【速報】生体医工学シンポジウム2015

生体医工学シンポジウム2015が 岡山国際交流センター で開催されました。
研究室からは 3名の学生がポスター発表しました。

学会参加報告書

 報告者氏名 岡田雄斗
発表論文タイトル NBI内視鏡画像の胃癌診断時における客観的指標の構築のための色空間の検討
発表論文英タイトル Analysis of color space to construct objective indicator for NBI Endoscopy Image when diagnose a method for gastric cancer
著者 岡田雄斗,林沼勝利,市川寛,八木信明,廣安知之
主催 日本生体医工学会
講演会名 生体医工学シンポジウム2015
会場 岡山国際交流センター
開催日程 2015/09/25-2015/09/26

 
 

  1. 講演会の詳細

2015/09/25から2015/09/26にかけて,岡山国際交流センターにて開催されました生体医工学シンポジウム2015(http://www.bme.ous.ac.jp/jbmes2015/index.html)に参加いたしました.このシンポジウムは,生体医工学分野の発展の一助とするため 研究者間のコミュニケーションの場の提供、理工系・医学系研究者の研究活動促進、 若手研究者の本分野への勧誘、迅速な研究成果報告の機会の提供を目的に開催されています.
私は25,26日に参加いたしました.本研究室からは他に廣安先生,田村,後藤が参加しました.
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は26日の午後のセッション「医用画像,医療システム・手術支援・シミュレーション」に参加いたしました.発表の形式は,2分のショートプレゼンと60分のポスター発表となっておりました.
以下に抄録を記載致します.

近年,狭帯域光観察(NarrowBandImaging:NBI)内視鏡が胃癌の診断で注目されている.NBI内視鏡画像では,病変部位は正常部位と比較して微小血管構築像や表面微細構造が消失,不均一などの所見が得られる.現在,病変部位の診断は医師の目によって行われている.この診断には客観的な指標がないため,医師の熟練度により診断に差異が生じる.そのため,従来の研究ではNBI内視鏡画像に対して同時生起行列やランレングス行列を用いて解析することにより病変部位を特定する手法の提案が行われている.しかしこの手法では,画像によっては病変部位を全く異なる部位を強調してしまい,客観的な指標とするには困難であった.そこで,入力画像をグレースケールに変換しているために色情報が欠けてしまったことが原因であると考え,本稿では複数の色空間において特徴量を算出し,解析を行うのに最適な色情報について検討を行う.今回の実験では,HSV,HLS,YCrCbの3つの色空間について特徴量を算出し,AUCを用いて評価を行った.
結果,HSVの色相とHLSの輝度においてグレースケール変換時よりもAUCが大きくなる画像が多くなる結果が得られた.

 

  • 質疑応答

今回のポスター発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.こちらの質問はなぜ画像を16階調に減色しているのか?というものでした.この質問に対して私は「私の研究グループでの先行研究で16階調まで減色しても必要な情報は残ると考えられているためです.」と返答しました.
 
・質問内容2
質問者の氏名を控え損ねてしまいました.この質問に対する回答ですが様々な色情報を使っているなら組み合わせてみてはどうか?というものでした.この質問に対して私は「今後は組み合わせていきたいが,画像の種類によって良い色情報が異なるため難しいかもしれない.」と返答しました.
 

  • 感想

今回,初めて学会に参加しましたが,様々な分野の研究を聞くことができて非常に勉強になりました.発表に関しては,自分の知識の無さを痛感し,まだまだ勉強することが必要であると身を引き締めることができました.今後この学会でいただいた質問や,感じたことを活かして卒業論文につなげていきたいと思います.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : 皮膚色の変動による心拍数の非接触計測著者                  : 高森果耶,窪田佳寛,寺田信幸セッション名       : 生体計測
Abstruct            : 人間が肉眼でとらえることのできない譲歩王は数多くあり,その一つが血液の循環に伴って微小に変化する人間の皮膚色である.この色の変化を画像処理によって可視化し,数値化することで,非接触かつ体動や呼吸の変動の影響を受けにくい心拍数の計測方法を提案する.

この発表は顔色から心拍数を計測するための実験でした.この研究の手法は顔の画像を撮り,画像処理にてRGBの色情報の変化をグラフ化するし,実際に計測した心拍数と照らし合わせることで関連性をみようとするものでした.この技術が完成すれば,医療において心拍数の計測がかなり容易となり,心拍数の時間変化も読み取れるようになり,医療現場での応用が期待できる技術だと思いました..
 

