第51回日本生体医工学会大会が福岡国際会議場にて開催されました。
研究室からは、
01-09-4 音環境が数字記憶課題の成績と脳血流変化に及ぼす影響の検討 M1 星野
01-09-5 ストループテストによる脳血流変化の被験者分類の検討 M2 福原
01-09-7 PVTとGO/NOGO Taskにおける視覚刺激と聴覚刺激に対する脳血流変化の違いの検討 M1 福島
01-10-4 NIRSとによる情動刺激に対する効果の検討 M1 林
が発表しました。
学会参加報告書
報告者氏名 | 福原 理宏 |
発表論文タイトル | ストループテストによる脳血流変化の被験者分類の検討 |
発表論文英タイトル | Subject classification discussion using cerebral blood flow changes on the Stroop test |
著者 | 福原理宏,廣安知之,横内久猛,三木光範 |
主催 | 日本生体医工学会 |
講演会名 | 第51回日本生体医工学会大会 |
会場 | 福岡国際会議場 |
開催日程 | 2012/05/10-2012/05/12 |
1. 講演会の詳細
2012年5月10〜5月12日にかけて,福岡県・福岡国際会議場にて開催されました,日本生体医工学会により主催されました第51回日本生体医工学会大会に参加し,発表致しました[1].本学会は医工連携に関する学問領域の発展に寄与し,医療分野の活性化に貢献することを趣旨とした学会となります.そして今回は「医工融合による日本再生」というメインテーマを掲げ開催されました.
本研究室からは4名が参加し,主にNIRSに関する研究内容の発表を行いました.その中で私は5月10日の10:10 – の「生体信号解析2」というセッションにて発表を行いました.
2. 研究発表
2.1. 発表概要
私は10日の10:10-の「生体信号解析2」というセッションにて発表を行いました.発表形式は口頭発表で,発表時間7分,質疑2分という内容でした.
今回の発表は,ストループテストを対象にNIRSを用いて実験を行なった際の被験者を分類した際にみられる被験者の傾向について検討を行う内容でした.以下に抄録を記載致します.
In this paper, we compared the pattern of the average of cerebral blood flow of plural groups which are classified with the work performance on Stroop test. We performed a Stroop test and the work performance such as number of wrong answers and reaction time was used as factors to classify subjects. We investigated the cerebral blood flow changes of each group. fNIRS was measure the inferior frontal gyrus of the left hemisphere. From view of number of wrong answers, the significant differences of cerebral blood flow were existed. From the results, it is suggested that groups classified with the work performance on Stroop test have the different pattern of the average of cerebral blood flow which is measured by fNIRS. |
2.2. 質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
・ 質問内容1
東京大学の高橋さんからの質問でした.質問内容は,NIRSのデータををもとに疲労度などの関連性を見ているが,NIRSのデータを解析していけば疲労度といった影響の本質的な理解(おそらく神経的な)は可能か?というものでした.私からの回答は、NIRSでの本質的な考察は難しく、結果から考察しかないという回答を行いました.
2.3. 感想
今回の学会で3回目の学会参加となりました.他研究室の発表内容を聴講すると、なぜその研究しているのだろう?と疑問に思うことがある一方,私たちの研究室の発表内容はコンセプトがしっかりしており,他研に負けない研究内容になっていることを改めて感じました.その一方,結果や考察部分ではまだまだ足りない部分を感じました.これでもかというほどの実験数と,検討の数を増やしていくことが今後の課題であると考えています.
