日本ヒト脳機能マッピング学会

2013年7月5~6日に東京大学で開催されました第15回日本ヒト脳機能マッピング学会に参加致しました.
本研究室からは,横内久猛教授,山本詩子助教授,杉田出弥(M1),木村茜(M1),眞島希実(M1),井上楓彩(M1),大西夏子(M1)が参加致しました.
発表題目は以下の通りです.
・視覚刺激と聴覚刺激の違いにおける注意の持続性への影響 木村 茜,福島 亜梨花(同志社大学),若村 智子(京都大学),山本 詩子,廣安 知之(同志社大学)
・GO/NOGO課題の難易度変化が脳の反応抑制に与える影響の検討 杉田 出弥,福島 亜梨花,山本 詩子,廣安 知之(同志社大学)
・色温度環境の差異が注意の持続に及ぼす影響のfNIRSを用いた検討 大西 夏子,福島 亜梨花(同志社大学),若村 智子(京都大学),山本 詩子,廣安 知之(同志社大学)
・リーディングスパンテストを用いたワーキングメモリの検討 -fNIRSを利用した基礎的検討- 真島 希実,山本 詩子,廣安 知之(同志社大学)
・fNIRS実験時における音圧変化の影響の検討 井上 楓彩,星野 雄地,山本 詩子,廣安 知之(同志社大学)
日本ヒト脳機能マッピング学会は,脳機能イメージング装置による時間的要素を含めた脳機能マッピングと患者治療応用をテーマとした学会です. 私自身初めての学会参加で,学会の雰囲気に圧倒され緊張しましたが,非常によい経験になりました.学生参加者は少なく,医者の方が多いことが印象的でした.杉田,木村,眞島,大西は7月5日(金)にポスター,井上は7月6日(土)の口頭で一般演題にて発表致しました.
私が発表したセッションは,NIRSを用いた脳機能計測をテーマとしており,様々な課題や手法を用いて研究がされていて,どのポスターもとても興味深いものでした.研究室以外の場で,たくさんの方々の前で発表するのはとても緊張しましたが,無事に発表を終えることができてよかったです. 発表時間は7分間でしたが,セッションの1時間30分の間,たくさんの方々にポスターを見て頂き,色温度が作業効率や脳にかかる負荷に影響を与えるという結果が面白いと言って下さって嬉しかったです.
様々な質問やアドバイスを頂き,改めて自分の研究の意義や現在の反省点を見つめ直すことが出来ました. 他のセッションでは,NIRSだけでなくMRIやMEGなど様々な研究の講演を聴講しました.普段聞くことができない他の装置の研究や臨床応用に関して聴く事ができてとても勉強になりました.自分の知識不足により理解できなかった研究も多々あったので,たくさんの論文を読んで勉強していかなければならないと感じました. 最後になりましたが,学会参加にあたり,廣安先生,山本先生には大変お世話になりました.初めての学会参加で,たくさんの不手際がある中,支えて下さった廣安先生をはじめ研究室の皆さまには大変感謝しております.この場を借り厚く御礼を申し上げます.
【文責:M1 大西】
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学会参加報告書

 報告者氏名 木村茜
発表論文タイトル 視覚刺激と聴覚刺激の違いにおける注意の持続性への影響
発表論文英タイトル Impact on the sustained attention in the difference between the auditory stimuli and visual stimuli
著者 木村茜, 福島亜梨花, 若村智子, 山本詩子, 廣安知之
主催 宇川義一
講演会名 第15回日本ヒト脳機能マッピング学会
会場 東京大学伊藤国際学術研究センター
開催日程 2013/07/05-2013/07/06

1. 講演会の詳細

2013/07/05から2013/07/06にかけて,東京大学伊藤国際学術研究センターにて開催されました第15回日本ヒト脳機能マッピング学会(http://www.procomu.jp/jhbms2013/greeting.html)に参加いたしました.この第15回日本ヒト脳機能マッピング学会は,宇川義一先生によって主催された集会で,“ダイナミック脳機能マッピング:患者治療にむけて”というメインテーマをもとに,脳の機能的マッピングを行うことを目的に開催されています.

私は5日に発表し,6日は公聴いたしました.本研究室からは他に横内先生,山本先生,杉田,大西,真島,井上が参加しました.

  2. 研究発表 2.1. 発表概要 私は5日の午後のセッション「一般演題 ポスター発表A」に参加いたしました.発表の形式はポスター発表で,5分の講演時間と2分の質疑応答時間となっておりました. 今回の発表は,ポスター発表です.以下に抄録を記載致します.

【目的】同じ脳機能を計測する課題を使用しても,課題により高次脳機能で処理される情報やその部位の活性状態は異なると考えられる.よって脳機能と脳の活性状態を関連付けるには課題による活性状態の違いを考慮する必要があるが,課題の違いが活性状態に与える影響は明白でない.そこで本研究では,同じ注意の持続性を計測する課題であるPsychomotor Vigilance Task(PVT) とGO/NOGO Taskにおいて視覚刺激と聴覚刺激を用いた際,脳血流変化と反応時間にどのような違いをもたらすか検討した.【方法】本実験はfunctional Near-Infrared Spectroscopy装置を用い,国際10-20法に基づき前頭前野下前頭回を測定する.そして健康な男性34名(平均21.6歳)に対し4種類の課題を行う.各課題はレスト区間30[s],タスク区間120[s]のブロックデザインとし,ランダムな間隔で呈示される刺激にボタンを押すか否かで反応を示す.PVTの視覚刺激として”○”を,聴覚刺激として1000[Hz]の正弦波を呈示する.同様にGO/NOGO Taskの視覚刺激として”○”又は”□”を,聴覚刺激として1000[Hz]又は1100[Hz]の正弦波を呈示する.【成績】被験者毎にレスト区間とタスク区間の総ヘモグロビン濃度変化量を算出し,t検定(p<0.05) を用いて比較した.視聴覚刺激共に有意差のあった部位を活性部位とした.そして視覚刺激時あるいは聴覚刺激時に活性量の大きい被験者群をV群あるいはA群とした.PVTではV群とA群の反応時間に差はなかったが,GO/NOGO TaskではV群よりA群の方が20[ms]程遅くなった.【結論】脳に入力される情報量は視覚刺激の方が多いと考えられるが,聴覚刺激時により活性したA群がみられた.A群は反応時間が遅く,情報量の多い視覚刺激に対し多くの注意を払えなかった群である可能性が示唆される.またPVTよりGO/NOGO Taskの方が課題のもつ情報量が増え,視覚刺激と聴覚刺激における脳の活性状態の違いが現れやすいことが考えられる.

2.2. 質疑応答 今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.   ・質問内容1

東京都医学総合研究所所属の河野理さんからの質問です.こちらの質問は,注意機能は本当に下前頭回なのか?というものでした.この質問に対し私は,下前頭回の一部と背外側前頭前野の一部が重なっているあたりに注意と関連のある脳局在があると考えておりますと回答しました.しかし,後で伺うと注意と関連すると言われているのは背外側前頭前野でしっかり部位を調べなければいけないとアドバイスを頂きました。

  ・質問内容2

質問者の氏名を控え損ねてしまいました.質問は,GO/NOGO taskのGO信号とNOGO信号の比率は?というものでした.この質問に対し,GO信号70%とNOGO信号30%ですと回答しました.もし注意レベルを上げる設計にしたいのならば,比率を50%50%にすればいいのではないかとご意見を頂きました.

