JAMIT2015

2015年7月30日から8月1日かけて金沢歌劇座で開催されました,第34回日本医用画像工学会大会(JAMIT2015)に参加いたしました.本研究室からは廣安教授,林沼(M2),田中那智(M1)が参加し,以下の演題で林沼が口頭発表,田中がポスター発表を行いました.
「テクスチャ解析を用いた内視鏡画像解析時におけるwindowsサイズと特徴量の関係性の検討」
林沼勝利,市川寛,八木信明,廣安知之
「大腸腹腔鏡手術動画における腸間膜内走行血管の強調表示システム」
田中那智,横内久猛,萩原明於,小座本雄軌,廣安知之
今年のJAMIT2015では,近年流行りのDeep Learningに関して「画像診断医にとっての2045年問題:Deep Learningを用いた画像診断についての検討」という演題で発表があったり,新しい学術分野である「多次元計算解剖学」についてのシンポジウムが開かれるなど,医用画像処理の分野が今後どのように発展していくのかとても楽しみになるような講演が多数ありました.
私自身は去年に引き続き2度目の発表ということもあり,落ち着いて発表することができました.また,様々な質問・意見をいただくことができ,とても充実した発表になりました.
最後になりますが,今回の発表にあたり先生方をはじめとする研究室の皆様には大変お世話になりました.この場をお借りして御礼申し上げます.
図2     図1
【文責:M2林沼】

学会参加報告書

 報告者氏名 林沼勝利
発表論文タイトル テクスチャ解析を用いた内視鏡画像解析時におけるwindowsサイズと特徴量の関係性の検討
発表論文英タイトル The Relation Between Window Size and Feature Value on Endoscopy Image Analysis Using Texture Analysis
著者 林沼勝利,市川寛,八木信明,廣安知之
主催 日本医用画像工学会
講演会名 第34回日本医用画像工学会大会
会場 金沢歌劇座
開催日程 2015//07/30-2015/08/01

 
 

  1. 講演会の詳細

2015/07/30から2015/08/01にかけて,金沢歌劇座にて開催されました第34回日本医用画像工学会大会(JAMIT2015)に参加いたしました.このJAMIT2015は,日本医用画像工学会によって主催された大会で,本大会は「保健画像工学への展開」というテーマで開催されました.私は全日程参加し,また本研究室からは他に廣安先生,M!の田中那智が参加しました.
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は「CAD1腹部他」のセッションにて口頭発表いたしました.発表の形式は10分間の講演および5分間の質疑でした.
今回の発表では,テクスチャ解析を用いて内視鏡画像解析時におけるwindowサイズと特徴量の検討を行いました.以下に抄録を記載致します.
 

 近年,内視鏡画像に対する様々なCAD(Computer-Aided Diagnosis)システムの開発が進められている.我々はNBI(Narrow Band Imaging)内視鏡画像において早期胃癌の進展範囲を定量的に評価するため,同時生起行列とランレングス行列を組み合わせた特徴量を用いて解析する手法の提案を行ってきた.本手法ではwindowを走査して特徴量を取得しているが,画像によって病変部位の形状,大きさは様々であるため,windowサイズの検討を行う必要があると考えられる.そこで,本稿ではwindowサイズと特徴量の関係性を調査し,解析を行う際の最適なwindowサイズについての検討を行った.その結果,強拡大画像ではwindowsサイズを大きくするほどよりDL(Demarcation Line)が得られ,一方,弱拡大画像ではwindowサイズを大きくするほど不明瞭となる結果が得られた.

 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
昭和大学横浜市北部病院の森悠一先生から「DLを検出することが目的か?検出した後に癌,胃炎の判別はするのか?」という質問をいただきました.この質問に対しては「今はDLを検出することが目的である」と回答しました.
 
・質問内容2
名古屋大学の森健策先生より「どのような画像を使用しているのか?」との質問をいただきました.この質問に対しては「今回は綺麗に撮影された画像のみを使用している」と回答しました.
 
・質問内容3
同じく森健策先生より「どのように識別しているのか?」との質問をいただき,「今回は特徴量を見ているだけである」と回答しました.また,「今後どのような分類機を使う予定か?」との質問もいただき,「今のところSVMを使用する予定である」と回答しました.
 

