進化計算シンポジウム

2015年12月19日から20日にかけて,愛知県西尾市蒲郡にて開催されました第9回進化計算シンポジウム2015に参加いたしました.進化計算シンポジウムでは,進化計算分野の活性化を図るために議論・ショートプレゼン・ポスターセッションがあり,今後の進化計算分野の大きな発展を目的に開催されています.本研究室からは廣安先生,日和先生,田中先生,石田和(M1),原田(B4)が参加しました.シンポジウム2日目にあたる20日に,石田和(M1),原田(B4)がショートプレゼン・ポスターセッションを行いました.発表題目は以下の通りです.
 
進化計算手法を活用した脳神経繊維追跡手法の提案
石田和,日和悟,廣安知之
Geographic Knapsack Problem における遺伝的アルゴリズムの探索速度の検討
原田圭,田中美里,日和悟,Heiner Zille,Sanaz Mostaghim,廣安知之
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また,2日目の締めくくりには,四人の先生方によるパネルディスカッションが「Evolutionary Computation Vision 2025」というタイトルで行われ,廣安先生も四人目のパネラーとして発表されました.パネルディスカッションでは,進化計算の研究の進め方に始まり,小さな研究成果でも国際論文に積極的に出していくことの重要性や人間の進化も進化計算に入るのか,2025年に実現するといわれる超進化は起こるのか,それは人間自身の能力の向上がカギなのではといった,白熱した議論が繰り広げられました.そんな中,廣安先生は,同志社の創始者である新島襄が理系だったことの紹介から始まり,2025年には人口減少による人員・人材確保の困難さ,スパコンで扱える膨大な計算量を一体何に使っていくか,最後にはDeep learningが進化計算において注目の一手に成り得るのではないかということを問いかけて,締めくくられていました.このパネルディスカッションにおいて,質疑応答においても学生からの意見も多数よせられ,今後の進化計算分野について熱く語り合う場となりました. 
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今回は私にとって初めての学会であったため,大変緊張しました.ポスターセッションでは,多くの方が興味を持ってきてくださり,終始質疑応答に追われたために,緊張する暇もなく,多くのことに気づかされ,そしてまだまだ学ばないといけないことがあると感じた時間となりました.それは,多目的最適化であったり,解分布の考え方であったり,それこそ個体の成長を動画で説明していた方もおられたり,普段の研究室では見れない,進化計算の深層を突き詰めた研究に触れることが出来ました.
一方で,そのポスターセッションが始まるまではとても緊張しましたが,それは発表が二日目であったことだけではありません.この進化計算シンポジウムでは,教授の方同士で知り合いが多く,また学生同士でも関係を深められるように様々な工夫が施されてありました.違う学校の生徒との共同部屋,全員での宴会,小さい部屋でこれでもかというくらい大勢の人が集まる二次会,山の頂上に隔離された合宿場(ホテル),そして駅からホテルまで30分の貸切バスによる移動...そのような中で,初日に自分の発表について復習できるような時間はなく,研究室にいるときに,これでもかというほど試行錯誤を繰り返して準備をしていてよかったです.
最後に,本学会参加に当たり,先生方,文脈班,フュージョン班,研究室の皆様には,ショートプレゼン・ポスターと計四回のリハーサルをはじめ,大変お世話になりました.この場を借りてお礼申し上げます.今回の学会発表で得られた経験やアドバイス,反省点を今後の研究や発表に活かしていきたいと思います.
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【文責:B4 原田】

学会参加報告書

報告者氏名 石田和
発表論文タイトル 進化計算手法を活用した脳神経繊維追跡手法の提案
発表論文英タイトル A proposal of nerve fiber tracking method using evolutionary computing technique
著者 石田和,日和悟,廣安知之
主催 進化計算学会
講演会名 第9回進化計算シンポジウム2015
会場 グリーンホテル三ヶ根
開催日程 2015/12/19-2015/12/20

 
 
 