  ・質問内容3

質問者の氏名を控え損ねてしまいました.質問は,刺激はどのくらいの長さを呈示したのか?というものでした.この質問に対し,500[ms]ですと回答しました.一秒間に脳に入力される情報量を比較した論文と呈示時間が違えば,視覚聴覚の情報量の比も変わってくるのでは?とご意見を頂きました.

・質問内容4

質問者の氏名を控え損ねてしまいました.質問は,集団解析はしたのか?というものでした.この質問に対し,していませんと回答しました.病変や育った環境や遺伝によって視覚優位な人や聴覚優位な人もいるという話もあるから気をつけた方がいいというご意見を頂きました.

2.3. 感想 話を聞いて下さった方のほとんどはお医者さんで,非常に鋭い指摘や臨床ケースでの例など幅広い知識を含めた質問,ご指摘を頂きました.ごまかしは効かず,研究の穴の部分を的確に指摘され,研究を進めるために大変貴重な勉強をすることができました.   3. 聴講 今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.

発表タイトル       : 視覚刺激の特性から視覚誘発脳磁図を捉え直す

著者                  : 飛松省三 セッション名       : シンポジウム1 『MEGの最前線』 Abstruct            : 【はじめに】視覚誘発脳磁図(VEF)は、生体内の透磁率がほぼ等しく磁場のひずみが生じないため、空間分解能に優れ、視覚野の一側性機能異常や軽微な左右の機能差などを鋭敏に検出できる。本講演では、視覚刺激の特性からVEFの価値を捉え直してみたい。【視覚野の機能分化】対象物の色、形、運動、奥行きなどのカテゴリーに対応する視覚系の機能分化はすでに網膜レベルからみられる。視覚刺激を工夫することにより、ヒトの視覚野(1次視覚野(V1)~5次視覚野(V5))の機能をVEFで検索できる。 1)V1の評価   視覚誘発電位(VEP)と対比できるため格子縞刺激がよく使われ、P100mが記録される。視覚野には網膜部位対応があり、黄斑部(直径5度)が皮質内では大きく表現されている。そのため、中心部は視力が良く小さな格子縞(15~30分)に反応するが、周辺部は視力が悪いため大きな格子縞に反応する。我々のVEFレビューでは、中心視野だけでなく周辺視野を刺激する大きな刺激視野が使われていた。中心部の機能を見たいときは、小さな格子縞で刺激視野を半径5度以内に設定し、周辺部の機能をみたいときは、大きな格子縞で中心部をマスクすることが肝要である。 2)V4、V5の評価   V4(紡錘状回)は、顔や言語の中枢として知られている。右優位にface fusiform areaがあり、左優位にvisual word form areaがある。顔写真や漢字を呈示するとN170mが後側頭部で記録され、V4の機能を反映する。V5は運動視中枢である。ランダムドットのコヒーレント運動や仮現運動が使われる。刺激の条件によりVEPでは、N170、P200が記録される。これに対応するVEFがV5で記録される。 【視覚刺激の質】刺激の呈示は、液晶ビデオプロジェクタを使って磁気シールド室内の半透明のスクリーンに投影する方式が広く使われている。この方式の欠点は、スクリーン上の画像のコントラストの調整が難しく、画像が不鮮明になる点である。経験上、視覚刺激の質の劣化(表情認知など)はVEFの反応特性に大きな影響を与える。実験の精度を上げるためには、液晶モニタを使うことも必要である。 この発表は,視覚刺激をテーマにしていてとても参考になりました.チェッカーボードパターンの表示については,今まで論文で見かけたとき,なぜ円を切り刻んだような刺激を使うのだろうと思っていたところが理解に近づきました.他にも,視覚刺激としての”かな”と”漢字”の脳内処理の違いを調べるためにそれらの空間周波数をフーリエ解析により調べられている部分は自身の研究への応用が可能であると感じられました. 視覚情報は網膜偏心度に依存するそうなので,今後細やかな実験設計に繋げるべく勉強を続けたいと思います.

発表タイトル       :fMRIとの同時計測によるNIRS信号の深部、浅部成分分離手法の評価

著者                  : 舟根司、佐藤大樹、八幡憲明、滝沢龍、西村幸香、木下晃秀、桂卓成、敦森洋和、福田正人、笠井清登、小泉英明、木口雅史 セッション名       : 口頭発表6 『光計測』 Abstruct            : 近赤外分光法(NIRS)を用いた脳機能計測では、頭皮上にプローブを設置することから、課題(刺激)に伴う血流変化が脳外組織に生じた場合、計測信号に含まれる脳外組織由来の信号の影響を考慮することが重要である。本研究では、12人の健常被験者に対して、言語流暢性課題、ワーキングメモリ課題、指タッピング課題遂行のNIRS、fMRI及びレーザドップラ血流(LDF)信号を同時計測し、マルチディスタンス計測及び独立成分分析をを用いる深部、浅部成分分離手法1) の有効性を評価した。本研究は東京大学医学部倫理委員会の承認を得、被験者から書面による同意を得て実施した。選択されたNIRS活動チャンネルの光路範囲における、灰白質ボクセルの平均BOLD信号を算出し、前記分離手法により分離されたNIRS信号との相関係数を算出した。3元配置分散分析(信号の深さ(深部/浅部)×ヘモグロビン種類(oxy/deoxy)×課題(3種))を実施した結果、相関係数に対する信号の深さの有意な主効果が認められた。これにより、前記分離手法を用いてNIRS信号が灰白質BOLD信号との相関係数が有意に異なる深部及び浅部成分に分離されたことを確認した。 この発表はデータの解析方法によってこんなデータが得られるのだと感激した発表でした.NIRS信号から成分を抽出して,各成分を深部/浅部に分離していく.そこからMD-ICA法を用いて皮膚血流の光路長依存性を調べて、その血流変化が皮膚依存か灰白質依存か判断する.NIRS研究を理解してもらうために,私もきっちり理解しなければいけないと感じました.   参考文献 1)    Funane et al., NeuroImage (2013), http://dx.doi.org/10.1016/j.neuroimage.2013.02.026
 

学会参加報告書

報告者氏名 杉田出弥
発表論文タイトル GO/NOGO課題の難易度変化が脳の反応抑制に与える影響の検討
発表論文英タイトル Effect on brain function in inhibitory control during go/no-go tasks caused by changes in difficulty
著者 杉田出弥, 福島亜梨花,山本詩子,廣安知之
主催 日本ヒト脳機能マッピング学会
講演会名 第15回日本ヒト脳機能マッピング学会
会場 東京大学伊藤国際学術研究センター
開催日程 2013/07/05-2013/07/06
 

 
1. 講演会の詳細
2013/07/05から2013/07/06にかけて,東京大学伊藤国際学術研究センターにて開催されました第15回日本ヒト脳機能マッピング学会1) に参加いたしました.この第15回日本ヒト脳機能マッピング学会は,日本ヒト脳機能マッピング学会によって主催された研究会で,脳機能マッピングの機能解析や治療応用をさらに深めるために企画された学会です.
私は5,6日の両日参加いたしました.本研究室からは他に横内先生,山本先生,木村,大西,井上,真島が参加しました.
2. 研究発表
2.1. 発表概要
私は5日の午後のセッション「一般演題 ポスター発表A」に参加いたしました.発表の形式はポスター発表で,5分の説明時間と2分の質疑応答時間となっておりました.
今回の発表は,GO/NOGO課題の難易度変化が脳の反応抑制に与える影響の検討という内容で行いました.以下に抄録を記載致します.

