Research Complex 第4回人材育成フレームワークレクチャー

2017年7月13日(木)に同志社大学 学研都市キャンパス 快風館にてResearch Complex 第4回人材育成フレームワークレクチャーが開催されました.本研究室からはM2の石原 知憲が参加し,ポスター形式で発表しました.発表題目は以下の通りです.

      ◆「EEGを用いた運動想起型BCIにおける最適な電極配置と周波数帯域の検討」
      石原知憲,日和悟,廣安知之

けいはんなリサーチコンプレックス事業では,フレームワークレクチャーを通じ大学・研究機関の研究者が進める研究内容や,研究が目指す未来像などを交流する機会を設けています.第4回目となる本発表会では奈良工業高等専門学校 情報工学科の松村 准教授と,奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科の神原 准教授の講演を拝聴しました.京阪奈地域進められている他分野の研究や高校生が行っている研究を拝聴し,自分の研究を進める上でいい刺激となりました.
今回の発表会は私にとって5回目の国内での発表会ということもあり,緊張することもなく発表することができました.発表時間は短かったものの沢山の方に発表を聞きに来ていただき,自分の研究を聞いていただくことができました.また自分の研究を見直すいい機会にもなりました.また学会に参加できるように毎日の研究に励むと同時に,研究室全体が盛り上がるように日々精進していきたいと考えています.
 
【文責:M2 石原】

学会参加報告書

報告者氏名 石原知憲
発表論文タイトル EEGを用いた運動想起型BCIにおける最適な電極配置と周波数帯域の検討
発表論文英タイトル 同上
著者 石原知憲,  日和悟, 廣安知之
主催 けいはんなRC
講演会名 人材育成フレームワークレクチャー
会場 同志社大学 学研都市キャンパス 快風館
開催日程 2017/07/13

 
 

  1. 講演会の詳細

けいはんなリサーチコンプレックス事業では、フレームワークレクチャーを通じ大学・研究機関の研究者が進める研究内容や、研究が目指す未来像など、もっともっと掘り下げたお話を直接聞いてみたい、とのご要望に応えます。今年度の第4回目では、奈良工業高等専門学校 情報工学科の 松村  准教授と、奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科の 神原  准教授をお迎えし、 ご講演いただきます。

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は13日の午後のポスター発表に参加いたしました.発表時間が30分となっておりました.
以下に抄録を記載致します.

BCI(Brain Computer Interface)は物理的な身体的動作なしに,脳活動により 外部機器を制御し,動作させる技術である.本研究は,運動想起中の脳波を用いたBCI システムの構築にあたり, 左右手の運動想起識別におけるCH 配置と前処 理で用いるバンドパスフィルタの周波数帯域選択の有用性を調査した.

 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
・質問内容1
 脳の部位と脳機能の結びつきは先行研究で明らかにされているのか?明らかにされているならばそこを測ればいいのではないか? 
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.質問には,「脳機能と部位の結びつきはある程度明らかにされています.運動想起時には感覚運動野で脳波が変動することが確認されています.しかし訓練していない被験者では運動想起時に感覚運動野で脳波変動が,実運動時と同じように起きないことがしばしばあります.そのため本実験では全脳の計測を行っています.」とお答えしました.
 
質問内容2
運動想起型BCIとは何か 
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.質問には,「BCIとは脳信号を読み取り,脳と機械のダイレクトな情報伝達を仲介する技術です.なかでも運動想起型BCI(MI-BCI)とは運動を想起した際の脳活動を計測し,その信号を入力として外部機器を制御するタイプのBCIを指します.」とお答えしました.
 
質問内容3
「選択CH数を増やすと運動想起識別精度は上がるのか?
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.質問には,「今回は3CH以下での最適な電極配置を探索しましたが,選択CH数の制約を緩めると運動想起識別精度は改善します.」とお答えしました.
 