3. 聴講
今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
発表タイトル : 3連音刺激に対する事象関連電位に基づく許容音圧推定著者 : 足立信夫,森川幸治,加藤弓子,小澤順,入戸野宏セッション名 : 生体信号解析3Abstruct : The examination of uncomfortable loudness level (UCL) is a strain on hearing loss people. In the present study, we developed a method of estimating UCL based on event-related potentials (ERPs) to auditory stimuli. Eighteen normal hearing adults participated in this study. Three tone bursts (a triplet) of the same frequency (1k, 2k or 3k Hz) were presented to the right or left ear with an interstimulus interval of 300 ms. The sound intensity decreased gradually by 5 dB HL (from 80 to 70 dB HL). An electroencephalogram was recorded from three scalp electrode sites (Cz, C3 and C4). The period of 0-900 ms after the onset of the triplet was transformed to a wavelet coefficient and averaged separately by ear and stimulus frequency. The UCLs were estimated by using linear discriminant analysis. The mean estimation error was 4.9 dB. This result suggests that the UCL could be estimated on the basis of ERPs to successive auditory stimuli. |
この発表では,補聴器における可聴領域の上限値を決める手法を,従来手法の下限値の値から推測して算出する不確実な方法ではなく,EEGを用いて定量的に確定する試みを行うという内容でした.企業の方の発表だったのでコンセプトがとても明瞭でした.本研究の手法を用いた際の許容内誤差に収まる確率が7割程度ということで実用段階ではまだありませんが,そのまま商品化に繋がるような研究は非常に素晴らしいと感じました.
発表タイトル :手指の随意運動中断に伴う脳活動についての脳電位計測による検討著者 : 福田浩士セッション名 : P1-02-5Abstruct : We investigated the event-related potentials (ERPs) related to the inhibitory motor control in the index finger movement pushing the force sensor triggered by the stop-signal with visual stimulus. The subject abandoned the voluntary finger push controlled from 0 N to 2 N immediately after the stop-signal. The delay of the stop-signal from the go-signal (stop-signal delay, SSD) was set from 0 ms to 200 ms. Subjects could stop the finger push in 50 ms SSD, while not in 200 ms SSD. In the task with 50 ms SSD, the negative peak followed by the positive peak in ERP was observed at FCz. The topography of the potential showed that the negative component distributed at fronto-central scalp around 200 ms after the stop-signal. The positive component around 300 ms after the stop-signal distributed in parieto-occipital regions. However, these negative and positive potentials were not observed in the task with 200 ms SSD. The negative component of ERP was supposed to be concerned with the control of the stop-action, and the positive component of ERP was presumed to express the brain activity in the primary visual area processing the visual information of the stop-signal as well as the activity in the parietal association area involved in the visuo-motor integration. |
反応行動抑制を行う課題であるGO/NOGO TaskやStop Signak Taskを対象に、EEGにおける事象関連電位の反応がどうなるかを調査した発表でした.結果は,指動作に対して,運動関連領域における反応が見られるという結果でした.本研究は,我々の研究室のアプローチとは違うものの,着眼点が非常に似ていると感じ,面白いと感じました.
参考文献
1) 第51回日本生体医工学会, http://www.congre.co.jp/jsmbe51/
学会参加報告書
報告者氏名 | 星野雄地 |
発表論文タイトル | 音環境が数字記憶課題の成績と脳血流変化に及ぼす影響の検討 |
発表論文英タイトル | The influence of sound environments on performance of thememorizing numerical string task and cerebral blood flow changes |
著者 | 星野雄地, 廣安知之, 横内久猛 |
主催 | 日本生体医工学会 |
講演会名 | 第51回日本生体医工学会大会 |
会場 | 福岡国際会議場 |
開催日程 | 2012年5月10日(木)~12日(土) |
1. 講演会の詳細
第51回 日本生体医工学会大会(http://www.congre.co.jp/jsmbe51/index.html)とは平成24年(2012年)5月10日(木)から12日(土)の3日間、福岡市の福岡国際会議場で開催され、常に社会に目を向けて力強いイニシアチブをとり、異分野の専門家とともに様々な難題に立ち向かって活動していくことを目的とした学会である.
私は5月10日(木)の生体信号解析Ⅱというセッションにて発表を行った.同セッションでは福原理宏氏と福島亜梨花氏も発表を行った.同日,生体信号解析Ⅲのセッションにて林貴之氏が発表を行った.
2. 研究発表
2.1. 発表概要
私は5月10日(木)の生体信号解析Ⅱというセッションにて発表を行いました.発表形式は口頭で,7分間の講演と2分間の質疑応答を行いました.
今回の発表は音環境が数字記憶課題の成績と脳血流変化に及ぼす影響の検討です.
以下に抄録を記載致します.