脳機能の変化を観察することがしばしば行われる.しかし課題のパラメータ変化による脳への影響はあまり検討されていない.そこで本研究では課題の難易度変化が脳に及ぼす影響を検討した.Ⅱ難易度付け: 初めに音の聞き分けを行うGO/NOGO課題の難易度付けを行う.GO信号を1000Hz,NOGO信号を1010~1100 Hzの8つの周波数に設定し,課題を作成した.GO信号に対する反応時間及び,NOGO信号に反応したエラー率を被験者12人に対し測定した.GO信号とNOGO信号の周波数差が大きくなるにつれて,反応時間,エラー率ともに減少する傾向が見られた.このことからGO信号とNOGO信号の周波数差を変化させることによってGO/NOGO課題の難易度を変化させることができていると考えられる.Ⅲ方法: 難易度付けしたGO/NOGO課題遂行時の脳血流変化をfNIRSを用いて被験者11人で測定した.課題は難易度付けした課題のうち,NOGO信号が1020,1060,1100Hzのものを用いた.Ⅳ結果: 反応抑制を司る脳の部位(前頭葉下前頭回)において,NOGO信号を1060Hzに設定した難易度の課題遂行時における活性量が他の難易度に比べ最も大きく,そのあとに1100,1020Hzと続く結果が得られた.一方聴覚を司る部位(側頭葉横側頭回)において,NOGO信号を1060,1100Hzに設定した難易度の課題遂行時における活性量が同程度なのに対し,1020Hzでは活性量が1020,1100Hzよりも小さい結果になった.Ⅴ考察及び結論: 側頭葉横側頭回の活性が大きいほど音の聞き分けができていると考えられる.そのことより音の区別ができる難易度では,より難易度が高い課題において前頭葉下前頭回の活性量が大きく見られるが,音の区別がつかない難易度では,前頭葉下前頭回の活性量も小さくなることが考えられた.

 
2.2. 質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
今回は質問者の氏名は控え損ねてしまいましたので,内容だけ記載させていただきます.今後このようなことが内容に気をつけて参ります.
・質問内容1
「音を弁別できた回数によって脳血流変化の大きさに影響は出ないのか。音を弁別できた回数,言い換えると成績によって群分けする必要があるのではないか」
→その通りであります.成績と脳血流の関係性を考えるだけでなく,反応抑制に負荷のかかる回数でも脳血流変化の大きさに影響が出ると考えられるため,群分けの必要性が高まった.
 
・質問内容2
北海道大学の稲垣さんからいただいた質問
「難しすぎると過剰に脳血流変化が出るという文献を読んだことがあるが,そのようなことがなかったのか」
→今回の結果では難しすぎると脳血流変化が小さくなるという結果が得られました.しかしその難しさとは主観的なものでり,定量的に測れていないため,定かではないかもしれないです.
 
・アドバイス1
「レストとタスク区間でt検定を行い,活性チャンネルを決定する必要がある.検定を行う際は生データを用いるとより正確な結果が得られる.また積分値はピーク前後の5~10秒のデータを用いることにより,より感度のいい結果が得られる」
・アドバイス2
「機器の説明や処理の詳細なども書いておくべきである.(チャンネル数,計測位置,行った処理など)」
2.3. 感想
初めての学会で準備不足のため,先生方を初め多くの方に迷惑をかけたことをとても反省しています.発表本番については,本番直前は緊張していましたが,発表時間が始まると思うように話すことができてよかったです.また発表前後にも,他の研究者の方がポスターを見に来て,質問やアドバイスを多く下さりました。データに対して今までと全く違った考え方や,新しい処理の方法など,普段得ることの出来ない知識をたくさん得ることができました.そしてなにより,自分の研究をもっと深めていきたいと強く思いました.
行くまでは自分に引け目を感じ,発表するのが億劫な面もありましたが,発表が終わると,こんな未熟な私がこのような学会に参加できたことをとても感謝しています.
3. 聴講
今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : 言語課題における「難易度」と脳賦活領域:fMRIによる検討著者                  : 岡田 理恵子,中野 直樹,宮内 正晴,石井 一成,村上 卓道,大槻 俊輔,加藤 天美セッション名       : 一般演題 ポスター発表BAbstract            : [目的]fMRIを用いた言語機能の研究ではタスクの難易度が上がるにつれて右半球が賦活えうるという報告がある。しかし難易度ふぁ鋭角に定義されておらず、それが言語処理の難易度を反映したものであるのか、集中力などその他の認知機能による難易度を反映したものであるのかは明らかになっていない。これを明確にすることは言語処理に特化した脳領域w明らかにしていく上で重要であると言える。そこで本研究では語の検索の難易度と処理速度の難易度を変えた課題をそれぞれ設定し,両者の脳賦活の差異を検討した。[対象と方法]右利き健常者18名に3種類の呼称課題を試行してもらい、fMRI撮像を行った。課題は標準失語症補助検査の100単語呼称検査をよび語彙検査の絵カードを使用し、1)高頻度語の呼称、2)低頻度語の呼称、3)高頻度語のスピードアップ呼称を行った。1)、2)では2秒に1枚、3)では0.5秒に1枚絵カードを提示した。ブロックデザインを用い、30秒タスク+60秒レストを1サイクルとし、3サイクル行った。解析にはSPM8を使用し、1)と2)及び3)を比較するためsubtraction法を用いた(uncorrected, p<0.001)。[結果]2)から1)をsubtractionした結果、有意な賦活の差は認められなかった。これに対し、3)から1)をsubtractionした結果、両側頭頂葉、両側BA6野、両側BA19野に有意な賦活を認めた。[考察]語の検索における難易度が上がっても、有意な賦活増加は認められなかったのに対し、課題を試行するスピードがあがりより集中力などが必要となる場合には頭頂葉の賦活が増加することが考えられた。言語機能の研究では他の認知活動が関与することで脳賦活に差が出ることが示唆された。

この発表はfMRIにより課題の難易度と脳の賦活を比較するものでした.課題は言語課題が用いられており,使用頻度の高低での難易度付け,また提示回数変化による難易度付けが行われていました.結果としては使用頻度による難易度変化による賦活部位の差は見られなかったのに対し,提示回数による難易度変化による賦活部位の差が見受けられたというものでした.難易度の変化をさせる要因によっても脳への影響が異なるという結果はとても興味深いものであり,今後の研究の参考にしたいと思います.
 

