進化計算シンポジウム2014

2014年12月19日から20日にかけまして,広島県廿日市で開催されました進化計算シンポジウム2014に参加いたしました.本研究室からは廣安先生,田中先生,白石駿英(M2),松浦秀行(M2),吉田倫也(M2)の5名が参加いたしました.発表題目は以下の通りです.
・視覚刺激判別におけるfMRIボクセル選択への多目的最適化の応用の検討
【田中美里,山本詩子,三木光範,廣安知之(同志社大学)】
・2クラス分類の為の多目的遺伝的プログラミングを用いた特徴量変換手法の検討
【白石駿英,吉田倫也,山本詩子,廣安知之(同志社大学)】
・専門家が良好と判断する角膜内皮細胞画像生成システムーデータベースの利用によるシステム構築の検討ー
【松浦秀行,山本詩子,小泉範子,奥村直毅,廣安知之(同志社大学)】
・fNIRSデータにおけるGAを用いたチャンネルの最適選択による関心領域の検討
【吉田倫也,白石駿英,山本詩子,廣安知之(同志社大学)】
進化計算学会は進化計算の研究をされている先生や学生の多くが参加している学会です.今回参加した進化計算シンポジウムは合宿形式であり,二日間にわたり64件のポスター発表が行われ,非常に活発な議論が交わされておりました.私は1日目の一番目のセッションにて発表しました.発表では多くの方々にポスターまで来て頂くことができました.進化計算の学会ということもありGAのパラメータの話や,システムの構成の話など幅広い内容でご意見を頂くことができ,非常に有意義な発表となりました.懇親会では,他大学の学生や先生方とお話をすることもでき,親交を深める良い機会にもなりました.
最後に,今回の学会参加に当たり,廣安先生,山本先生をはじめ,研究室の皆様には大変お世話になりました.参加者を代表し,この場を借りて厚く御礼を申し上げます.121_large図1図2
【文責:M2 松浦】

学会参加報告書

報告者氏名 白石駿英
発表論文タイトル 2クラス分類の為の多目的遺伝的プログラミングを用いた特徴量変換手法の検討
発表論文英タイトル A method of multiple feature construction for two symbolic  classification problems using Multiobjective Genetic Programming
著者 白石駿英, 吉田倫也,山本詩子,  廣安知之
主催 進化計算学会
講演会名 進化計算シンポジウム2014
会場 安芸グランドホテル
開催日程 2014/12/20-2014/12/21

 
 

  1. 講演会の詳細

2014/12/20から2014/12/21にかけて,広島県廿日市市にて開催されました進化計算シンポジウム20141)に参加いたしました.この進化計算シンポジウム2014は,一般社団法人進化計算学会によって主催ており,進化計算アルゴリズムの理論や応用についての様々な発表がありました.私は全日程に参加いたしました.本研究室からは他に廣安先生,田中先生,松浦さん,吉田さんが参加しました.
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は21日の午前のポスターセッション4に参加いたしました.発表の形式はポスター発表で,1時間半の間議論を行いました.
今回の発表は,2クラス分類による識別・汎化能力を高める為の多目的遺伝的プログラミングを用いた特徴量変換法を検討しました.高次元のデータ数の偏りの大きいデータに対して,2クラスの識別率を目的関数として多目的最適化することを考えました.また,多目的最適化のアプローチとしてNSGA-ⅡとSPEA-Ⅱの2手法を比較し,識別手法に対して,閾値の総当たり法と理想閾値法の2手法について考慮しました.以下に抄録を記載致します.

一般に識別の問題に関してデータのクラス間のサンプル数に偏りが見られる場合には,多数のデータをもつサンプルに識別率が偏るといった問題がある.本稿では,複数のクラスの識別率の最大化を目的として,多目的遺伝的プログラミングによる変換式の最適化を行った.その結果を最適化手法としてNSGA-ⅡとSPEA-について,識別手法として閾値総当たり法と理想閾値法の比較検討を行った.結果としてデータに偏りのある場合に,理想閾値法が閾値総当たり法よりも識別精度が良くなり,得られる特徴量平面も識別に適した平面を獲得した.

 

  • 質疑応答

今回のポスター発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
室蘭工業大学の渡辺先生からの質問です.多くの質問を頂きました.その中で,重要な質問として,今回比較した単目的の手法が,偏りを考慮した評価でなかったこと.木構造の解析についての記述がなかったこと,多クラス分類についてなどです.これらについて今回の発表では,十分に考察できていなかったので,今後十分に考察を深めていきたいと思います.
 