  • 感想

去年に引き続き2度目の参加であったため,学会の雰囲気もある程度わかっており,あまり緊張せず発表することができました.ただ,少し早口だった気がしたのでもう少し練習して発表できたらよかったなと思いました.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の3件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : 画像診断医にとっての2045年問題:Deep Learningを用いた画像診断についての検討著者                  : 中田 典生セッション名       : 教育講演1
Abstract            : PubMed により年別論文数の推移を検索すると CAD に関しては 1980 年代末から、AI に関しては 1990 年代から、deep learning については 2000 年代半ばから発表論文数の増加が認められる。その一方で、コンピュータの User Interface(以下 UI)は 1960 年代から始まった AIを用いた UI については、何度かの冬の時代を通じて、近年音声認識などようやく実用化が注目されるようになった。2014 年にジュレミー・ハワードが設立した deep learning を用いた医用画像の読影を行う会社が設立されたが、現在AI で使用されている普及したデバイスは音声認識入力が中心で、日本においては AI を用いた診断支援は決して盛んとはいえない。ヒトゲノム計画が完了し、画像診断の分野でも radiogenomics を取り入れ、画像診断医が AI と強調して診療にあたることが今後の画像診断医に求められてくる。

この発表では放射線科医からみた2045年問題についての講演でした.Deep learningの仕組みや,医用画像分野におけるdeep learningの問題点,画像診断医はどのようにAIと共存していくのかなどのお話がありました.我々の研究室でもdeep learningを用いた研究がいくつか行われているため,とても興味深い内容でした.
 

発表タイトル       :多元計算解剖学と診断・治療支援への展開著者                  :橋爪 誠,本谷 秀堅,森 健策,小林 英津子,田中 利恵,原口 亮,山田 重人,花岡 昇平セッション名       : シンポジウムSY1:多元計算解剖学
Abstract            : 2014 年度より文科省科研費新学術領域研究「医用画像に基づく計算解剖学の多元化と高度知能化診断・治療への展開 」(略称:多元計算解剖学)が 5 年間の予定でスタートした.ここで多元計算解剖学とは,(1) 空間軸,(2) 時間軸,(3) 機能軸,(4) 病理軸といった種々の軸にまたがる医用画像情報に基づき,早期発見や治療困難な疾患に対する高度に知能化された診断治療法実現のための数理的諸手法を開拓する新領域である.本シンポジウムでは,研究の目的と計画,ならびに幾つかの成果について紹介する.

この発表では多元計算解剖学についての概要や現状についての発表があり,発表後には多元計算解剖学の今後についての討論がありました.計算機で解剖学を実現するという新たな学問であり、まだまだ課題がたくさんあるようですが今後の先行きがとても楽しみです。
 

発表タイトル       :大腸 Endocytoscopy を用いた、自動診断システムの高精度化著者                  :森 悠一, 工藤進英, 若村邦彦, 三澤将史, 小川悠史, 工藤豊樹, 林 武雅, 宮地英行, 片桐 敦, 石田文生, 井上晴洋, 二村幸孝, 森 健策セッション名       : CAD腹部他
Abstract            :【背景】 Endocytoscopy (Olympus)は 380 倍の超拡大機能により、大腸粘膜の細胞核を可視化し、病理診断を予測しうる次世代内視鏡である。われわれは Endocytoscopy 画像に対する自動診断システム(EC-CAD)を再構築し、評価した。
【方法】EC-CAD は、元画像からセグメンテーションした細胞核の計測値(面積・長短径・真円度・周囲長の平均・標準偏差等)に、画像全体の local binary pattern ヒストグラムを加えた計 296 個の特徴量を、support vector machine (SVM)により識別し、3 クラス診断(非腫瘍/腺腫/癌)を出力する。今回、4880 枚の画像を学習後、別の 476 枚(腫瘍 238 枚, 非腫瘍 238 枚)のテスト画像を用いて、精度を評価した。
【結果】腫瘍/非腫瘍の鑑別における正診率は 89%だったが、”High confidence”例(SVM における probability >90%, 全体の 63%)に絞ると、正診率は 97%だった。処理時間は 0.2 秒/画像であった。
【結論】EC-CAD は安定した精度での高速診断が可能であった。EC-CAD は内視鏡ユニッ トとのリアルタイム接続に成功しており、実用的な診断支援システムの候補となりうる。

この発表は内視鏡の一種であるEndocytoscopyを用いた大腸癌のCADシステムに関する内容でした.実際に内視鏡の診断システムに組み込んで実験もされており,とても参考になる内容でした.
 