  1. 講演会の詳細

2015/12/19から2015/12/20にかけて,愛知県西尾市のグリーンホテル三ヶ根にて開催されました第9回進化計算シンポジウム2015に参加致しました.本学会では,進化計算に関する研究の推進および知識の普及を図り,学術の発展に寄与することを目的とし,同分野に従事する研究者が集まり議論を行う学会となっております.
私は19,20日の2日間参加致しました. 本研究室からは他に, 廣安先生,日和先生,田中先生,B4の原田くんが参加致しました.
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は学会参加2日目の20日に行われましたのポスターセッション3に参加致しました.発表の形式は,ポスター発表前にスライドを用いたフラッシュトークを各2分行ない,その後ポスターにて1時間議論を行う形式でした.
今回の発表は,進化計算手法を活用した脳神経繊維追跡手法の提案という題で発表しました.発表内容は脳内の神経線維追跡手法における既存手法の追跡アルゴリズムに最適化手法の1つである蟻の郡行動をモデルとしたACOアルゴリズムを組み込むことで,精度の向上を図る新規手法の提案を致しました.詳細に関しましては以下に記載致します.

本稿では,複雑な神経線維構造に対し,より精度の高い追跡を可能にすることを目的とし,神経追跡アルゴリズムにおける新規アルゴリズムの提案を行った.実験では,crossing構造の脳神経線維を模擬したテストデータを作成し,既存手法のEuler法と提案手法による追跡精度の検討を行った.結果,Euler法では,FA値の判定条件を下回り追跡が停止するか,FA値の判定条件を変化させても,設定されたベクトル方向によって追跡方向が誤る結果となった.よって,Euler法ではcrossing構造の脳神経線維に対して,より正確な追跡を行うのは困難であると考えられる.一方,提案手法を用いた追跡ではcrossing構造のテストデータに対して有効な修正結果を得ることが出来た.また,実験結果を通して,本提案手法では探索回数よりも探索に関わるagentの数が追跡修正に大きく影響していると示唆された.しかし,提案手法の経験情報における慣性力の強さによって,他の複雑な神経線維構造の追跡において誤追跡の要因に成りかねないと考えられる,よって,今後は経験情報における慣性力の最適な影響力を検討する.また,提案手法における,他の複雑な神経線維構造を模擬したテストデータに対する,追跡精度の検討も行いたいと考える.

 
 
 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
ポスターセッションでは様々な方々から質問を頂いたので纏めて記載させて頂きます.質問内容は,「慣性を用いているがkissing構造に対しての有効性が感じられないが有効なのか?」,「脳神経繊維追跡手法で用いている追跡指標はどんな値?」,「テストデータは実データを模擬しているのか?」,「テストデータは物理モデル的なものを作成したのか?」などの質問を頂きました.これらの質問に対しての私の答えは「kissing構造への有効性はkissing構造のテストデータを作成し,検討してみないと分かりません」,「追跡で用いるのは脳神経繊維の存在の有無を判別するFA値と繊維方向を決定する方向ベクトルです」,「テストデータは数値モデルでしかなく,物理モデルを作成したわけではありません」というものでした.
 

  • 感想

今回のポスター発表では,そもそも脳神経繊維追跡手法とはどのようなものなのか,また,進化計算手法であるACOアルゴリズムをどのように用いたのかはディスカッションを交えることで聴衆に伝えることは出来たと思います.しかし,実際の脳神経では,kissing構造とcrossing構造をどのように判別しており,実際にどのような画像データとして得られるのかなど,実データにおける問題点の実際の画像情報等を明記する必要性があるように感じました.また,今回の発表で,「kissing構造とcrossing構造の判別のために実データから特徴を抽出し統計的に判別するのはどうか?」,「テストデータも実データを正確に模擬する必要性がある」,「局所的に追跡方向の修正をするのではなく巨視的に見てみるのも良いのでは?」などといったアドバイスを頂きましたので,今後の研究ではこれらの検討項目も踏まえて研究していこうと思います.

