を行いました.聴衆者が誰なのかということを意識した見せ方を考える必要があることを実感した学会でした.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の1件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル          : マインドフルネスにより期待される効果の魅力度とその因子構造
著者                     :嶌頭寛之,福市彩乃,山本佑実,菅村玄二
セッション名           : ポスター発表
Abstract:
目 的
マインドフルネスへの注目が高まっており,その効果研究も臨床場面に限らず,増加している.予防・開発場面での活用も散見され,今後はマインドフルネス瞑想を予防教育で奏功させるための検討も必要である.瞑想はドロップアウト率が高く,心理教育による工夫がなされるが(伊藤・安藤・勝 倉,2009),実践者のモチベーション増加や維持は大きな問題となっている.
本研究では,予防に関する心理教育の改善を目指し,説明方略に焦点を当てる.つまり,マインドフルネスから期待される効果について,どのように説明するかによって,その後 の動機づけが変わってくるのではないだろうか.もし多くの人にとって実践の動機づけにつながるような,魅力的な説明を見いだせれば,それは一般向けの効果の解説としては適格といえる.具体的には,マインドフルネスの多様な効果を列挙し,どのような説明がマインドフルネス介入を魅力的に感じさせるのか検討する.
方 法
調査協力者: 大学生385名(男性160名,女性217名,他・不明8名)で,平均年齢は 19.1 歳(SD = 1.1)であった.
手続き: 質問紙調査を行った.協力者には回答をもって調査への同意とすることを説明した.実施は異なる4つの講義で行った.うち1つが心理学の専門科目(2年次配当)であ り,残りは全学部配当の一般教養科目であった.人数の都合により,4回目の実施では Google form を使用した.
質問紙: 春木・石川・河野・松田(2008)や Lutz, Slagter, Dunne, & Davidson(2008)など,先行研究からマインドフルネスの効果を収集し,75項目を作成した.選定は,エビデンスの質よりも,幅広い効果を網羅することを重視した.どの程度魅力を感じるかを「全く魅力を感じない」から「非常に 魅力的である」の0から7点の8件法で尋ねた.その他,個人差要因として,年齢,性別,主観的な健康やストレスの程度,マインドフルネスの知識と経験,運動習慣などを尋ねた.
結 果
回答に不備のあったデータを削除し,記入漏れは各項目の平均値で補完した.使用した回答は379件であった.効果の魅力度の質問項目について,それぞれの平均値を魅力度得点として,高いものから順位をつけた(表1).また個人差要因の得点を用いて群を分けたが,トップ3の効果はいずれの群でも上位であった.効果の魅力度75項目について,因子分析を行った.不良項目を除外し,最尤法・プロマックス回転を行った結果,49項目からなる8因子構造が得られた.表2は各因子のα係数と代表的な項目である.
考 察
魅力度が上位の項目は,いずれも約6点であり,コミュニ ケーションやパフォーマンス向上は,多くの人が高い関心を示す内容だと考えられる.したがって,こうした観点からマインドフルネスの効果を説明すれば,一般大学生にとっては実践の動機づけに好影響を与える可能性がある。
また因子として,「気づき」や「受容」などマインドフルネスのキーワードと一致する要素も見つかった.このことから,一定程度は妥当な構造が得られたと言えるが,「学習」など対 象者属性を反映する要素も見られた.本結果は,マインドフルネスの予防教育の導入プロセスで,いかなる説明方略が有効か判断する手掛かりを提供するものである.これが実際の脱落率に影響するかについては,今後の課題である.

この研究は,マインドフルネスから期待される効果について,どのように説明するかによってその後も継続していくかを多数の先行研究で使用される質問紙を用いて評価している.マインドフルネスの説明に対して一般の人が抱く印象を知る事ができる研究だと感じた.
 
 
参考文献

  • 日本マインドフルネス学会,

https://mindfulness.jp.net/