5月10日(木) 生体信号解析Ⅱ 口頭発表作業環境のひとつである音環境が作業成績に影響を及ぼすとともに,脳血流変化にも差異をもたらす可能性が示唆された.作業として数字記憶課題を選択し,脳血流変化の計測は日立メディコ製のETG7100を用いた.血流変化の注目領域として前頭部左下部に着目し,血流変化の立ち上がり60秒を使用した.使用した音環境は静音,モーツァルト,ホワイトノイズの3種類である.In this paper, influence of sound environments on performance of the memorizing numerical string task and cerebral blood flow changes are discussed. The task were performed withthree sound environments; silence, noise, and BGM. Inthis experiment, the number of correct answers were considers as the index of task achievement. Simultaneously, cerebral blood flow changes were investigated as physiological evaluation using functional Near-Infrared Spectroscopy, fNIRS. As the result, the difference of sound environment makes significantly difference to the task performance and blood flow changes. In the areaof frontal, average of blood flow changes with silencecondition was higher than that with BGM condition. On the other hand, in the area of auditory cortex, the average of blood flow changes with BGM condition was higher than that with silencecondition. Fromthese results, it was concluded that BGM condition makes blood flow change lower compared with the silence condition. |
2.2. 質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
・質問内容1
座長である高崎宏知先生(東京大学)のご質疑
数字記憶課題の成績が音環境により向上した被験者はいるのか,その際の脳血流変化はどのようになっているか
私の回答
そのような被験者も存在する.脳血流変化や要因について詳しく検討できていないため今後個人についての検討も行なっていくと応えました
2.3. 感想
初めての学会ということもありかなり緊張したが,日頃の研究室内発表で練習ができていたため落ち着いて発表することができた.今回は発表時間が7分と短かったが発表練習を念入りに行なったため発表時間を守ることができてよかったです.
しかし,思った以上に質疑の時間が短く,もう少し多くのご質疑を頂きたかったと感じております.
今後は被験者数を増やすとともに,被験者個人個人についての解析を行い研究を進めていきたいと思っている.
3. 聴講
今回の講演会では,下記の5件の発表を聴講しました.
発表タイトル : ノイズ環境下における音響特徴量を用いた神経発火活動の検出及び弁別に関する検討著者 : 深山 理(東京大学大学院)セッション名 : 生体信号解析Ⅱ |
この発表はEEGのように電極を用いることで雑音下における特定信号音に対する聴覚領域の神経発火を計測した研究である.心理学研究におけるカクテルパーティー効果を検証した研究であり,特定刺激に対し神経発火が起こると報告されていた.音の研究であるが力丸先生のように音に対する神経の仕組みを解明に力を入れておられた.
発表タイトル :3音連続刺激に対する事象関連電位に基づく許容音圧推定著者 : 足立信夫セッション名 : 生体信号解析Ⅲ |
この発表は3つの連続音に対しERPすなわち事象関連電位がどのように起こるかEEGを用いて研究したものである.聴覚(音)に対する聴覚領域の反応を知るにはやはり事象関連電位が必要となると考えさせられた
発表タイトル : 集中力指標の構築を目的としたゴルフパッテイング時の脳波解析著者 :酒井 陽平 (東京工業大学)セッション名 :生体信号解析Ⅲ |
この発表はパッティングが成功する時と失敗した時の脳波(α波成分)がどう違うかを研究したものである.自分的に着目点が面白く精神力の必要なゴルフのパッティングに脳波解析を用いるのは有用性があると感じた.しかし,質疑でもあったようにゴルフのパッティングにはいろんな要因が関係しているので難しいかもしれない.
発表タイトル :事象関連電位P3を利用した入力インターフェイス著者 :棒谷 英法 (大阪工業大学)セッション名 :生体信号解析Ⅲ |
この発表はBMIやBCIに関係してくる発表であり,事象関連電位の同期のとり方やノイズ処理はどうしているのかに着目した.ひとつひとつの処理や解析がとても難しくかなり長いこと研究を続けてこられたのだなと感じた.事象関連電位は応答速度がとても速いため実用化につながるといいと思った.
発表タイトル :離散パルス変換解析によるマイクロサッカードの検出著者 : 野口 大輔(近畿大学大学院)セッション名 :生体信号解析Ⅲ |
ICAの話が出てきて面白かった.しかし,ある特定ノイズの除去を目的としているのにICAをかけていたので除去したいノイズがわかっているのならば違うフィルタ処理をかけるべきだと感じた.