発表タイトル       :精神疾患についての臨床応用の現状著者                  : 福田 正人,須田 真史,武井 雄一,山口 実穂,桜井 敬子,成田 耕介セッション名       : シンポジウム2Abstruct            : シンポジウムのため略

この発表で着目したのはNIRSデータの取り扱い方法についてでした.血流の形によっても精神疾患の有無を見つけることができるし,また血流が出ているからといって全てが脳の活動による血流変化ではなく,皮膚血流に基づくものも含まれるということでした.また重心値というデータの解析手法も初めて知ることができました.また空間分解能の面であまり優れないNIRSを用いるモチベーションとして大切なことは,生体情報を大まかに捉えることであるということでした.私は今までの解析で視野が狭かったような印象を受けます.これからは全体像をまず捉えることをしていきたいと思います,
 

発表タイトル       :注意欠陥多動性障害におけるfNIRS計測を用いた右前頭前野の血流変化の検討 臨床応用を目指して著者                  : 門田 行史セッション名       : シンポジウム2abstract            : シンポジウムのため略

この発表では私の研究と同じくGONOGO課題を用いた研究を行っていました.データ処理に関して気づいた点が2点ありました.まずGONOGO課題のパフォーマンスを計測する際,正答率はGO信号とNOGO信号の別々で取る必要があるということ(反応抑制の負荷がかかる頻度を求めるために).また注意を司る部位は下頭頂葉に存在し,前頭前野で働いた抑制機能が後ろに流れていくということでありました.今は前頭部を中心に解析を行っていますが,時間変化を追っていく上では,側頭葉の解析も必要不可欠であると考えられます.そして大体の経路はわかったので,それを参考に波形も参考にしながら処理を進めていこうと思います.
参考文献
1)    第15回日本ヒト脳機能マッピング学会 http://www.u-tokyo.ac.jp/ext01/iirc/access.html
 

学会参加報告書

 報告者氏名 真島 希実
発表論文タイトル リーディングスパンテストを用いたワーキングメモリの検討- fNIRSを利用した基礎的検討-
発表論文英タイトル Analysis of working memory using the reading span test: Basic research of regional brain activity on brain cortex using functional near-infrared spectroscopy
著者 真島希実, 廣安知之, 山本詩子
主催 医療情報システム研究室
講演会名 第15回日本ヒト脳機能マッピング学会
会場 東京大学伊藤国際学術センター
開催日程 2013/07/05-2013/07/06
 

 
1. 講演会の詳細
2013/07/05から2013/07/06にかけて,東京大学伊藤国際学術センターにて開催されました第15回日本ヒト脳機能マッピング学会に参加致しました.この学会はただ脳機能をマッピングし,脳地図を作るのではなく,時間的要素を含めた解析や患者さんの治療にどういかせるかというテーマで開催されました.私は5日6日に参加し,本研究室からは横内先生,山本先生,木村,杉田,井上,大西が参加致しました.
 
2. 研究発表
2.1. 発表概要
私は5日の午後のセッション「ポスター発表A」に参加いたしました.発表の形式はポスター発表で,90分のうち5分の発表と2分の質疑応答でその他は個人の方に質問やアドバイスを頂きました.
今回の発表は,リーディングスパンテストを用いたワーキングメモリの検討- fNIRSを利用した基礎的検討-というタイトルで,以下に抄録を記載致します.
 

ワーキングメモリは容量に制限や個人差があるとされているが,トレーニングにより容量を増加させることで作業効率の向上が期待される.これより,ワーキングメモリ容量を増加させようとする動きが多くなされている.しかし,脳機能と関連した評価方法は確立されておらず,自身のワーキングメモリの状態を知るのは困難である.そこで,fNIRSを用いてワーキングメモリと脳機能の関係を検討した.今回は基礎研究として言語性ワーキングメモリ課題であるRST(Reading Span Test)の成績により,ワーキングメモリ容量と脳血流量変化の関係を検討した.結果は,RSTは保持できた単語数で評価され,成績が良いほどワーキングメモリ容量も大きいとされる.注意の維持を行う前頭前野背外側部とRST成績の関係は,成績が低いほど脳血流の活性は大きく,成績が高いほど脳血流の活性は小さい結果となった.これより,高成績群と低成績群に分類して両群の特徴を検討した.両群に言語処理を司る左下前頭回が活性したが,活性パターンに違いが見られた.高成績群では活性が持続しているのに対して,低成績群では活性が低下する傾向が得られた.しかし,左下前頭回の活性低下に伴い,前頭前野背外側部で活性する傾向が得られた.以上より,ワーキングメモリ容量の差異により,言語処理や注意の機構の活性の差異が考えられ,脳血流量変化に違いが生じることが示唆された.

 
2.2. 質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
座長の国立障害者リハビリテーションセンター研究所の森浩一さんからの質問です.リーディングスパンテストの高成績群と低成績群の決め方はどうやって決めたのか,という質問でした.
9名の被験者のうち成績の高い順に4名を高成績群,成績の低い順に4名を低成績群としたので,両軍に優位な差はあったものの安易な選択をしてしまいました.なので高成績群の一番下の人と低成績群の一番上の人とでは成績に大きな違いはなかったので検討する必要があることを知ることができました.
 
・質問内容2
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.下前頭回や前頭前野背外側部の位置はどのように決めたのかという質問でした.この質問に対する回答ですがfMRIを用いた文献より,大体の位置で決めてしまったので,十分に検討しなおす必要はあると思います.しかしながら,fNIRSにおいてCH○が脳機能のこの部位に相当すると決められているものはないので,考える必要があります.
 
2.3. 感想
自分の発表が始まるまでは,東大方々や医師の方が多い印象で,この中での発表は恐れ多いと感じてしまい,とても不安でした.しかし,いざポスター発表をしてみるとたくさんの方々に興味をもって聞いていただくことができ,とても楽しい90分を過ごせました.その一方で,詰めの甘さも痛感してしまったので,今後の研究に生かしたいと思います.
 
 
 
3. 聴講
今回の講演会では,下記の3件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : 左下前頭回後部への促通性シータバースト経頭蓋磁気刺激は外国語模倣の精度を高める。著者                  : 村上 丈伸セッション名       : 磁気刺激
Abstract            : ブローカ野は左下前頭回(IFG)に位置し,古典的には運動言語中枢と言われているが,その後部(pIFG)は,ヒトの脳において感覚入力を運動出力にマッピングする上で重要な役割を果たす,ミラーニューロンシステムの一部と考えられている.従って,pIFGは,観察した他人の運動を模倣する際に活動するスピーチ模倣はきいた言葉をそのまま繰り返す手法で,言語獲得に重要と考えられる.幼児は身近な人の話す言葉をまねることで言語を習得する.しかし,pIFGが言語獲得にどのように関与しているかは十分に解明されていない.我々は機能的MRIガイド下にシータバースト経頭蓋磁気刺激法(TBS)を,ドイツ人健常者の左pIFGに行い,いろはかるたの単文を繰り返し聞かせて模倣させ,発音の正確性を刺激前後で比較した.刺激は促通性効果のiTBS,抑制性効果のcTBS,中間型のimTBSを行った.iTBS後に発音の精度が改善され,imTBSでもより少ない程度に改善したが,cTBSでは変化は見られなかった.対照実験として,iTBSを聴覚部位によって,スピーチ模倣に特異的な効果が認められることが示された.pIFGは音韻レベルでの感覚入力を,それに対応する運動出力に変換する上で,重要な役割を果たしていると考えられる.スピーチ模倣訓練に左pIFGへ促通性効果の磁気刺激を組み合わせることが,新しい言語習得に対して,また脳卒中後の失語症における言語障害患者のリハビリテーションに対して応用できるかもしれない.

