同志社大学先端バイオメカニクス研究センター 2013年度研究成果発表会が医心館にて開催されました。
M1の林沼くんが ”医用画像に対するテクスチャ解析手法”というタイトルでポスター発表しました。
学会参加報告書
報告者氏名 |
林沼勝利 |
発表論文タイトル | 医用画像に対するテクスチャ解析手法 |
発表論文英タイトル | Texture Analysis Method for Medical Imaging |
著者 | 林沼勝利,山本詩子,廣安知之 |
主催 | 同志社大学先端バイオメカニクス研究センター |
講演会名 | 2013年度研究成果発表会 |
会場 | 医心館IN409N / G階多目的室 |
開催日程 | 2014/03/07 |
1. 講演会の詳細
2014/03/07に医心館IN409/G階多目的室にて開催されました同志社大学先端バイオメカニクス研究センター2013年度研究成果発表会に参加いたしました. この先端バイオメカニクス研究センターでは生体力学,生体デバイス設計,臨床バイオメカニクス,機能回復支援技術の分野を中心として工学・生命・スポーツ健康科学の横断的な研究・開発を目標としており,今回の発表会では研究センターの1年間の成果の発表の場として講演及びポスター発表が行われました.本研究室からは他に廣安先生が参加しました.
2. 研究発表
2.1. 発表概要
私はポスターセッションに参加いたしました.今回の発表は,早期胃癌の内視鏡画像における正常部位と病変部位の境界線検出を目標として,それぞれの部位の画像の特徴量の差に関する発表を行いました.以下に抄録を記載致します.
本研究では,早期胃癌の内視鏡治療時における適切な切除範囲決定の支援を目的としている.そこで,内視鏡画像に対してテクスチャ解析を行い,得られた特徴量に基づき等高線を描画する手法を提案する.今回の発表では,テクスチャ解析の手法としてランレングス行列または同時生起行列を用いて,正常部位と病変部位で特徴量の差の検討を行った.その結果,ランレングス行列のGLNや同時生起行列のCORでもっとも有意差が出やすいという傾向があった.また,もっとも有意差があった特徴量を用いて内視鏡画像上に特徴量の等高線を描画した結果,目視で目標の境界線に近い線が得られた.GLNやCORは濃度の偏りやパターンの規則性を示す指標であり,現在,医師が内視鏡治療時に判断している情報と同等の情報が得られていると考えられる. |
2.2. 質疑応答
今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
・質問内容1
首都大学東京の長谷和徳先生からの質問です.「技術者が診断を決定してしまうと医師は嫌な顔をしないのか.診断の決定ではなく,診断支援のほうがいいのではないのか.」という質問でした.この質問に対しては「最終的には病変部位から正常部位の変化の段階をみたい.これを達成するため,今回は境界線を検出することを目標とした.」と回答いたしました.
2.3. 感想
今回の発表会では機械系の先生や学生が多く,私の研究を説明するのに少し苦労しました.また,機械系中心ということもあり画像処理よりも内視鏡の装置について興味もってもらえたという印象を受けました.今後はデバイス面の話も詳しくできるようにしておかなくてはいけないなと思いました.
3. 聴講
今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
発表タイトル : システムバイオメカニクス 著者 : 土屋和雄 セッション名 : 基調講演 Abstruct : ヒトや動物は、冗長で複雑な筋骨格系を巧みに動かし動的に変動する環境のもとで適応的運動を実現している。このような生物の優れた運動生成能力の解明のために、筋骨格モデルから身体と環境の相互作用を力学的視点から研究するバイオメカニクスと、筋骨格系を支配し調整する神経系の役割を調べる運動神経生理学的研究を統合したシステムバイオメカニクスの研究が行われている。本講演では、我々が、生物の歩行運動を対象とし、同志社大学学研都市キャンパス快風館に設置された胴体解析実験施設を用いて行ったシステムバイオメカニクスの研究を紹介する。 |
この発表ではシステムバイオメカニクスとはどういうものなのかについて,土屋先生が行われてきた研究の一つである直立姿勢の解析を通して講演がありました.今まで機械工学について触れる機会がほとんどなかったため,どのようにしてデータをとり,解析し,モデルを立てていくのかについて勉強になりました.
発表タイトル :身体運動の順動力学シミュレーションとその応用 著者 : 長谷和徳 セッション名 : 招待講演 Abstruct : ヒトの歩行運動などの身体運動を再現するコンピュータシミュレーションモデルとその応用例について紹介する。このシミュレーションでは身体筋骨格系の力学特性をモデル化し、順動力学計算によって身体運動を生成する。運動制御系は生物の運動発生機序をモデル化し、神経振動子、位相振動子、勾配系などの特性を持つ。シミュレーションモデルの例として、ヒトの二足歩行モデル、ニホンザルの四足歩行モデル、車両乗員モデルなどを紹介する。また、このような運動生成モデルの考えを応用した歩行アシスト機器などについても紹介する。 |
この発表はモーションキャプチャを用いない順動力学による歩行運動などの身体運動のコンピュータシミュレーションに関する講演でした.モデル化するだけでなく様々なアプリケーションへの応用がされており,実際にモデルを応用して実社会問題へ適用することの重要性が感じられました.
参考文献
1) 先端バイオメカニクス研究センター2013年度研究成果発表会, http://www.doshisha.ac.jp/event/2014/0226/event-detail-637.html