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル    :超大規模Multi-Depot Vehicle Routing Problemsに対する分割統治法の概念を利用した新たな探索フレームワークの提案著者                  : 伊藤 匡志,渡邉真也,榊原一紀
セッション名    : ポスターセッション1
Abstract            :Vehicle Routing Problems(VRPs)は,配送計画問題または運搬経路問題と呼ばれ,配送センター(Depot)から複数の需要地への配送を効率的に行おうとする配送ルート決定問題であり,実務的な問題として1950年代より数多くの研究がなされてきた.VRPsは総移動距離だけでなくビークルの台数,各経路間の移動距離の分散度合いなど本質的に多目的の要素を内包していることから,進化型多目的最適化(Evolutionary Multi-criterion Optimization,EMO)をVRPsへ応用した研究も数多く報告されている.情報のビッグデータ化に伴い幅広い分野で扱うデータや問題自体が大規模化しており,大規模VRPsにおいても,組み合わせ爆発,計算コストの増加などの問題が生じ,従来手法では現実的な時間内にユーザーが妥協できる品質の解を導出することが難しい.そこで,上記の問題を解決するこれまでの方策として部分問題化を提案していた.しかし,領域分割によってできた境界線がルート形成に悪影響を及ぼすといった問題が発生しているため,本研究では境界線を越えたルート形成をするために,遺伝的操作に円形分割スキーム及びデポ分離線付近の重点探索メカニズムを組み込んだ.

 
この発表では,運搬経路問題と呼ばれる配送ルートの効率化を目的とする配送ルート決定問題で,最適な領域分割および段階的統合という2つの特徴を有する新たな探索フレームワークとして,遺伝的操作に組み込んだ円形分割スキームとデポ分離線付近の重点探索メカニズムを用いることで,問題領域の分割による探索効率の向上と部分最適化の影響を段階的統合による緩和,及び円形分割スキームとデポ分離線付近の重点探索による境界線の影響を緩和することが可能となったとのことでした.このポスター発表より,脳機能情報と脳神経線維情報の2つの情報より,ブロードマンの脳領域やAALに代わる新たな脳領域分割に応用できるのではと思いました.
 

発表タイトル    :複数解問題における分裂人工蜂探索蜂探索法の性能向上
著者               :坂本秀人,斎藤利通セッション名    :ポスターセッション2Abstract            :人工蜂探索法(Artificiale Bee Colony algorithm, ABC)とは群知能に基づくアルゴリズムの1つである.ABCは現在の自身と別個体の情報を参照し位置を更新していく. そのため, 粒子群最適化(Particle Swarm Optimaizer, PSO)と異なり,過去の状態に左右されない探索が可能である.ABCは非線形現象の解析,AD変換器やデジタルフィルターなどの回路設計などパワーエレクトロニクスの分野に応用されている.ABCを複数解問題に応用したものが研究されている.複数解問題とは, 最適解が複数存在する問題であり, 1つの解だけではなく全ての解を探索する必要がある. 探索性能の向上の方法の1つとして探索個体の増加がある. 探索終了までの計算量が増えてしまう. そのため, トレードオフを考える必要がある.本論文では, 個体数を時変的に増加させる新たなアルゴリズムとして分裂人工蜂探索蜂探索法(Fission Artificiale Bee Colony algorithm, FABC)を提案する. このアルゴリズムによって探索に必要な計算量を抑えることが可能になると考えている. アルゴリズムの性能の検討として個体の増加数による比較と他のアルゴリズムとの比較の2種類を行う.

 
この発表では,ACOアルゴリズムと同様,生物の行動を進化計算手法のモデルとした群知能の1つである,蜂の採餌行動をモデルとしたアルゴルズムである,ABCアルゴリズムを探索のベースとし,このABCアルゴリズムに蜜源分裂の要素を組み込むことで探索時間の短縮化を図るというものでした.この発表から私は,自分の提案手法における追跡の探索ベースであるACOアルゴリズムの代わりにABCアルゴリズムを組み込むことが出来るのではないかと考えました.しかし,ABCアルゴリズムやPSOアルゴリズムでは確率で追跡方向が決定されるのはACOアルゴリズムと同様なのですが,ACOアルゴリズムにおけるフェロモン情報のような探索回数が重なることで確率を変化させる要因がABCとPSOアルゴリズムには存在しないため,追跡方向の決定が確率要素に大きく影響されてしまうと考えられる.よって,やはりACOアルゴリズムに成り代わるのは難しいと思いました.
 