発表タイトル       : 胃・食道組織を対象とした近赤外空間分解分光計測の特性解析著者                  : 富松慧介,庭山雅嗣セッション名       : 生体計測
Abstruct            : 現在,胃癌の診断では狭帯域光観察等の内視鏡技術が広く用いられている.癌組織及び術後潅流の良好ではない組織は低酸素状態であることが報告されているため,近赤外分分光法(NIRS)を内視鏡と併用することが初期胃癌診断,食道術後診断には有用であると考えられる.そこで,本研究では胃・食道組織の最適な空間分解計測の方法を検討した.

この発表で着目したのは癌組織及び術後潅流の良好ではない組織は低酸素状態であることです.現在画像処理によって胃癌の特定を行おうとする研究が行われていますが,段階的な評価が難しいという欠点があり,それを解決するためにNIRSを使って解析しようという手法でした.この技術と画像処理を両方使うことで,よりよい医療が行われると思いました.
 
参考文献

  • 生体医工学シンポジウム2015, http://www.bme.ous.ac.jp/jbmes2015/index.html

学会参加報告書

 報告者氏名 田村陵大
発表論文タイトル CNN を用いた fMRI 時系列データの解析手法の提案
発表論文英タイトル Proposal of analysis technique of fMRI time series data using CNN
著者 田村陵大, 廣安知之, 蜂須賀啓介,奥野英一
主催 日本生体医工学会
講演会名 生体医工学シンポジウム2015
会場 岡山国際交流センター
開催日程 2015/09/25-2015/09/26

 
 

  1. 講演会の詳細

2015年9月25日から26日にかけて,岡山国際交流センターにて開催されました,生体医工学シンポジウム2015(http://www.bme.ous.ac.jp/jbmes2015/index.html)に参加いたしました.このシンポジウムは日本生体医工学会によって主催されたもので,学生や教員,企業の研究所の方が参加して,生体医工学分野の発展のために研究成果の迅速な報告の機会の提供を目的に開催されています.
私は両日とも参加いたしました.本研究室からは廣安先生,後藤,岡田,田村が参加いたしました.
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は25日の午前のセッション「生体計測4」に参加いたしました.発表の形式は2分間の口頭発表で,その後ポスターで1時間の発表を行いました.
今回の発表は,以下に抄録を記載致します.

題目:CNNを用いたfMRI時系列データの解析手法の提案研究目的:Deep Learningを用いたfMRIデータの解析手法の提案
本発表の内容:4次元データをDeep Learningで学習するための検討
提案手法:CNNを用いたfMRI時系列データの解析手法の提案
評価実験:Working Memory課題時のfMRIデータを課題難易度で分類
結果:課題難易度と関係がある前部帯状回で高い識別率

 
 
 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
京都大学大学院の方(名前を控えておりませんでした)からの質問です.こちらの質問は「fMRIデータをなぜ4次元と呼んでいるのか」というものでした.この質問に対する私の回答は「脳は立体構造なので3次元,そこに時系列の1次元が合わさるので合計4次元という解釈です」
・質問内容2
明治大学大学院の初田さんからの質問は「CNNの構造はどうなっているのか」という質問でした.それに対する私の回答は,ポスターを交えながら,モデルの学習と特徴量抽出部分を説明いたしました.
 

  • 感想

今回参加いたしました生体医工学シンポジウム2015では,私のように機械学習を用いた研究はまだまだ少ない印象を受けました.しかし,これから増えていくことを,ポスター前の質問対応で実感いたしました.質問の多くが,Convolutional Neural Networkに関係する質問で,多くの方が興味をもってくださり,注目されはじめている分野であると感じました.口頭発表では,少し緊張してしまい,あまり良い発表ではなかったと反省しております.まだまだ発表に対する練度が足りていないと改めて思いました.本発表を通じて改めて反省点を見つけ,自分の研究に対するモチベーションが上がりました.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.