・質問内容2
大阪大学の岡本先生からの質問です.先生がおっしゃられていたことで最も印象に残って議論した内容が,高次元の特徴量空間を1次元に落とすのではなく,高次元データを用いたカーネル関数の構築を行うことについて比較することを指摘していただきました.この項目に対しましても,改めてSVM周辺についても理解を深める必要があり,特にカーネル関数と識別超平面については早急の検討課題であるように感じました.今後の研究に生かしていきたいと思います.
 

  • 感想

今回の発表は今年4回目の学会発表であり,発表することと,今後についてのsuggestionを受けるための機会として活用しようと思い,ある程度それが対応できたかなと思います.今後は,この経験を生かして,修士論文の完成度を上げるように取り組んでいきたいと思います.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の2件の発表を特に聴講しました.
 

発表タイトル  : 遺伝的プログラミングにおける木構造間特徴量を考慮した並列モデルの検討著者          :鳥山 直樹, 近藤 魁, 小野 景子
セッション名  : ポスターセッション2
Abstruct        :遺伝的プログラミング(GP)において, 遺伝子の多様性を広げることはより良い解を得るための重要な要素のひとつである. 対象問題に適する遺伝的オペレータである交叉, 突然変異および選択が与えられたとき, 更にGPの遺伝的多様性を増加させる方法として, 島モデルの適用は最も基本的な方法であるといえる 島モデルGPの性能を向上には効果的な個体の移住法が必要であり, 本研究では移住個体の選択について考える. GPは解を木構造で表すことができるため,移住個体の選択に関し,評価値以外の木構造特有の特徴量を考えることができる.しかしながら,この特徴量を求めるには多くの計算量が必要であるため,これまで島モデルGPに適用されてこなかった.本研究では木の編集距離(リーベンシュタイン距離)に着目した島モデルGPの移住法を提案する.

この発表は遺伝的プログラミングの編集距離を評価値として,解の多様性を保ちながら最適化を試みるといった内容であった.編集距離としてリーベンシュタイン距離というものを用いていましたが,それが評価値空間に与える影響がどのようなものなのかということに非常に興味をもちました.また,発表者は3回生で,自分がその時期に何をしていたかなと思いを馳せました.やはり木構造の構造についてなんらかのアプローチをとることは非常に重要であると感じました

発表タイトル    :Cartesian Genetic Programming を用いた階層的な特徴量の自動構築と画像分類への応用著者          :齊藤 航太, 長尾 智晴
セッション名  :ポスターセッション3
Abstruct        :本報告では,特徴量の次元数を徐々に減らしていくことで情報量の欠落を抑え,認識精度を保ちつつ特徴量を低次元化する手法を提案する.提案モデルは,階層構造であり,第1層が既存特徴量(数千次元以上)である.第2層以降は前層の次元数を徐々に減らした次元数となり,最終的にはデータ分布を可視化するために3次元まで低次元化する.第2層以降では,前層の特徴量を入力とし,1次元ずつCartesian Genetic Programming(CGP)を用いて決められた次元数だけ特徴量を構築する.本報告では,既存特徴量として画像特徴量を用い,画像分類に応用する.画像分類実験では,一般画像について対象画像と非対象画像の2クラス分類問題とカプセル内視鏡画像において,病変があるかどうかを分類する2クラス分類問題に適用する.提案手法は特徴量の構築手法であるため,3種類の分類器を用いて既存特徴量と構築した特徴量のそれぞれを用いた分類精度の比較を行う.

この発表では,私と似た良ように,特徴量の次元数を低次元化し,識別率の向上と変換した特徴量の解釈性の向上を求めている.GPを階層的に組み合わせるといったところに面白さを感じました.しかし,手法を適応することで高い識別率を得ることに至っていないことが不思議でした.構築するGPに対する入力層の働きや,各中間層にどのような重みを掛けるのかということが非常に難しいのではないかと思いました.しかし,精度としてはそこまでよくないが,変換した際の3次元の特徴量平面の分布の構造には画像の特徴を得たような結果がでているといったことでした.
 