学会参加報告書

 
報告者氏名
 
原田圭
発表論文タイトル Geographic Knapsack Problemにおける遺伝的アルゴリズムの探索速度の検証
発表論文英タイトル Investigation of the search speed of genetic algorithm in the geographic knapsack problem
著者 原田圭, 田中美里, 日和悟, Heiner Zille,
Sanaz Mostaghim, 廣安知之
主催 進化計算学会
講演会名 第9回進化計算シンポジウム2015
会場 愛知県西尾市 グリーンホテル三ヶ根
開催日程 2015/12/19-2015/12/20

 
 

  1. 講演会の詳細

2015/12/19から2015/12/20にかけて,愛知県西尾市蒲郡にて開催されました第9回進化計算シンポジウム2015に参加いたしました.進化計算シンポジウムは,進化計算学会によって主催された国内学会で,学生と教員が参加して,進化計算分野の活性化を図るために議論・ショートプレゼン・ポスターセッションを行い,今後の進化計算分野の大きな発展を目的に開催されています.私は19, 20日の両日とも参加いたしました.本研究室からは他に廣安先生,日和先生,田中先生,M1の石田和さんが参加しました.
進化計算シンポジウムは, 国内の進化計算の研究者が年に一度合宿形式でじっくりと議論する機会を持つことを目的として企画されています.発表は、ポスターセッションを基本とし、ショートプレゼンを併用することで、活発な情報交換を行うことを目的としています.
参加者の中で, 私と石田さんは20日の9:00~10:40で2分間のフラッシュトーク及びポスターによる研究発表がありました.進化計算学会では, 最適化手法, 主に多目的最適化の新しいアルゴリズムの提案やベンチマークによる性能の検討を行われている方が大半を占めていたように感じます.その中でも, 石田・原田の両名とも進化計算手法を脳機能解明に関連付けた研究で, 本学会においては他にそのような研究は見られず,大いに盛況だったと感じております.ポスターセッションの時間, 多くの教員や学生が話を聞きに来てくださり, 休憩する暇はほとんどありませんでした.
進化計算学会ホームページ http://www.jpnsec.org/symposium201503.html
 
 
 
 

  1. 研究発表
    • 発表概要

私は19日の午前のポスターセッションに参加いたしました.発表の形式はショートプレゼンを2分した後に,ポスターによる発表が約1時間となっておりました.
今回の学会発表では,脳機能のパターン認識によるクラス分類のためのチャンネル選択最適化問題を模擬したベンチマークを作り,その問題に対して遺伝的アルゴリズムによる探索速度の検証を行いました.作成したベンチマーク問題は,ナップサック問題のアイテムに地理情報を加えたGeographic Knapsack Problemです.開始直後から多くの方が興味を持って,私のポスターを見に来てくれ,そしてたくさんのご意見を頂きました.以下に抄録を記載致します.

本稿では, スケールの異なる10種類のGKPに対して, 遺伝的アルゴリズムの動作を貪欲法で得た準最適解と比較することで検証した. GKPには, 評価が高いアイテムを中心に集団的に選択される特徴がある. アイテム数の増加に伴って, 貪欲法によって得られた準最適解に到達する割合が下降傾向にあることから, GKPに特徴を考慮した遺伝的アルゴリズムにおける交叉方法や突然変異方法について改めて検討する必要がある.
また, アイテム数とGAの処理時間には線形の関係があり, GAのプロセス内でアイテム数が大きく処理時間に影響を与えていることが確認できた. 実在するGKPであるfMRIやfNIRSデータに対して, 遺伝的アルゴリズムを用いた最適化手法を検討する場合に, GKPは遺伝的アルゴリズムの性能を確認するベンチマークとして検討することができると考えられる.

 
 

  • 質疑応答

今回の講演発表では,以下のような質疑を受けました.
 
・質問内容1
学生の方からの質問を受けました.こちらの質問は,地理的な情報をナップサック問題に持たせるのは分かったが,ただ単にアイテムの価値だけ類似させるのでなく,もう一つ他の変数も類似させるようにすべきではないかというものでした.この質問に対する私の回答は,ベンチマークとして模擬している脳活動のチャンネル選択最適化問題の特徴が,脳機能局在というものがあるために得られる脳血流量変化のデータで近傍が似ているからだと回答しました.その答えに対して,やはりそれでも変数間に最低2つは依存関係を持たすべきだという意見を頂き,検討しようと感じました.
 