参考文献
- 相馬洋平,他.音楽環境の違いによる作業効率に関する人間工学的基礎研究.電子情報通信学会技術報告. Vol. 105,No. 304,pp. 43-46,2005
- 岩城護,他.タイプ作業における音環境の生体影響と作業効率の変化.電子情報通信学会技術報告. Vol. 108,No. 52,pp. 19-24,2008
3. 後藤 卓司 ,他.数字記憶課題における音環境の影響.電子情報通信学会技術報告.Vol. 103,No. 135,pp. 31-36,2003
学会参加報告書
報告者氏名 | 林貴之 |
発表論文タイトル | NIRS と EEG による情動刺激に対する効果の検討 |
発表論文英タイトル | Discussion of response to emotional stimulus using EEG and fNIRS |
著者 | 林貴之, 廣安知之, 横内久猛 |
主催 | 医療情報システム研究室 |
講演会名 |
第51回日本生体医工学会大会(http://www.congre.co.jp/jsmbe51/index.html) |
会場 | 福岡国際会議場 |
開催日程 | 2012/05/10-2012/05/12 |
1. 講演会の詳細
2012/05/10から2012/05/12にかけて,福岡国際会議場にて開催されました第51回日本生体医工学会大会に参加いたしました.この生体医工学会大会は,九州大学大学院によって主催された研究会で,医者や研究者や学生が参加し,『医工融合による日本再生』 をテーマとして開催されました. セッション内容は,生体信号解析,医療情報システム,治療機器開発など,医療と工学の応用であるセッションが多くを占めていました.
私は10日のみ参加いたしました.本研究室からは廣安先生,横内先生が来て下さり,福原,星野,福島,林が発表しました. 3人全員10日に発表しました.
2. 研究発表
2.1. 発表概要
私は10日の午後14時10分からのセッション「生体信号解析Ⅲ」に参加いたしました.発表の形式は口頭発表で,7分の講演時間と2分の質疑応答時間となっておりました.
以下に抄録を記載致します.
人間の情動処理過程についての研究は,興味が集まっており,EEG (Electroencephalograph)を用いて多く研究が行われている.EEGは電極を頭皮につけ,脳内の神経活動を測定することが可能である.中でも,脳波を使った情動の評価として前頭部のα帯域パワー値の非対称性が挙げられ,情動の変化をα帯域パワー値の前頭部左右差として捉えており,国際10-20法のF3およびF4部位の賦活はα帯域パワー値の減衰によって推定されている.そこで,本研究では,快,不快,中性の3種類の画像を用いて被験者に情動想起させ,その際のα波パワーおよびβ波パワーについて検討した. Recently, emotional processing in the human brain has been interested in widely. There are many studies which concern with emotion using electroencephalograph (EEG). EEG records electrical activity of neuron in the human brain effects. Thus, frontal EEG asymmetry shows the index of neural responses to affective events. In this paper, the response of emotional stimulus was discussed using EEG alpha activity and beta activity with visual stimuli. |
l 5/10(木)14:10〜15:20 生体信号解析Ⅲ
2.2. 質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
・質問内容1
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.こちらの質問は,なぜEEGの不快画像時におけるα帯域パワー値の計測結果に有意差がでなかったかというものでした.この質問に対する私の回答は,基準電極を左耳朶において計測を行った為、このようになったと答えました.
・質問内容2
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.こちらの質問は,リファレンス(基準電極)を変更する計測結果が変わるのではないかという質問でした.この質問に対する回答ですが,基準電極を変えるとα帯域パワーに差があったという論文があったので,基準電極の接地を考慮することが必要であると答えました.
2.3. 感想
初めての学会発表で,大変緊張しました.先生方のご指導のお陰で,学会直前まで実験を行っており,ご心配をお掛けしましたが,同時計測の実験データで発表に望むことができました.質疑応答では,自分のセッションがEEGを用いた研究が多かったため,EEGについての質問を多く受けました.頂いた質問を心に留めて,これからの研究に生かしたいと思います.今後とも,ご指導宜しくお願い致します.