この発表は言語関連領域においてどの部分がどのように関連しているのかといった発表でした.
一般的に言語領域というのは,発話するのに関係するブローカ野と言語を理解するのに関わるウェルニッケ野が関与しているとされていますが,この二つの領域が別々に働くのではなく,密接に関わっているというお話でした.この二つの領域が関わる中で,外国語と母国語では伝わり方が違うことやこの二つの領域だけではなく,運動野や感覚野,聴覚野なども関わっているという報告でした.私の研究では言語性ワ-キングメモリ課題なので,言語のネットワークについて参考になりました.
 

発表タイトル       : 精神疾患についての臨床応用の現状著者                  : 福田 正人セッション名       : シンポジウム2「NIRSの最前線」
Abstract            : NIRSの臨床応用が進んでいる分野のひとつである精神疾患について, その現状と課題を解説する. 精神疾患にNIRSを応用した英文原著論文はこれまでに100件以上あり, 統合失調症・気分障害・広汎性発達障害についての検討が多い. その約2/3が日本の研究者によるものである.NIRSは「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」として, 2009年に厚生労働相から承認を受けた. 精神医療分野で初めての精神医療であり, 2013年3月の時点で21施設で実施されている. うつ病・双極性障害・統合失調症のいずれについても診断がもっぱら問診にもとづいて行われている精神医療の現状を, 一歩前進させる補助検査としての位置づけである.そこで用いられているのは遅延, 統合失調症においては非効率とまとめることができる. 「大脳皮質の賦活反応性を全体的に捉える」というNIRSの特徴にもとづく応用で, 心機能について心電図と同じような位置づけと考えられることができる.この先進医療については, 問題点の指摘がいくつかある. ひとつは, 検証が不十分な段階の臨床応用であるとするNature誌(2011)のFeature News欄とEditorial欄での批判である. その後, 異なる手法を用いた検討では脳の寄与を一定程度認める報告が多いので, 今後のさらなる解明が必要である.精神疾患についての実用化を進めるにあたっては, いくつかの取組みを行ってきている. 教科書として基礎編の『精神疾患とNIRS―光トポグラフィー検査による脳機能イメージング』(2009)と臨床編の『NIRS波形の臨床判読―先進医療「うつ症状の光トポグラフィー検査」ガイドブック』(2011)の刊行, 多施設研究プロジェクト「心の健康に光トポグラフィー検査を応用する会」による数百例のデータ蓄積, 国立精神神経医療研究センターでの「光トポグラフィー講習会」「光トポグラフィー判読セミナー」の開催, 学会でのハンズオンセミナーでの実演, 各施設での「光トポグラフィー外来」などの実施, などである.こうして精神疾患について有用であった背景には, 自然な姿勢で発語を行うという日常生活に近い状態で脳機能を検討できるというNIRSの特徴があると考えられる. 実験室で研究として検討する脳機能だけでは, 実生活で活動している際の脳機能を十分に解明しきれないことが最近指摘されており, 「real-world neuroimaging」の必要性が提唱されている. NIRSの簡便さは, 被験者や検査者にとって負担軽減以上に, こうしたreal-world neuroimagingを実現できる点において意義が大きいと考えられる.

NIRSは簡便性から躁うつ病の診断補助として使われている.しかし,診断補助としてのみで,医師の診断も求められる.解析方法も定まっていないが,一般的に積分値と重心値によって判断している.これは問診だけでは納得できない精神病患者さんやそのご家族の説得にも使用できるという発表でした.福田先生はよく論文や教科書で参考にさせて頂いていたので,実際の講演は感動的でした.また,解析方法として横軸に積分値,縦軸に重心値として検討する方法も教えていただいたので,参考にしたいと思います.
 

発表タイトル       : 頭MRI画像における定量的頭表ランドマーク設定法MinR 10/20法の提案著者                  : 轟木 大介セッション名       : 磁気共鳴
Abstract            : 【目的】形態的特徴に乏しく目視による同定の困難なIZ(inion)を除く,Nz(Nasion)AL(Left auricular point),AR(Right auricular point)の3点のみを用いた,MRI画像のための頭表ランドマーク配置法MinR10/20を提案し,その妥当性の評価を行う.【方法】成人頭部MRIデータベースNFRI_RB17(=17)を対象として,4点の初期参照点Nz,AL,AR,Izを用いる国際10/20法と,3点の初期参照点Nz,AL,ARを用いるMinR10/20法を実施し,全25点の頭表ランドマーク座標を算出するとともに,MINI標準座標系への標準化を行った.【結果】MINI標準座標系への標準化を行った各々の頭表ランドマークにおいて,平均座標と標準偏差を算出した.MinR10/20法を用いて求めた頭表ランドマークは,特に後頭部において,国際10/20法による頭表ランドマークよりも顕著にばらつきが小さくなった.【考察】Izの同定が不要であり,なおかつMINI標準座標系において後頭ランドマークのばらつきを抑えられるMinR10/20法は,従来の国際10/20法に比肩する頭表ランドマーク設定法であり,頭部標準化手続きの一つとしても有用である.

この発表では国際10/20法より精度の高い,MinR10/20法の提案を行い,結果は国際10/20法よりも頭表ランドマークのばらつきが少ないという結果でした.国際10/20法に準拠して測定するようもより高い精度で測定できるということだったので,今後MinR10/20法が一般的になるのかなとおもいました.しかし,測定での手間は少しかかる印象でした.
 
参考文献
1)    第15回日本ヒト脳機能マッピング学会, http://www.procomu.jp/jhbms2013/

学会参加報告書

 

報告者氏名

 

井上楓彩

発表論文タイトル

fNIRS実験時における音圧変化の影響の検討

発表論文英タイトル

The
effect on changing sound pressure during the measurement using functional
Near-Infrare Spectroscopy

著者

井上楓彩, 星野雄地, 山本詩子,
廣安知之

主催

医療情報システム研究室

講演会名

15回ヒト脳機能マッピング学会

会場

東京大学伊藤国際学術研究センター

開催日程

2013/07/05-2013/07/06

 

 

1. 講演会の詳細

2013/07/05から2013/07/06にかけて,東京大学伊藤国際学術研究センターにて開催されました第15回ヒト脳機能マッピング学会に参加いたしました.この第15回ヒト脳機能マッピング学会は,福島県立医科大学医学部の宇川義一先生によって主催された研究会で,学生と教員が参加しました. 発表者はポスター発表, もしくは口頭発表を行い,日頃の研究活動に対し, 研究室外の先生方や技術者の方々から貴重なご意見を頂きました.