 
 
 
・質問内容2
質問者の氏名は覚えそこなってしまいましたが,大学の先生にご意見を頂きました.一般的に,GAの交叉において一様交叉がいいといわれているが,それは試したかという質問でした.この質問に対して,私はまだ二点交叉しか試していないと答えました.すると,地理情報を全く考慮しない交叉である,一様交叉よりもよい交叉を組めば,この地理情報を含む問題に対して有効になるのではないかと言われました.今後,それも含めてアルゴリズムについて検討していくと答えました.
 

  • 感想

たくさんの学生や教授の方々に,今回の学会であまり脳機能と関連付けた研究がなかったからか,興味を持って聞いていただけることが出来ました.しかし,私自身もこのベンチマーク作りの第一歩ということもあって,数々の指摘を受けました.先ほど挙げた二つの質問のほかにも,図の見せ方1つや,スパースデータに対応するためのアルゴリズムの存在について教えて頂きました.この分野において,研究室内ではあまり詳しい人がいないため,より深い知識を得ることが出来ました.
今後,指摘されたことを一つずつ試していきます.
 

  1. 聴講

今回の講演会では,下記の2件の発表を聴講しました.
 

発表タイトル       : 劣個体分布を用いた問題構造の解析
著者                  : 長谷川拓,森直樹,松本啓之亮
セッション名       : セッション1 P1-09
Abstruct : 本研究では1 近傍の個体の優劣に着目したDII-1 analysis について述べ,DII analysis による局所解の数の推定の精度について議論した.これにより,DII analysis はEC の探索中に局所解を推定できることを示し,その有用性について述べた.
今後の課題としては,Deceptive Trapのような問題構造に偏りがある問題や,ナップサック問題のような制約条件を含む問題についての推定精度の向上があげられる.

この発表では,Parameter-less Population Pyramid(P3)という近年提案された,初期収束を防ぐ機能を持つ進化型計算を応用し,個体の近傍の個体と適応度の優劣の比較をすることで,元の適応度関数の部分評価関数の複雑さを推定していた.まず,P3という進化型計算の方法があることすら知りませんでしたし,そして,個体の近傍を比較することで,その個体がどんな個体かの推定を行っていたので,私の研究にもいつか使えるのではないかと思い,聴講しました.やはり,GAの探索は不可逆であるために,初期収束が起こりやすいため,一度このP3について勉強して,組んでみても面白いかと思いました.
 

発表タイトル       :多目的ファジィ遺伝的機械学習におけるアルゴリズムの違いによる探索性能への影響
著者                  : 武村周治,能島裕介,石渕久生
セッション名       : セッション1 P1-04
Abstruct : 本論文ではスカラー化関数の異なるMOEA/DとNSGA-IIを用いて計4種類のアルゴリズムを多目的ファジィGBMLに実装し,様々なデータに対して適用することで各データにおけるアルゴリズムの性質を調査した.また,学習時に毎回アルゴリズム選択を行うことで識
別性能が向上するのかについても調査した.数値実験より,MOEA/Dを用いた多目的ファジィ
GBMLは,NSGA-IIを用いたものよりも実行時間が短いことがわかった.また,MOEA/Dにおいてスカラー化関数にTchebycheffを用いたとき,学習用の誤識別率が低く複雑性の大きな識別器が獲得されることがわかった.
今後の課題としては,多目的ファジィGBMLの大規模データへの適用を考え,MOEA/Dの並列分散実装が挙げられる.これまで単一目的ファジィGBMLの並列分散実装や,NSGA-IIに基づく多目的ファジィGBMLの並列分散実装は行っており,これらとの比較も今後の課題として挙げられる [10, 11].

この発表では,最適化手法の評価関数にファジィ識別器という機械学習を適応している.現在,私の研究でも評価関数に機械学習の一種であるSVMを適応していることから,どのくらいの処理時間がかかっているのかにとても関心を持った.著者に直接聞いた結果,5000世代210個体50試行で15分ほどであると答えられました.そもそものSVMとファジィ識別器の違いはありますが,とてつもなく処理時間に差があり,少しショックでした.また,パターン認識の役割を持つ他の識別器の存在を知れてよかったです.