3. 聴講
今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
発表タイトル : fMRI解析と脈波解析によるストレス状態評価著者 : 林 拓也セッション名 : 生体信号解析Ⅰ Abstruct : Functional magnetic resonance imaging (fMRI) and photoplethysmography were used to investigate the relationship between brain activities and autonomic nervous system function in stress states using multiple regression analysis. Twenty-seven healthy participants were assessed their stress state using stress self rating scale (SSRS) before experiment. The stimulus materials consisted of 30 images and sounds, as audio-visual stimulus, belonging to 3 emotional categories: images evoking a relaxed state (Relaxed stimuli), a pleasant state (Pleasant stimuli), and a fearful state (Unpleasant stimuli). The experiment consisted of 3 trials and all participants performed 6 runs. Trials were blocked by the emotional categories (4 seconds × 5 images) and fixation point (20 seconds). Multiple regression analysis showed a significant correlation between stress state and right inferior parietal gyrus, pulse wave length (p<0.05) in the Relaxed and Unpleasant stimuli. |
この発表はfMRIを用いて,感情の研究を行っている論文で,実験時にとったアンケートの解析方法など,とても参考になるものがありました.私の発表時に質問をして下さった方で,セッションが終わったあと,研究についてお話を致しました.
発表タイトル :集中力指標の構築を目的としたゴルフパッティング時の脳波解析著者 : 酒井 陽平セッション名 :生体信号解析Ⅲ Abstruct : Improving golf putt success rate is important because success or failure of putt decides the game results in professional golfers. Success of golf putt needs mental concentration; however, currently there is no quantitative index of mental concentration. This time, we performed the same experiment as the previous research to confirm relationship between putting and EEG. We recorded EEG at Fz, Cz and C4 during putting. As a result, one out of eight novices and one expert showed event-related desynchronization (ERD) at successful putts. Others showed event-related synchronization (ERS) at successful and failure putts. It is inferred that ERD may be related to successful putts. |
この発表はゴルフパッティング時の脳波についての発表でした.脳波は,実験を行う際に少しの体動でも筋電図が入っているので,その部分で,どのような処理が行われているのか疑問でありました.
学会参加報告書
報告者氏名 |
福島亜梨花 |
発表論文タイトル | PVTとGO/NOGO Taskにおける視覚刺激と聴覚刺激に 対する脳血流変化の違いの検討 |
発表論文英タイトル | Examination of the difference of blood flow between Auditory and Visual stimulus of PVT and GO/NOGO task |
著者 | 福島亜梨花,廣安知之,横内久猛 |
主催 | 医療情報システム研究室 |
講演会名 | 第51回日本生体医工学会大会 |
会場 | 福岡国際会議場 |
開催日程 | 2012/05/10-2012/05/12 |
1. 講演会の詳細
2012/05/10から2012/05/12にかけて,福岡国際会議場にて開催されました第51回日本生体医工学会大会[1]に参加致しました.「多くの医療機器は医工連携なくして開発することは困難であり,本学会はこれまでにもこの医工連携という新しい学問領域の創設と発展に尽力し,医療の発展に大きく貢献してまいりました」と大会長の九州大学橋詰誠教授がおっしゃられるように「医工連携」という新しい学問の視点から,昨年発生した東日本大震災から医療の重要性を考えるということで「医工融合による日本再生」が今回のメインテーマになりました.
自分は初日である2012/05/10に参加致しました.今回の第51回日本生体医工学会大会は,558題の演題数があり,医工連携ということで医学分野や工学分野の専門家が多かったように思います.また,医学分野の専門家の中にはお医者さんも多く,驚きました.
2. 研究発表
2.1. 発表概要
私は10日の午前のセッション「一般演題(O1-09) 生体信号解析Ⅱ」に参加致しました.発表の形式は口頭発表で,7分の講演時間と3分の質疑応答時間となっておりました.