私は6日の口頭発表に参加いたしました.本研究室からは他に山本先生,杉田,木村,大西, 眞島が参加しました.

 

2. 研究発表

2.1. 発表概要

私は6日の午後のセッション「光計測」に参加いたしました.発表の形式は口頭発表で,10分の講演時間と2分の質疑応答時間となっておりました.

今回の発表は,.以下に抄録を記載致します.

抄録中身

【目的】

音環境を変化させた際の、数字記憶課題作業時の脳機能の変化について検討した。特に、提示する音の音圧を変化させた際に脳機能の変化が見られるかの検討を行った。

【実験方法】

 本研究では作業タスクとして数字記憶課題を選択した。数字記憶課題は、ランダムに表示された8桁の数字を記憶する課題である。被験者は、静音静(48dB)、White noiseMozart作曲の「2台のピアノのためのソナタ」(以下,
Mozart)
の環境化でタスクを実行する。さらに、65dB75dBで呈示し,
このときの作業成績と脳血流変化に伴う酸素ヘモグロビン濃度(以下, Oxy-Hb濃度)について調査した。脳血流変化の測定は, 機能的近赤外線分光法装置を用いて計測した.

【結果】

実験結果として, 呈示音の音圧の違いによる作業成績と課題中の脳血流変化の差異は, Mozart呈示時で見受けられ, 一方でWhite
noise
呈示時では見受けられなかった. 課題中のOxy-Hb濃度の増加については,
Mozart
呈示時, White noise呈示時ともに上昇の傾向をみせた. 以上より,
音環境下における作業成績と脳血流変化について調査する際は, 呈示音の種類によって, 音圧変化の影響を受けやすいものと, そうでないものがあることに留意する必要性があると示唆された.

2.2. 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.

 

・質問内容1

日本大学工学部次世代工学技術研究センター所属の酒谷薫さんからの質問です.こちらの質問は, 呈示音にモーツァルトを選択した理由は何かというものでした.この質問に対して私は, 先行研究でのモーツァルトを参考にした, とお答えしました.また,後ほどお話しする機会があり,改めて確認したところ, モーツァルトの曲でも,
1
曲に限定してしまうと, 定量的な評価が出来ないので, 実験にふさわしい音環境を再考すべき, とのアドバイスを頂きました.

2.3. 感想

今回の学会参加で反省すべきなのは, 発表準備を計画的に行わなかったことです. 出発日間近になってもリハーサルも満足に行えず, 研究室内の多くの方々に大変なご迷惑を掛けてしまいました. 次回以降, このようなことを繰り返さないよう, 期日に余裕をもって準備を行います.

 

3. 聴講

 今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.

 

発表タイトル   
精神疾患についての臨床応用の現状

著者                 
福田正人

セッション名   
シンポジウム

Abstruct           
NIRS
の臨床応用が進んでいる分野のひとつである精神疾患について, その現状と課題を解説する. 精神疾患にNIRSを応用した英文原著論文はこれまでに100編以上あり,
統合失調症・気分障害・広汎性発達障害についての検討が多い. その約2/3が日本の研究者によるものである.

 NIRSは「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」として, 2009年に厚生労働相から承認を受けた. 精神医療分野で初めての精神医療であり, 20133月の時点で21施設で実施されている.
うつ病・双極性障害・統合失調症のいずれについても診断がもっぱら問診にもとづいて行われている精神医療の現状を, 一歩前進させる補助検査としての位置づけである.

 そこで用いられているのは遅延, 統合失調症においては非効率とまとめることができる. 「大脳皮質の賦活反応性を全体的に捉える」というNIRSの特徴にもとづく応用で, 心機能について心電図と同じような位置づけと考えられることができる.

 この先進医療については, 問題点の指摘がいくつかある. ひとつは,
検証が不十分な段階の臨床応用であるとするNature(2011)Feature
News
欄とEditorial欄での批判である. その後,
異なる手法を用いた検討では脳の寄与を一定程度認める報告が多いので, 今後のさらなる解明が必要である.

 精神疾患についての実用化を進めるにあたっては, いくつかの取組みを行ってきている. 教科書として基礎編の『精神疾患とNIRS―光トポグラフィー検査による脳機能イメージング』(2009)と臨床編の『NIRS波形の臨床判読―先進医療「うつ症状の光トポグラフィー検査」ガイドブック』(2011)の刊行,
多施設研究プロジェクト「心の健康に光トポグラフィー検査を応用する会」による数百例のデータ蓄積, 国立精神神経医療研究センターでの「光トポグラフィー講習会」「光トポグラフィー判読セミナー」の開催, 学会でのハンズオンセミナーでの実演, 各施設での「光トポグラフィー外来」などの実施, などである.

 こうして精神疾患について有用であった背景には, 自然な姿勢で発語を行うという日常生活に近い状態で脳機能を検討できるというNIRSの特徴があると考えられる. 実験室で研究として検討する脳機能だけでは, 実生活で活動している際の脳機能を十分に解明しきれないことが最近指摘されており, real-world neuroimaging」の必要性が提唱されている. NIRSの簡便さは,
被験者や検査者にとって負担軽減以上に, こうしたreal-world neuroimagingを実現できる点において意義が大きいと考えられる.

福田先生のお名前は, 先行研究の調査を通じて以前から存じておりました. 昨年度よりNIRSの研究に携わるようになって,
先生の著書からたくさんのことを勉強させて頂きました. なので, その先生のご講演を間近で聴かせて頂く機会を頂き, 大変光栄でありました.
福田先生は精神疾患におけるNIRSを用いた臨床検査について研究されていますが, 私自身うつ症状に悩まされた経験がありますので, 今回の講演は身近に迫る大変興味深いものでした. うつというのは客観的に判断が付きにくく, 患者は出口のないトンネルを彷徨っているような錯覚に陥ります. 福田先生の研究には,
精神疾患の種類, またその程度を主観的に診断できる可能性を秘めており, 患者が病を克服するための明確な道のりを指し示すことができるのではないかと感じました.

 

発表タイトル   
注意欠陥多動性障害におけるfNIRS計測を用いた右前頭前野の血流変化の検討臨床応用を目指して

著者                 
門田行史

セッション名   
シンポジウム

Abstruct           
fNIRS
, 体動に強い, 拘束性が低い,
外来ブースやベッドサイドで計測できる, 対面で認知課題を行うことができる, 簡便な脳機能計測手法という特色を持つ. これは, 大規模で精密な計測環境を要求する他の脳機能イメージング法(fMRI, PET, SPECT, MET)と正反対の特性であり, これらのイメージング法の欠点に相補性を持つ, 独自の存在として,
注目されている.

