2016年度 人工知能学会全国大会(第30回)

6月6日から9日にかけて2016年度 人工知能学会全国大会が福岡県の北九州市で行われました.
今回の発表では,M1の和田寛と玉城貴也,M2の田村陵大,そして日和先生が発表いたしました.発表内容は以下の通りとなっています.
【発表タイトル】
・日和先生:脳機能情報による瞑想状態の検討
・田村陵大:4Dimensional Convolutional Neural Networkを用いたfMRIデータ解析手法の提案
・玉城貴也:N-back課題時におけるCNNとLSTMを用いたfNIRS時系列データの識別と関連部位の推定
・和田寛:DPCデータのLinked Open Data 化による病院評価支援システム
今年で30回目となる人工知能学会全国大会は,近年非常に注目されている人工知能(AI)についての題目が多く,特にDeep Learningについての発表が目立ち,例年に比べ多くの方々が参加なさったそうです.
そのような中で発表できたことがとても良い経験となりました.いつもの研究室内の月例発表ではなく,自身の研究分野における専門家の方々から研究に関して質問やアドバイスをいただくことができました.この学会を通じて改めて自身の研究について考え直し,さらに頑張って良い結果を出していこうと思いました.
また,自身の発表以外にも,様々な方面の注目を集めている研究や企業ブースに展示されている最新の機器などに触れる機会があり,とても有意義な時間を過ごせました.
人工知能3  人工知能2
人工知能1
【文責:M1 和田】

学会参加報告書

 報告者氏名 和田寛
発表論文タイトル DPCデータのLinked Open Data化による病院評価支援システム
発表論文英タイトル The hospital evaluation support system according to Linked Open Data of DPC data
著者 和田寛, 日和悟, 廣安知之
主催 人工知能学会
講演会名 2016年度 人工知能学会全国大会
会場 北九州国際会議場
開催日程 2016/06/06-2016/06/09

 
 

  1. 講演会の詳細

2016/06/06から2016/06/09にかけて,北九州国際会議場にて開催されました2016年度 人工知能学会全国大会に参加いたしました.この人工知能学会全国大会は工知能に関する研究の進展と知識の普及を図り,もって学術・技術ならびに産業・社会の発展に寄与することを目的とし,機械学習のアルゴリズムや,応用など多岐にわたる発表が行われています.私は6月6日から6月9日まで大会の初日から最終日まで参加致しました.本研究室からは他に廣安先生,日和先生,田村,玉城が参加しました.

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は6日の午後のセッション「Linked Dataとオープンデータ活用(2)」に参加いたしました.発表の形式は口頭発表で,15分の講演時間と15分の質疑応答時間となっておりました.
今回の発表は,….以下に抄録を記載致します.

我々は患者の治療記録であり,病院の客観的評価のための定量的指標としてのDPCデータは病院の総合評価に利用可能と考える.我々は医療機関の経営者のためにDPCデータを用いた病院評価システムを開発した.そして,Linked Open Data (LOD)をこのシステムに適用した.本論文では,LODによって処理されたDPCデータを用いた定量的な評価や複数の角度からの評価が病院評価の問題にどのように影響を与えたかを考え,開発したシステムの効果を議論する.

 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.今回の発表は研究でここまできたという発表であるのか,実用的なアプリの話であるのかという質問をいただきました.この質問に対する回答ですが,今回は研究でここまでできたと回答しました.まだアプリで病院評価を行った結果を実際に病院の方に伺ったことはないのでこのように回答させていただきました.将来は,実際に病院の方に伺い,今回開発したアプリの実用性や効果を確認したいと考えております.
 
・質問内容2
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.オントロジー構築の可視化の際にクラスとインスタンスが混同して記載してしまっているのではないかという質問をいただきました.この質問に対する回答ですが,その通りでした.オントロジーと言いながらも,可視化を行いわかりやすくするためにクラスの中にインスタンスが混じってしまっていました.今後DPCオントロジーの可視化アプリケーションを修正します.
 
・質問内容3
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.LOD化DPCデータが使用できるのは病院評価だけなのか,地域医療分析や病院推薦は行えないのかという質問をいただきました.この質問に対する回答ですが,地域医療分析や病院推薦は可能であると回答しました.実際すでにMISLの卒業生である三島さんが地域医療分析アプリケーションの開発,竹中さんが病院推薦システムを開発されていたためこのように回答させていただきました.