発表タイトル       : 磁性ナノ粒子イメージングにおけるニューラルネットワークを用いた  画像再構成法に関する基礎検討著者                  : 初田 朋希, 土屋 寛貴, 高木 智幸, 石原 康利
セッション名       : 医療システム 手術支援 シミュレーション
Abstract  :近年,新たな医用画像診断技術として,磁性ナノ粒子イメージング(Magnetic Particle Imaging: MPI)が注目を集めている[1].MPIは,生体内に投与した磁性ナノ粒子(Magnetic Nano Particle: MNP)の磁化信号を体外から検出し,画像化する技術である.しかし,MPIにおける 従来の画像再構成法[2]では,検出されるMNPの磁化信号が微弱な場合において,目的領域内外の磁化信号の識別が困難となるため,画像ボケが発生し,画質が低下する問題があった.そこで,本研究ではニューラルネットワーク (Neural Networks: NN)を用いた画像再構成法を提案する.この手法は,画像ボケが生じるパターンのデータセットを十分に学習することにより,磁化信号を正確に識別できると考えられるため,画像ボケの低減が期待される.ここでは, その有効性を数値実験により検証する.

この発表は磁性ナノ粒子イメージング(MPI)と呼ばれる新しい医用画像診断技術で,この手法を実用化するための研究を行っているとのことでした.MPIはMRIの簡易型のようなもので,価格もMRIの半額以下になると予想されており,実用化されれば,多くの病院で導入が期待されています.実用化するために,得られた信号を画像化する上で,画像のボケが生じてしまう問題がありました.その問題を解決するために,ボケをニューラルネットワークで解消してみるという研究でした.しかし,この発表で行われていたことは,特定のデータのみを学習して画像の復元を行っているために,他のデータを入力して復元できるかどうかは検討できていませんでした.多種多様なデータを用意し,より高度な学習を行うべきだと考えました.
 

発表タイトル       :fMRI による日本語分節処理課題中の脳機能解明著者                  :堀 諭,飯島淳彦,中原 潔,足立雄哉,長谷川功
セッション名       :生体信号処理
Abstract            :言語処理に関する多くの脳機能研究では,統辞処理,音韻処理,文理解処理など様々な要素が検討されている[3]が,分節処理に関してあまり調べられていない.日本語においては空白による分節位置の明示は,文章の読みやすさを変化させるだけでなく,文が持つ意味を変えることもある.本研究では,分節処理を調べるため,文の空白により分節を明示的にした文とそうでない文の意味理解中の脳内活動を,fMRIを用いて分析した.これにより,分節処理に選択的に活動する脳領域が存在することを検証した.

この発表で着目したのは日本語の文節処理課題でした.日本語の文節は難しい問題だと思われます.まず,日本語は複数の表現ができる言語であることが考えられます.漢字とひらがなの混合,ひらがなのみ,カタカナのみなど,多くの組み合わせパターンが存在し,日本語の文節を考えると,どこの部分を指しているのか不明瞭でした.発表では,全てひらがな表記の文章を意味のあるところでスペース区切りにされているものと,意味の分からないところで区切られているものを被験者に呈示し,その時の脳活動をfMRIで計測した,という内容でした.この時問題となってくるのが,通常,日本人はひらがなで表記されたものが漢字に変換可能である時,意識的に脳内で変換を行っていると考えられます.したがって,ひらがなのみの文章を読んだ被験者の脳活動には,そういった脳内の変換作業が含まれてしまうことが考えられ,日本語の文節理解時の脳活動の計測が正しく行われていないということを思い,質問をいたしました.検討してみますという回答を得られました.
学会参加報告書

 
報告者氏名
 
後藤 優大
発表論文タイトル 学会参加報告報告書
発表論文英タイトル Conference Report
著者 田中美里, 奥村直樹,小泉範子 廣安知之
主催 医療情報システム研究室
講演会名 生体医工学シンポジウム
会場 岡山国際交流センター
開催日程 2015/09/26-2015/09/27

 
 

  1. 講演会の詳細

2015/09/26から2015/09/27にかけて,岡山国際交流センターにて開催されました生体医工シンポジウム2015に参加いたしました.この学会は,生体医工学分野の発展の一助とするため 研究者間のコミュニケーションの場の提供、理工系・医学系研究者の研究活動促進、 若手研究者の本分野への勧誘、迅速な研究成果報告の機会の提供を目的として開催されています.
私は26,27日共に参加いたしました.本研究室からは他に廣安先生,田村,岡田が参加しました.

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は27日の午後のセッション「医用画像」に参加いたしました.発表の形式は口頭発表で,2分の講演時間と1時間のポスター発表を行ってきました.
今回の発表の抄録を記載致します.