参考文献

  • 第34回日本医用画像工学会大会論文集CD-ROM

学会参加報告書

報告者氏名 田中那智
発表論文タイトル 大腸腹腔鏡動画における腸間膜内走行血管の強調表示システムの提案
発表論文英タイトル Enhancement system of blood vessels between mesenteries in video of laparoscopic surgery of colon
著者 田中那智, 横内久猛, 萩原明於,小座本雄軌,廣安知之
主催 医療情報システム研究室
講演会名 第34回日本医用画像工学会大会
会場 金沢歌劇座
開催日程 2015/07/30-2015/08/01

 
 

  1. 講演会の詳細

2015/07/30から2015/08/01にかけて,石川県金沢歌劇座にて開催されました第34回日本医用画像工学会大会に参加いたしました.この学会は,日本医用画像工学会によって主催された学会で,医用画像工学や,それに関する研究の連絡提携を計るため,またそれにより学術の発展と人類の福祉に寄与する事が目的とされています.今回は保健学との連携でした.
私は全日参加いたしました.本研究室からは他に廣安先生,修士二回生の林沼さんが参加しました.
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は31日の午前のショートプレゼンテーションとランチョンポスターに参加いたしました.ショートプレゼンテーションの発表の形式は,1分30秒の講演時間でポスター発表時間は1時間となっておりました.
今回の発表は,「大腸腹腔鏡動画における腸間膜内走行血管強調システム」でした.以下に抄録を記載致します.

大腸腹腔鏡手術における視野は狭く,血管の視認性が悪いため,手術が長時間化するなど医師への負担がかかる.それを改善するため腸間膜に埋没している腸間膜内走行血管を画像処理によって強調し,医師へ強調された画像を提示する事で負担を減らすことが研究目的である.実際の手術で簡易に腸間膜内走行血管の強調を行うために,腹腔鏡に外部接続できる画像処理システムを構築した.また,オープニング処理を用いた表在血管削除処理を行い,その画像の各画素に対してHSV色情報の範囲を選択することで,腸間膜内走行血管を抽出し,強調領域を決定する.評 価実験においてはこの手法によって対象血管を完全に検出しきれない例や誤検出が発生する例もあるが,多くの腸間膜内走行血管が高い精度で検出,強調された.

 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
質問者の氏名は控え損ねてしまいましたが,「実際にこの画像が手術中に見せられると緑色が邪魔にならないのか?」頭の質問を頂きました.この質問に対し,「実際の手術では,ディスプレイを二つ用意し,サブ画面として表示する事を前提としている」と解答しました.
 
・質問内容2
質問者の氏名は控え損ねてしまいましたが,「なぜHSVを用いたのか?」という質問を頂きました.この質問に対し,「HSVは人間の色覚から閾値を指定しやすいために利用した」と解答しました.しかし,HSVは特徴を表現する力が弱いとの意見も頂いたので,他の色空間も試してみようと思いました.
 
・質問内容3
質問者の氏名は控え損ねてしまいましたが,「見えているものを検出して何の意味があるのか?」という質問を頂きました.この質問に対し,「現段階では,見えていても視認性の低いものを強調する事で,対象血管を見つけやすくしたい.しかし将来的には見えていない部分含め,全体の予測もしたいと考えている」と解答しました.
 
・質問内容4
千葉大学の中村友香先生より,「どの会社の腹腔鏡かによって若干異なる色の違いも考慮しているのか?」という質問を頂きました.「その違いに関しての考慮は行っていなかったため,参考にさせていただきます.」と解答しました.
 
 

  • 感想

ショートプレゼンが1分30秒という事で非常に短い時間であったにも関わらず,ポスターに興味を示してくださる方が多数いらっしゃった事大変嬉しく思いました.その反面,頂く質問の幅広さを知り準備不足も感じました.今回頂いた意見を次回からの発表に活かし,より良い発表にしたいと感じました.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
 