今回の発表は,「PVTとGO/NOGO Taskにおける視覚刺激と聴覚刺激に対する脳血流変化の違いの検討」と題しまして,Psychomotor Vigilance Task(PVT),GO/NOGO Taskに対し,視覚刺激と聴覚刺激を使い,その際の脳血流変化について検討を行いました.PVTの際は「注意の持続性」を司ると言われる前頭前野背外側部が活性化し,GO/NOGO Taskの際は物体の認識を司る下側頭回,行動を抑制するブレーキ回路の一部である右下前頭回が活性化しました.また,反応時間に関しては,PVTでは速い群のみが,GO/NOGO Taskでは速い群と平均反応時間が,視覚刺激で聴覚刺激よりも優位に遅いという結果が得られました.以上より,PVTでは前頭前野背外側部が活性化し,視覚刺激の平均時間が速くなる.また,GO/NOGO Taskの際では,視覚刺激の場合,信号の識別が聴覚刺激よりも難しく,慎重になり下前頭回が活性化し反応を抑制,その結果,平均反応時間が遅くなるのではないかという仮説を立てました.
以下に抄録を記載致します.
The Psychomotor Vigilance Task (PVT) and the GO/NOGO task are one of sustained attention performance tasks. However, in these tasks, several different tasks are existed such as auditory and visual stimulus. Since functional brain parts are different with along to auditory and visual stimulus, even the same task, these may react differently with visual and auditory stimulus. In this research, the blood flow of PVT and GO/NOGO task are experimented, and the differences between visual and auditory stimulus are discussed. In the result, the blood flow of PVT increased in the both sides of temporal region. However, the differences between the result of auditory and visual stimulus are small. In GO/NOGO Task, comparing the blood flow of inferior temporal gyrus, the change of blood flow of visual stimulus was bigger than that of auditory stimulus. |
2.2. 質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
・質問内容1
質問内容は,手の動きに対する脳血流変化についてのどのように考えているのかというものでした.この質問に対する私の回答は,今回の実験では運動野が存在する頭頂部を計測しておらず,手の動きに対する脳血流変化は頭頂部のみに起こると仮定しており,今後検討していきたいというものでした.
・質問内容2
質問内容は,視覚刺激のみ,聴覚刺激のみの脳血流変化はどのようになっているのかということでした.この質問に対しては質疑応答用スライドとして用意していたのですが,PCを自分で操作できる環境ではなく,質問用スライドを見せることができず,残念でした.この質問に対する回答ですが,視覚刺激では主に側頭部下部や前頭部下部が活性化しているのに対し,聴覚刺激ではそれよりも広範囲で側頭部の活性化が見られたということでした.
2.3. 感想
今回参加させて頂いた第51回日本生体医工学会は初めて学会参加でとても緊張しました.発表途中から頭が真っ白になり,後半は自分でも何を言っていたのかあまり覚えていません.しかし,発表前に廣安先生をはじめ,横内先生やNIRS班の皆様にご指摘いただ
3. 聴講
今回の講演会では,下記の1件の発表を聴講しました.
発表タイトル : 事象関連電位P3を使用した入力インタフェース(3rd Report) 著者 : 棒谷英法,大須賀美恵子 セッション名 : Abstruct : Our goal is the development of a simple and easy to use input interface based on the P3 components of visual event related potentials. In this report, we introduce the support vector machine (SVM) to recognize P3 in a single-trial data. Three channels (Fz, Cz, Pz) of EEG were used for training SVM and the evaluation after eliminating the artifacts caused by eye movements and blinks.The data during 0.1-0.6 s period posterior to every stimulus was extracted and used after connected in a sequence or averaged among channels. The ratio of the number of the target trials used for training to that of the non-target trials was varied from 1:1 to 1:3. As the result, the average number of trials needed to obtain the correct decision was around ten in most conditions, while the best performance was shown in case of the connected data and the ratio of 1:2. |
この発表は,ICA(independent Component Analysis)とSVM(Support Vector Machine)を用い,P3成分を除去するという研究でした.昨年も本学会において,眼球運動によるノイズをアーチファクトで除去するといった内容で出られたようで,この研究はその際の技術を用いて,ICAを用いSVMに学習させながらP3成分を抽出するといった内容でした.今回,ICAを用いた研究として非常興味深かく,SVM学習に用いるデータ数の比率を変更しP3成分をどのデータ比率が一番抽出に適しているかという内容でしたが,肝心のデータ比率が1:1,1:2,1:3しかなかったのが,残念なように思います.
参考文献
[1] 第51回日本生体医工学会大会,http://www.congre.co.jp/jsmbe51/