講演日程: 2015/09/27
セッション名:医用画像
発表形式:ポスター発表
題名:角膜内皮細胞の生体内増殖における
近年,コンタクトレンズや眼内手術の普及,社会全体の高齢化により角膜障害が増加している.角膜内皮細胞は再生能が低く,外傷や病気で傷付いたり減少したりすると,視力が著しく障害される.角膜内皮細胞に起因する障害は問題とされており,これを解決するための治療法として角膜内皮再生医療が注目されている.そこで,角膜内皮再生医療ではRho キナーゼの特異点阻害剤であるY 27632 を点眼することにより細胞増殖を促進させ,内皮損傷の治療を早める効果が得られることが明らかとなった.角膜内皮再生医療は細胞の状態を判断するための品質評価が重要となっている.品質評価の方法として,光学顕微鏡を用いて撮像した内皮細胞画像から細胞数や面積のばらつき,形状といった培養指標を計測する方法がある.現状の再生医療では,研究者がこれらの指標を目視で判断すため,その精度は研究者の知識や経験によるものが大きい.さらに,光学顕微鏡で角膜内皮細胞を撮像すると局所的にしか撮像できず,撮像した範囲が良好であっても,他の範囲に細胞密度が低い範囲が存在する可能性も考えられる.そのため,角膜内皮細胞の品質評価をする際には大局的な細胞集団を観測しなければならない.よって広範囲で角膜内皮細胞を観察し,特徴量を抽出できる画像を抽出することが望まれている.そこで本稿では,角膜内皮細胞の動画を撮像することができる接着顕微鏡を使用し,細胞全体を撮像する.そして得られたが動画より,内皮細胞全体画像を作成し,細胞の数と各細胞の面積を算出するシステムを提案しました.

 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
目薬に含まれている,成分は何ですか.
Rhoキナーゼ特異剤のY-27632です.
・質問内容2
フレームにノイズが多く含まれていますけど,どのようにノイズを除去しているのですか.
平滑化などでノイズを除去しています.
・質問内容3
画像に対して,周波数的に評価したらいいんじゃないか
・質問内容4
評価をどのようにしていくがが重要じゃないかな
・質問内容5
成長型ニューラルガスは何のためにしているのか
未分割領域を無くすためです
 

  • 感想

たくさんの人と,議論することができて勉強になった.
大勢の前でスピーチをしても,ハキハキしゃべることができ,自分の成長を感じることができた.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : デジタル画像処理を用いたOCTにおける角膜層の自動測定
著者                  : 宮田浩史
セッション名       : 生体計測
Abstruct            : 我々はOCTを用いた皮膚化への臨床応用に取り組んでいる.特に人指先の涙腺の三次元構造解析を行い,多汗症診断の応用を検討している.エクリン涙腺を含む皮膚表演の角質層は水分保持や
バリア機能などの重要な役割を果たしており,その機能を詳細に理解するうえで,構造変化をミクロに把握することが重要である.OCTを用いた組織病理学的な皮膚科への臨床応用は盛んで二行われている.構造変化を把握することはアトピー性皮膚炎や多汗症などの診断多,美容における皮膚評価において重要な要素である.そこで,本研究では,フィルタリングやクロージング・オープンイング処理などのデジタル画像処理を用いたOCT断層像におけるかくしてそうの精密測定法を考案し,人指先の断層面における角質層厚の自動測定を行った.

適応型部分移動平均フィルタに着目した.画像により平滑化のウィンドウサイズを変化を自動にすることで様々なデジタル画像に対応したフィルタである.

発表タイトル       :重力変化における右心昨日の非侵襲測定
著者                  : 水田萌木
セッション名       : 生体医工
Abstruct            : 現在,外耳道内から得られる生体信号は,バイタルサインモニタなど様々な医療測定分野二応用が期待されている.我々は,耳栓状の装置を装着し,外耳道の内圧変化を低周波差圧センサーで検出することにより得られる耐震動~,心拍に対応した信号を取り出すことに成功した,その外耳道空間で検知される微弱な体振動の中心的なものが静脈圧変動であると考えられた.そこで今回,加重力・微小重力下で,我々が開発した外耳道内圧測定装置を行い,宇宙環境における右心機能診断装置としての有用性を検証した.

この発表で着目したのは加重力・微小重力下です.生体計測という分野では研究環境は非常に大事だと考えます.無重力という日常生活ではなかなかない環境を作り研究することはとても面白いなと感じた.