 発表タイトル        : 大腸Endocytoscopyを用いた,自動診断システムの高精度化
著者                   :森 悠一 , 工藤進英, 若村邦彦, 三澤将史, 小川悠史, 工藤豊樹, 林 武雅, 宮地英行, 片桐 敦, 石田文生, 井上晴洋 , 二村幸孝, 森 健策
セッション名       : CAD1腹部他
Abstruct :【背景】Endocytoscopy(Olympus)は380倍の超拡大機能により,大腸粘膜の細胞核を可視化し,病理診断を予測しうる次世代内視鏡である.われわれはEndocytoscopy画像に対する自動診断システム(EC-CAD)を再構築し,評価した.
【方法】EC-CADは,元画像からセグメンテーションした細胞核の計測値(面積・長短径・真円度・周囲長の平均・標準偏差等)に,画像全体のlocalbinarypatternヒストグラムを加えた計296個の特徴量を,supportvectormachine(SVM)により識別し,3クラス診断(非腫瘍/腺腫/癌)を出力する.今回,4880枚の画像を学習後,別の476枚(腫瘍238枚,非腫瘍238枚)のテスト画像を用いて,精度を評価した.
【結果】腫瘍/非腫瘍の鑑別における正診率は89%だったが,”Highconfidence”例(SVMにおけるprobability>90%,全体の63%)に絞ると,正診率は97%だった.処理時間は0.2秒/画像であった.
【結論】EC-CADは安定した精度での高速診断が可能であった.EC-CADは内視鏡ユニットとのリアルタイム接続に成功しており,実用的な診断支援システムの候補となりうる.

この発表では被写体にかなり接近して撮影する事のできるEndocytoscopyを用いており,腹腔鏡を用いて研究している私にとってはとても興味深い内容でした.また,内容だけでなく,画像や動画の見せ方,話の構成などのスキルが非常に高く,初めての学会の最初のプレゼンで刺激を受けました.
 

発表タイトル       :大型標本のマルチモーダル疾患解析のための光学画像群と 3 次元 MR 画像の位置合わせ法
著者                  :中村友香, 大西峻, 田中拓也, 新田展大, 青木伊知男,八木由香子, 羽石秀昭
セッション名       : 位置合わせ,動態解析
Abstruct            : MRI から取得する情報を高度化させるためにはミクロな組織情報との関連を明らかにする必要がある.しかし,組織が観察可能な病理画像は組織標本作成過程において,組織の収縮や変形が生じるため,直接 MR画像と比較することができない.そこで本研究は薄切前の脳の光学像であるマクロ画像を仲介とした病理画像と MR 画像のレジストレーション手法の開発を進めている.本報告ではマクロ画像と MR 画像のレジストレーション手法について述べる.昨年の JAMIT の発表では,マクロ画像と一致する断面を MR 画像全体から探索したため,初期値依存が大きく,ロバスト性が低かった.そこで今回は取得したマクロ画像を 3次元的に並べMR 画像との姿勢補正を行った後に,マクロ画像取得位置付近から類似断面を探索した.また,補正すべき変形や歪みを最小限に抑えることを目的に均等な厚さで脳を切り出す装置を作製した.結果,剛体変換とアフィン変換により安定してマクロ画像に類似する MR 断面が抽出できた.

この発表では脳の病理画像とMR画像の位置合わせを行うという内容でした.MR画像の位置合わせは医療情報システム研究室でも論じられた事がありましたが,この発表の結果は精度が高く,興味が持てました.
 

発表タイトル       :CR,臨床の洗礼を受ける
著者                  :船橋正夫
セッション名       : ディジタルラジオグラフィの黎明期から未来
Abstract            :1987 年,大阪府立病院(現:急性期・総合医療センター)は,世界初の試み「一般撮影領域の全面CR化」を決行した.初号機登場(1983 年 FCR101)から 4 年目のことであった.アナログ全盛の中,突然明らかにされた計画に,多くの人が「無謀な試み」「時期尚早」と発言した.「今からでも遅くない,計画を変えるべきだ!」と真剣に諌める人,「馬鹿な奴らだ」と鼻で笑う人など多くの言葉が投げかけられたが,誰も「快挙」とは言わなかった.その後,日本全国はもとより米国,ドイツ等から多くの見学者が訪れ,大きな反響の中,ディジタル時代の幕は切って落とされた.全面 CR 化の着想(1985 年)から装置設置・新病院開院までの 2 年の準備期間が,その後の一般撮影領域の医用ディジタル画像の方向性を決定した期間であったと確信している.基本コンセプトは,「アナログでできることは全てディジタルで実現する」であった.我々が何を検討し,何を開発し,そして「FCR がどのように臨床の洗礼を受けたか」をお伝えする.そこには現在に通じる,装置開発に取り組む技術者と,臨床現場で患者に向かう技師たちの生の姿があったからである.

この発表は全てがアナログであった時代,ディジタルでモノを開発する事にこだわった研究を行った研究者たちのお話でした.世間の流れに逆らい,あるいは全く違う事を始める事が,進歩の始まりなのだと実感し,医療情報システム研究室でもよく言われている,「とりあえずやってみる」をもっと大事にしようと感じさせられました.
 
参考文献

  • 第34回日本医用画像工学会大会論文集CD-ROM