質問内容4
 GAとはなにか? 
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.質問には,「生物の進化を模擬した最適化アルゴリズムです.遺伝子の表現の仕方によりあらゆる問題に適用可能です.」とお答えしました.
 
質問内容5
 BCIの使用目的を変えると計測チャンネルは変わってくるのか? 
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.質問には,「目的に応じて変わります.運動想起型BCIでは運動野近辺を計測します.P300やSSVEPなどの脳活動を用いたBCIでは後頭部近辺の脳波を計測します.」とお答えしました.
 
質問内容6
 ノイズ除去はどのように行っているのか? 
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.質問には,「交流電源等のノイズはバンドパスフィルタとノッチフィルタで遮断し,体動や瞬き等の成分は独立成分分析によってノイズ除去処理をしました.すべての処理はMATLABのSimulinkとEEGLABを用いて行いました.」とお答えしました
 

  • 感想

本発表会は けいはんな研究シーズ発表会/交流会~大学院生を中心としたホットな研究トピックス紹介!という位置づけで30分間のポスター発表を行いました.発表時間は短かったものの沢山の方に発表を聞きに来ていただき,自分の研究を聞いていただくことができました.今回の発表会では,けいはんなRC事業について理解を深めるとともに,同じ地域の大学院生がどんな研究をしているのかを知ることを目的に参加しました.発表会は2つの講演とポスター発表で構成されていました.参加者は30人程度でしたが,たくさんの先生方に講演を聞きに来ていただくことができました.今回の発表会はジャンルを問わず様々な分野の先生や学生が参加していました.そのため研究の詳細な内容に関する指摘や質問は多くありませんでしたが,生体情報を計測し,それを何かに応用するという私の所属する研究室の研究内容に興味を持って頂くことができました.また異なる分野で研究を進めている大学院生のポスターを見ることで,聞きに来る人にどの程度予備知識があるのかを考慮することの重要性を学びました.私にとって5回目の国内での発表会ということもあり,緊張することもなく発表することができました.また自分の研究を見直すいい機会にもなりました.今回の発表会の中での議論を通して,自分の成長につなげることができたと考えています.また学会に参加できるように毎日の研究と同時に,研究室全体が盛り上がるように日々精進していきたいと考えています.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.

発表タイトル       : 発話音声から話者の状態を知る~音声から疲労を測る試み~
著者                  : 松村寿枝
セッション名       : 講演1

この発表は発話音声の基本周波数から話者の状態を把握する研究の紹介と奈良工業高等専門学校で進められている研究内容の紹介でした.中でも発話者の声を第三者が聞いた際に,発話者の状態によって印象が変わるのかという検証は興味深いものでした.しかし印象の評価と疲労度の評価が主観評価で行われていた点は,生体情報など定量的な情報を用いることで,将来的な使用を想定しているトラックのドライバー向けのシステムなどに応用できると考えました.高校生が行っている研究を聴くことは,自分の研究を進めるうえでいい刺激となりました.
 

発表タイトル       : 継続利用を目的とした対話ロボット
著者                  : 神原誠之
セッション名       : 講演2

この発表は高齢化社会の進む日本において,高齢者の話し相手となる対話型ロボットに関する研究発表でした.この発表では様々なタイプのエージェントが紹介されていました.中でもSNSの情報を吸い上げ,その情報をもとに高齢者の意図をくみ取りながら,自然な会話を行うロボットのデモは興味深いものでした.また今後訪れる超高齢社会についての問題点や,対話型ロボット(エージェント)を用いた新しいビジネスモデルのお話も大変興味深いものでした.本発表では携帯型端末を用いた対話型エージェントの紹介がメインで行われ,機械学習や自然言語処理,ビッグデータ解析などホットなキーワードがたくさん出てきていました.今後自分の研究を深めると同時に,こうしたトピックについても興味をもって理解を深めたいと感じました.
 
参考文献

  • けいはんなリサーチコンプレックスhttp://keihanna-rc.jp/events/event/h29-fwl-4-submit/