 以上の特性を有するfNIRSを用いて, 注意欠陥多動性障害(Attention
Deficit Hyperactibity disorder: ADHD)
に対する臨床研究を進めてきた(Monden et al.,
Neuroimage: Clinical 2012). ADHD
, 小児早期に発症する発達障害であり, 実行機能障害が中心病態とされる. 早期介入が遅れると学業の遅れ, 病態の進行, 他の精神病対の合併リスクを有するため, 発症時期である就学前後に診断, 治療を開始すべき疾患である. 現在の診断や治療効果の評価の中心である行動観察は, ADHDが高次機能障害であるがゆえに評価が困難なケースがあり, 客観的診断,
治療を目的とした補助的評価法の創出が求められている.

 ADHDに関するfMRIを用いた先行研究では,
思春期から成人を対象としたADHDにおいて, 実行機能関連領域である右前頭前野の機能不全が, 脳機能学的病態特性として多数報告され, 客観的指標の候補として注目されている. しかしながら, 早期診断を要する就学前後の小児ADHDを対象として検討は, その衝動性や多動性から, 適応が限られている.

 以上の背景から, 我々はfNIRSを用いた脳機能イメージングに着目した. 定型発達児の脳機能評価, およびADHDの治療薬である,
メチルフェニデート(OROS-MPH), アトモキセチン(ATX)服用前後のADHD児を対象とした脳機能変化の検討を目的とし, 実行機能課題遂行時にfNIRS解析を用いて二重盲検ブラセボ比較試験を実施した.

 結果, OROS-MPH, ATX服用前のADHD児と定型発達児との比較では, 服用前のADHD児において右前頭前野の活動が有意に低下した. 一方で, 薬物内服後のADHD児において, 右前頭前野の活動が上昇し,
定型発達児との有意差はなかった. また, ブラセボ内服後には有意な脳活動の上昇はなかった. 全対象者において,
解析離脱率は0%であった.

 すなわち, fNIRSを用いた本解析系は, 小児ADHDの発症時期に評価可能であり, 析実行機能課題遂行時に確認される右前頭前野の機能不全は, 治療効果の面で客観的評価マーカの広報となりうると示唆された.

 今後, より客観的な早期診断, 治療効果ツールの構築のために, 治療薬の長期服用効果の縦断的検討, 自閉症スペクトラムや学障害などのADHD以外の発達障害との鑑別を含めた検討を目指す必要がある.

私は普段の研究生活において実験をする際、何らかの疾患を抱えてらっしゃる方を被験者にする機会がないので、今回の学会のようにNIRSの臨床応用に関する研究報告は大変興味深いものでした。本講演は、小児のADHD患者に対する治療薬、メチルフェニデート(OROS-MPH), アトモキセチン(ATX)の有効性のNIRSを用いた検証でありましたが、薬の効果が前頭部の脳血流変化にはっきり現れているのをみて大変驚きました。私が日頃の行う実験では、本講演のようにはっきりとした結果が得られないことが多いので、実験設計について再考する必要があると感じられました。

 

参考文献

1)
15回日本ヒト脳機能マッピング学会 http://www.u-tokyo.ac.jp/ext01/iirc/access.html

学会参加報告書

 
報告者氏名
 
真島 希実
発表論文タイトル リーディングスパンテストを用いたワーキングメモリの検討- fNIRSを利用した基礎的検討-
発表論文英タイトル Analysis of working memory using the reading span test: Basic research of regional brain activity on brain cortex using functional near-infrared spectroscopy
著者 真島希実, 廣安知之, 山本詩子
主催 医療情報システム研究室
講演会名 第15回日本ヒト脳機能マッピング学会
会場 東京大学伊藤国際学術センター
開催日程 2013/07/05-2013/07/06
 

 
1. 講演会の詳細
2013/07/05から2013/07/06にかけて,東京大学伊藤国際学術センターにて開催されました第15回日本ヒト脳機能マッピング学会に参加致しました.この学会はただ脳機能をマッピングし,脳地図を作るのではなく,時間的要素を含めた解析や患者さんの治療にどういかせるかというテーマで開催されました.私は5日6日に参加し,本研究室からは横内先生,山本先生,木村,杉田,井上,大西が参加致しました.
 
2. 研究発表
2.1. 発表概要
私は5日の午後のセッション「ポスター発表A」に参加いたしました.発表の形式はポスター発表で,90分のうち5分の発表と2分の質疑応答でその他は個人の方に質問やアドバイスを頂きました.
今回の発表は,リーディングスパンテストを用いたワーキングメモリの検討- fNIRSを利用した基礎的検討-というタイトルで,以下に抄録を記載致します.
 

ワーキングメモリは容量に制限や個人差があるとされているが,トレーニングにより容量を増加させることで作業効率の向上が期待される.これより,ワーキングメモリ容量を増加させようとする動きが多くなされている.しかし,脳機能と関連した評価方法は確立されておらず,自身のワーキングメモリの状態を知るのは困難である.そこで,fNIRSを用いてワーキングメモリと脳機能の関係を検討した.今回は基礎研究として言語性ワーキングメモリ課題であるRST(Reading Span Test)の成績により,ワーキングメモリ容量と脳血流量変化の関係を検討した.結果は,RSTは保持できた単語数で評価され,成績が良いほどワーキングメモリ容量も大きいとされる.注意の維持を行う前頭前野背外側部とRST成績の関係は,成績が低いほど脳血流の活性は大きく,成績が高いほど脳血流の活性は小さい結果となった.これより,高成績群と低成績群に分類して両群の特徴を検討した.両群に言語処理を司る左下前頭回が活性したが,活性パターンに違いが見られた.高成績群では活性が持続しているのに対して,低成績群では活性が低下する傾向が得られた.しかし,左下前頭回の活性低下に伴い,前頭前野背外側部で活性する傾向が得られた.以上より,ワーキングメモリ容量の差異により,言語処理や注意の機構の活性の差異が考えられ,脳血流量変化に違いが生じることが示唆された.

 
2.2. 質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
座長の国立障害者リハビリテーションセンター研究所の森浩一さんからの質問です.リーディングスパンテストの高成績群と低成績群の決め方はどうやって決めたのか,という質問でした.
9名の被験者のうち成績の高い順に4名を高成績群,成績の低い順に4名を低成績群としたので,両軍に優位な差はあったものの安易な選択をしてしまいました.なので高成績群の一番下の人と低成績群の一番上の人とでは成績に大きな違いはなかったので検討する必要があることを知ることができました.
 
・質問内容2
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.下前頭回や前頭前野背外側部の位置はどのように決めたのかという質問でした.この質問に対する回答ですがfMRIを用いた文献より,大体の位置で決めてしまったので,十分に検討しなおす必要はあると思います.しかしながら,fNIRSにおいてCH○が脳機能のこの部位に相当すると決められているものはないので,考える必要があります.
 
2.3. 感想
自分の発表が始まるまでは,東大方々や医師の方が多い印象で,この中での発表は恐れ多いと感じてしまい,とても不安でした.しかし,いざポスター発表をしてみるとたくさんの方々に興味をもって聞いていただくことができ,とても楽しい90分を過ごせました.その一方で,詰めの甘さも痛感してしまったので,今後の研究に生かしたいと思います.
 