  • 感想

月例発表会とは異なり,初対面かつ私の研究分野であるLinked Open Dataの専門の方々の前で発表するため,非常に緊張しました.また,発表を通して,構築したオントロジーについてコメントをいただくことができ,研究の進歩を確認することができた.学会でオントロジーの専門家は様々な分野にてLOD構築を行っている研究者と話を交わすことができて光栄であり,今後の研究の指針となるアドバイスを頂けたので,大変有意義であった.
スライドの作成に関して,事前準備が不足していたため,今後このようなことがないよう,しっかり事前準備をして発表に臨みたい.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の4件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : DBpedia Japaneseにおける利活用状況の把握と分析著者                  : 加藤文彦セッション名       : Linked Dataとオープンデータ活用(2)
Abstruct : Opening up research datasets has been one of important topics in academic fields. One of common issues of this topic is that dataset providers would like to know the effect of opening and sharing their datasets. We tackle with the issue to evaluate the usage of our DBpedia Japanese which is one of the largest linked open datasets in Japanese. In the result, 78% of research related articles using DBpedia Japanese have been written by other researchers after publishing DBpedia Japanese in 2012. And 25 applications using DBpedia Japanese and 28 datasets linked to DBpedia Japanese have been created so far.
 

この発表はLODの中でハブ的役割を担っている日本語WikipediaをLOD化したDBpedia Japaneseについてでした.やはり論文などを調査された結果,年々DBpediaを用いた論文やアプリが増加の傾向にあり,かく言う私自身も研究で開発したアプリケーションにDBpediaを利用させていただいている.しかし,企業などが行っているのではないため,多くのデータを構築はできでおらず,また,ラベル名が実際と異なっていたりなどする課題も浮き彫りとなっている.
 

発表タイトル       :コンテンツ理解をサポートするためのオープンデータ利用手法の検討著者                  : 宮崎勝セッション名       : Linked Dataとオープンデータ活用(2)
Abstruct : In this paper, we propose a method to present the relevant information for a better understanding of the content of web site. When you select a keyword that is included in the web site while Internet browsing, this prototype service searches for relevant information about the keyword using the various linked open data that has been widely published.

この発表で着目したのは簡単に興味のもったキーワードをLODデータから検索し,統合的に表示することである.また,検索結果の際,jsonファイルに色情報を付加し,より情報を見易くしている.これまでは知りたい情報があるSPARQLエンドポイントまでいき,SPARQLを書いて情報を取得しなければいけなかったが,このChromeに実装したアドオンを使えるようになればよりLODの活用の幅が広がる.
 

発表タイトル       : グラフモジュール分解に基づく専門用語辞書からのオントロジー自動構築著者                  : 稲木誓哉セッション名           : 知識共有とオントロジー
Abstruct : Opening up research datasets has been one of important topics in academic fields. One of common issues of this topic is that dataset providers would like to know the effect of opening and sharing their datasets. We tackle with the issue to evaluate the usage of our DBpedia Japanese which is one of the largest linked open datasets in Japanese. In the result, 78% of research related articles using DBpedia Japanese have been written by other researchers after publishing DBpedia Japanese in 2012. And 25 applications using DBpedia Japanese and 28 datasets linked to DBpedia Japanese have been created so far.
 

この発表はオントロジーの自動構築についてである.素人がオントロジーを一から構築することは困難であり,それを二部グラフのモジュール分解に基づいてクラスを抽出し,パターンマッチからクラスレベルを推定し,オントロジーを構築していくというものでした.これが進めば,多くのデータのオントロジーを簡単に構築でき,LODがより容易に可能になると考えた.しかし,自動でオントロジーを構築する際の「辞書」のようなものが絶対的となり,どの「辞書」がよいのかという問題も同時におきるとも考えた.
 

発表タイトル       : 行動データマイニングのためのオンライン離散化手法の提案著者                  : 吉田一生セッション名           : ビッグデータ活用
Abstruct :In this paper, we present a novel technique based on online pattern mining for identifying human activities from motion sensing data. Our pattern mining technique enables to discover motifs of unknown human activities classes. However, discretization is essential for pattern mining. It is also useful for data compression to embed online discretization into our methodology. As a result, the compression rate of streaming data is 99.8% by our technique. The success rate of activity identirication is 77% on average compared the previous technique.

 
この研究はビッグデータのような大きな量のデータをオンラインで逐次処理を行うことについての発表である.特に現代のような時代においてセンサーからの情報をリアルタイムかつオンラインで処理することは重要である.ここで重要なのはデータにたいしてSAX(Symbolic Aggregate Approximation)処理を行うことである.これによって時系列のデータを文字列に変換し,データの量を軽量化させることができる.これを聞いて生体情報に使えないかと考えた.文字列にすることで時系列かつ文字列で扱えるので,自然言語処理やDeep LearningのLSTMを活用可能ではないかと考えた.