参考文献

  • 進化計算シンポジウム2014, http://www.jpnsec.org/symposium201403.html

学会参加報告書

 
報告者氏名
 
松浦秀行
発表論文タイトル 専門家が良好と判断する角膜内皮細胞画像生成システム
ーデータベースの利用によるシステム構築の検討ー
発表論文英タイトル System generating better cell images based on the judgement of experts
– Examination of building a system using databases-
著者 松浦秀行,山本詩子,小泉範子,奥村直毅,廣安知之
主催 進化計算学会
講演会名 進化計算シンポジウム2014
会場 安芸グランドホテル
開催日程 2014/12/20-21

 
 

  1. 講演会の詳細

2014/12/20から2014/12/21にかけて,広島県廿日市市にある安芸グランドホテルにて開催されました進化計算シンポジウム2014に参加いたしました.本シンポジウムは,進化計算学会によって開催されたシンポジウムで,ポスターセッションを基本とし,ショートプレゼンを併用することで活発な情報交換を行うことを目的としています.
私は20日,21日の全ての日程に参加いたしました.本研究室からは他に廣安先生,田中先生,白石,吉田が参加しました.
その講演会が,どういう主旨,研究領域の研究会なのかについて説明
・講演会のWebサイトがあるなら,講演会名の点で参照する
・自分の参加日程と,他の参加者について説明
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は20日の一つ目のセッションに参加いたしました.発表の形式はポスター発表で,2分半のショートプレゼンと約60分のポスター発表となっておりました.
今回の発表は,専門家の角膜内皮細胞診断における,専門家の判断基準の抽出を目的としたシステムをデータベースを用いて構築し,システムの有用性を評価する実験を行った結果についての発表でした.以下に抄録を記載致します.

近年,角膜の病気に対する治療では専門家の目視によって角膜の評価が行われているが,目視による判断は専門家によって精度が異なる問題がある.そのため,大規模システムによる診断の自動化が求められている.よって,本研究では大規模システムによる診断の自動化の前段階として細胞診断における客観的評価基準の確立を目的とし,専門家が良好と判断する角膜内皮細胞画像を生成するシステムをデータベースを用いて構築した.本稿では,構築したシステムの概要とシステムの有用性を評価する実験の結果について述べる.

 
・自分の講演日程,セッション名,発表形式
・今回の発表内容について簡単に説明

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
・質問内容1
「このシステムは将来どういった使い方をするんですか?」
三菱電機の太田さんから質問頂きました.この質問に対しては,「構築したシステムでは,多くの専門家から判断基準を抽出し,その抽出した基準から入力画像の状態を診断しその結果を専門家に提示していきます.このシステムでは専門家の診断の補助を想定しています.」
・質問内容2
「モデル画像を生成するにはどうしているのか?」
この質問を頂いた方の名前は控えることができませんでした.この質問に対しては,「本システムで使用しているモデル画像は細胞数,面積SD値,六角形率の三つの特徴量を持っており,ボロノイ図を利用して作成しています.ボロノイ図の母点の数を細胞数とし,分割された領域の面積の標準偏差を面積SD値,六角形の数をした領域の割合を六角形率としています.構築したシステムではあらかじめ大量のモデル画像を生成しておき,その画像群の中からユーザに提示しています.」
 

  • 感想

今回の学会は昨年に続き二度目の参加でした.ショートプレゼンでは時間が大幅にオーバーしてしまいどうなるかと思いましたが,ポスター発表では多くの方に来て頂けたのでとても有意義な発表でした.また,自分の他にも進化計算の研究をされている方々の発表を聴いて,もっと自分も頑張らないといけないなと感じました.修士論文提出まで残り少ない時間ではありますが,精いっぱい研究活動に取り組んでいきたいと思います.
 
 
 
 
 
聴講
今回の講演会では,下記の4件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : 進化型多目的最適化による空調制御
著者                  : 太田恵大,浮穴朋興,三浦健次郎
セッション名       : ポスターセッション

この発表では,空調によるオフィス環境改善のため,進化型多目的最適化を用いて最適な空調設定の組み合わせを求めるというような内容でした.この発表では空調設定の組合せから,快適性・消費電力を算出するモデルを定義しており,そのモデルを用いて空調制御問題を多目的最適化問題として定式化していたところが非常に面白いと感じました..
 
 

発表タイトル       :個体ベース協調フィルタリングを利用した対話型遺伝的アルゴリズム
の提案
著者                  :板東 信太朗,瀬山貴仁,棟朝雅晴
セッション名       :ポスターセッション

この発表では,協調フィルタリングを用いて個体を分類し,クラウドを使って複数の人が協調して評価することによって一人の評価回数を減らすといった発表でした.私もiGAの研究をしているため,iGAの問題点である評価回数の削減をあらかじめ個体を分類し,評価させることで実現しようとするアプローチに非常に面白さを感じました.また,データベースを使ってクラウド上で大規模に評価を行うといったところにも興味を惹かれました.
・発表タイトル,著者,セッション名,抄録を書く
・そのレビューを書く
 
 
参考文献

  • 進化計算シンポジウム2014, http://www.jpnsec.org/symposium201403.html