 
 
3. 聴講
今回の講演会では,下記の3件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : 左下前頭回後部への促通性シータバースト経頭蓋磁気刺激は外国語模倣の精度を高める。
著者                  : 村上 丈伸
セッション名       : 磁気刺激
Abstruct            : ブローカ野は左下前頭回(IFG)に位置し,古典的には運動言語中枢と言われているが,その後部(pIFG)は,ヒトの脳において感覚入力を運動出力にマッピングする上で重要な役割を果たす,ミラーニューロンシステムの一部と考えられている.従って,pIFGは,観察した他人の運動を模倣する際に活動するスピーチ模倣はきいた言葉をそのまま繰り返す手法で,言語獲得に重要と考えられる.幼児は身近な人の話す言葉をまねることで言語を習得する.しかし,pIFGが言語獲得にどのように関与しているかは十分に解明されていない.我々は機能的MRIガイド下にシータバースト経頭蓋磁気刺激法(TBS)を,ドイツ人健常者の左pIFGに行い,いろはかるたの単文を繰り返し聞かせて模倣させ,発音の正確性を刺激前後で比較した.刺激は促通性効果のiTBS,抑制性効果のcTBS,中間型のimTBSを行った.iTBS後に発音の精度が改善され,imTBSでもより少ない程度に改善したが,cTBSでは変化は見られなかった.対照実験として,iTBSを聴覚部位によって,スピーチ模倣に特異的な効果が認められることが示された.pIFGは音韻レベルでの感覚入力を,それに対応する運動出力に変換する上で,重要な役割を果たしていると考えられる.スピーチ模倣訓練に左pIFGへ促通性効果の磁気刺激を組み合わせることが,新しい言語習得に対して,また脳卒中後の失語症における言語障害患者のリハビリテーションに対して応用できるかもしれない.

この発表は言語関連領域においてどの部分がどのように関連しているのかといった発表でした.
一般的に言語領域というのは,発話するのに関係するブローカ野と言語を理解するのに関わるウェルニッケ野が関与しているとされていますが,この二つの領域が別々に働くのではなく,密接に関わっているというお話でした.この二つの領域が関わる中で,外国語と母国語では伝わり方が違うことやこの二つの領域だけではなく,運動野や感覚野,聴覚野なども関わっているという報告でした.私の研究では言語性ワ-キングメモリ課題なので,言語のネットワークについて参考になりました.
 

発表タイトル       : 精神疾患についての臨床応用の現状
著者                  : 福田 正人
セッション名       : シンポジウム2「NIRSの最前線」
Abstruct            : NIRSの臨床応用が進んでいる分野のひとつである精神疾患について, その現状と課題を解説する. 精神疾患にNIRSを応用した英文原著論文はこれまでに100件以上あり, 統合失調症・気分障害・広汎性発達障害についての検討が多い. その約2/3が日本の研究者によるものである.NIRSは「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」として, 2009年に厚生労働相から承認を受けた. 精神医療分野で初めての精神医療であり, 2013年3月の時点で21施設で実施されている. うつ病・双極性障害・統合失調症のいずれについても診断がもっぱら問診にもとづいて行われている精神医療の現状を, 一歩前進させる補助検査としての位置づけである.そこで用いられているのは遅延, 統合失調症においては非効率とまとめることができる. 「大脳皮質の賦活反応性を全体的に捉える」というNIRSの特徴にもとづく応用で, 心機能について心電図と同じような位置づけと考えられることができる.この先進医療については, 問題点の指摘がいくつかある. ひとつは, 検証が不十分な段階の臨床応用であるとするNature誌(2011)のFeature News欄とEditorial欄での批判である. その後, 異なる手法を用いた検討では脳の寄与を一定程度認める報告が多いので, 今後のさらなる解明が必要である.精神疾患についての実用化を進めるにあたっては, いくつかの取組みを行ってきている. 教科書として基礎編の『精神疾患とNIRS―光トポグラフィー検査による脳機能イメージング』(2009)と臨床編の『NIRS波形の臨床判読―先進医療「うつ症状の光トポグラフィー検査」ガイドブック』(2011)の刊行, 多施設研究プロジェクト「心の健康に光トポグラフィー検査を応用する会」による数百例のデータ蓄積, 国立精神神経医療研究センターでの「光トポグラフィー講習会」「光トポグラフィー判読セミナー」の開催, 学会でのハンズオンセミナーでの実演, 各施設での「光トポグラフィー外来」などの実施, などである.こうして精神疾患について有用であった背景には, 自然な姿勢で発語を行うという日常生活に近い状態で脳機能を検討できるというNIRSの特徴があると考えられる. 実験室で研究として検討する脳機能だけでは, 実生活で活動している際の脳機能を十分に解明しきれないことが最近指摘されており, 「real-world neuroimaging」の必要性が提唱されている. NIRSの簡便さは, 被験者や検査者にとって負担軽減以上に, こうしたreal-world neuroimagingを実現できる点において意義が大きいと考えられる.

NIRSは簡便性から躁うつ病の診断補助として使われている.しかし,診断補助としてのみで,医師の診断も求められる.解析方法も定まっていないが,一般的に積分値と重心値によって判断している.これは問診だけでは納得できない精神病患者さんやそのご家族の説得にも使用できるという発表でした.福田先生はよく論文や教科書で参考にさせて頂いていたので,実際の講演は感動的でした.また,解析方法として横軸に積分値,縦軸に重心値として検討する方法も教えていただいたので,参考にしたいと思います.
 

発表タイトル       : 頭MRI画像における定量的頭表ランドマーク設定法MinR 10/20法の提案
著者                  : 轟木 大介
セッション名       : 磁気共鳴
Abstruct            : 【目的】形態的特徴に乏しく目視による同定の困難なIZ(inion)を除く,Nz(Nasion)AL(Left auricular point),AR(Right auricular point)の3点のみを用いた,MRI画像のための頭表ランドマーク配置法MinR10/20を提案し,その妥当性の評価を行う.【方法】成人頭部MRIデータベースNFRI_RB17(=17)を対象として,4点の初期参照点Nz,AL,AR,Izを用いる国際10/20法と,3点の初期参照点Nz,AL,ARを用いるMinR10/20法を実施し,全25点の頭表ランドマーク座標を算出するとともに,MINI標準座標系への標準化を行った.【結果】MINI標準座標系への標準化を行った各々の頭表ランドマークにおいて,平均座標と標準偏差を算出した.MinR10/20法を用いて求めた頭表ランドマークは,特に後頭部において,国際10/20法による頭表ランドマークよりも顕著にばらつきが小さくなった.【考察】Izの同定が不要であり,なおかつMINI標準座標系において後頭ランドマークのばらつきを抑えられるMinR10/20法は,従来の国際10/20法に比肩する頭表ランドマーク設定法であり,頭部標準化手続きの一つとしても有用である.

この発表では国際10/20法より精度の高い,MinR10/20法の提案を行い,結果は国際10/20法よりも頭表ランドマークのばらつきが少ないという結果でした.国際10/20法に準拠して測定するようもより高い精度で測定できるということだったので,今後MinR10/20法が一般的になるのかなとおもいました.しかし,測定での手間は少しかかる印象でした.
 
参考文献
1)    第15回日本ヒト脳機能マッピング学会, http://www.procomu.jp/jhbms2013/